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年を振り返って

ドキュメント内 ~ v (ページ 130-138)

生態学科から今の学科に異動して今年で3年目,これ まで、4回生1人, 4回生と修士 1回生一人づっと割合こじん まりしていたが,今年は4回生4人,修士2回生l人の大所 帯になった.どの学生の研究テーマもフィールド、調査とデ ータ解析の組み合わせで,現地で見て考え,分析データを 見て解析するスタイノレで、ある.

4回生のテーマは,

l. 水田の排水路から琵琶湖に流入した農薬は,琵琶湖 の中で、どのような運命をたどるのか"を明らかにするために 大学の研究船「はっさか」で、琵琶湖の9地点でフ

k

深別農薬 濃度の分布,底泥での残留濃度の調査とともに,水槽を使 った実験で農薬の分解速度を測定した.

去年から引き続いた調査であるが,今年は琵琶湖を水温 躍層の上層(夏に湖水の温度が上昇する層, 0‑20mくちい) と下層(年間を通じて水温が変わらない層, 20m以深)にわ けで,農薬の動態モデ、/レを作った.

2. 琵琶湖の内湖(河)11水がいったん流入することで、琵 琶湖への負荷を減らす効果があるとし1われている)では,農 薬を浄化する効果があるのかどうか"について,湖北町野

田沼で農薬の物質収支を検討した.

別の滞留時間(水が内湖に留まっている時間)が3日の内 湖で、は浄化効果が認められなかった.湖北野田沼は滞留 時間が2倍の 6日で,長く滞留するぶん,内湖のブランクト ンや植物による生物分解が期待できる.

3 宇曽川

l

の濁水(代かきや田植えの時期に水田から濁 った水が河川に流入すること)の原因とひとつとし、われてい る中島統土壌帯(粒子が細かく沈殿しにくいので,濁り水の 原因となる)にある水固と,そうでない水田で,農薬の流出に 違いがあるのかどうか

1

こついて,宇曽川│支流の岩倉川,安 壷川1,南川で、調査を行った.

すなわち,濁水の原因となる土壌帯からは農薬も流出し やすいのかどうかを明らかにするもので,データが様々な

両 端 忌 品

須 戸 幹

生 物 資 源 管 理 学 科 生 物 資 源 生 産 大 講 座

濁水対策事業に反映されればと考えている.

4. 田んぼの畦畔の傷みが目立つ(畦畔に高低差ができ たり,穴があいたりして田んぼの水が流出しやすし、)水田群 とそうで、ない水田群で,農薬の流出率にどの程度違いが あるのか"を,多賀町と彦根市内の数回の水田排水路で、調 査を行った.

調査は地元の個人や自治会の協力を得て行い,解析の 結果は農薬流出抑制対策に有効なデータとなる.

修士 2回生のテーマは,"71<.田からの農薬の流出樹

1

世 流出特性"で, 1筆の水田から,畦畔浸透(いったん土壌に 浸透してカも排水路に流出する経路)(こよってどの程度農 薬が流出するのか,水溶解度などの農薬の物性で、流出率 がどの程度異なるのかを大学の圃場や個人の水田を借りて 研究を行ったO研究結果は河川での農薬残留を考える上で 不可欠な基礎データを提供したと考えている.

今年特筆すべき事柄は,湖国農政懇話会の委員となり,

「滋賀県環境こだわり農業推進条例」への提言を議論する 場に参加できたことである.これまでの研究成果を政策決 定に関わるところに生かすことができただけでなく,生産者,

流通機構,消費者それぞれの立場の方から農薬や農業を めぐる諸問題についてさまざまな考え方を聞くことができ,

今後の研究方針を考える上で、おおいに参考になった 最後に,今年公表した主な論文(学会講演要旨は除く)を リストアップした.

.Concentration and loading ofpesticide residues in Lake Biwa  basin (Japan),凶kiSudo et aJ.,地terRtθ'search 36 (2002)  315‑329. 

.lnflow and outflow of agriculturaJ chemicaJs in  Lake Biwa,  Miki Sudo et a ,.lLakθ's & ReservoIrs, 7 (2002) 301‑308.  .7.k田流域からの除草剤の流出と内、湖で、の浄化効果 エカ イ沼流域での研究一,須戸幹他,農業土木学会論文集 223 号(2003)71‑78. 

援線機恥バ

私のこの 1 年

{教育]

今年から新たに担当した「環境科学概論

2 J

では、「概 論Jとし、うものの位置付けにずっと頭をひねりどおしで、あ った。オムニバスの3回分を担当し、「更新性天然資源の 経済学J、「地球i且暖化の経済学J、「環境とビジネス」とい う3つのテーマをそれぞ、れ取り上げ、「興味をもってもらう こと」と「これからの学び、につながることjを最大の目標とし て内容を組み立てた。環境生態、環境計画、生物資源管 理 3学科の学生の皆さんに将来的にどうしても知ってお いてほしいこと、考えてみてほしいことは、たくさんあって、

なかなか内容が絞りきれなかった。くわえて、専門の科目 で詳しく学ぶ事の表面的なところではなく、本質にもふれ てほしいとも思っていた。というのも、先述のテーマにつ いて、これから専門の科目の中で学ぶ機会のない学生さ んは相当数いて、彼らが今回の機会を逃すと環境問題の 基本的なこと・論点も知らず卒業してしまう可能性は大き い。今年度のところは学生さんの興味を多少なりとも喚起 することができたのではなし、かと考えている。

昨年の着任以来担当の授業「農産物価格流通論J、

「農業政策論J等については、具体性をもたせることに腐 心した。とくに「農業政策論Jについては県庁からの客員 教員の近藤月彦氏にお願いして、滋賀県の森林政策、

農業政策の現状と課題について講義していただいたOし かし、まだまだ黒板授業であることは否めない。私のフィ ーノレド、経験をもっと増やし、滋賀県の事例で教える事が できるようにしていきたい。

[研究]

滋賀県の公社造林について、伊吹町、朽木村で聞きと りを進めている。主に昭和

4 0

年代から

5 0

年代にかけて、

滋賀県においては、県と下流自治体の出資による滋賀県 造林公社・びわこ造林公社が民有林の雑木山にスギ・ヒノ

私のこの一年

高 橋 卓 也

生 物 資 源 管 理 学 科 生 物 資 源 循 環 大 講 座

キを植林してしりた。当初の見込みでは、林業による地 域振興を目論んでいたのだが、木材価格の低迷により木 材生産による収益状況は大変苦しく、収穫期が来ても切 るに切れない状態となっている。全国のほかの府県でも 同様の状況であり、解決策は見えてないといってよいだ ろう。新事実や解決策がぽっと見つかるもので、はないか もしれないが、追いかけていく予定。

企業の環境マネジメントについて、数年前に実施し たアンケート調査の結果を別の手法で、再び分析している。

品、うのは、環境マネジメントlこついては、あまりに単純に 語られているように思うからである。つまり、

f 1 S 0 1 4 0 0 1

をとっているからよいj、「リサイクノレをしているからよしリと かいった個別の活動にのみが着目されている。それだけ ではなく、個別活動の背後にある企業という車服哉の社会・

経済的ダイナミックスを捉えること、それと個別の活動の 有効性を問い直すこと、こういったことをやりとおさなくて は、もっと高い段階の環境マネジメントを追求するのは不 可能だと思う。今年度は県の工業技術総合センターと協 力してアンケートを実施した。その結果の分析もくわえ、

考えをまとめてゆきたい。

(研究発表)

「環境管理の『官僚制化』が環境パフォーマンスに与える 影響について

1 S 0 1 4 0 0 1

の有効性を考えるために

J

環境経済・政策学会

2 0 0 2

年大会.

「森林認証についての社会科学的研究の動向・どのよう な切り口が可能か

J 2 0 0 2

年西日本林業経済研究会.

「カナダ林産業者が森林認証を取得する動機は何か:

1SO

,カナダ規格協会

(CSA)

, 森 林 管 理 協 議 会 (FSC) , FORESTCAREの4種の認証についてj日 本林学会第

1 1 3

回大会,

2 0 0 2

年.

‑ 133

生物資源管理学科

私のこ の一年

ここ3年間取り組んでいたアジサイの系統分類につい て、ようやく学会発表(上町達也・新庄康代・北風有理・西 尾敏彦 2002.PD分析による Hydrangeamacrop!J.

およびH.5θ1'rrataの系統分類.園学雑.71 (別1)341)で きる段階に至った。

4年ごとに開催される国際園芸学会がカナダのトロント にて開催された。今回、アジサイの装飾花の形質に関す る研究発表(Uemachi,T., Kato, Y., Nishio, T. 2002. The  characteristics linked to the shape of sepals in Hyd!Igea macrophyDa.  26 IntemationalHorticultural  Congress  Abstracts: 457‑458)を行うとともに、学会が企画したいく つかの視察ツアーのうち、ナッツ類の果樹園とナイアガラ 植物園を視察するツアーと室内園芸に関する視察ツアー に参加した。ナッツ類の果樹園では、非常に多くのナッツ 類を世界中から集め、育種、接ぎ木試験、耕音試験を行 っていた。育種目標として、ナッツの収量や品質の向上、

耐病虫害性の付与、庭木としての観賞価値の向上などが あった。簡単に育種と言っても、多くのナッツ類で、は播種 後、果実が得られるまで4・8年かかるそうであり、気の長 い作業である。

ナイアガラ植物園はもともと園芸学校として創設され、

規模を拡大し、1990年に植物園として一般人にも開放し たものである。従って、約 40haの広大な敷地に栽植され た様々な植物を敷地内の寮に住む学生(全寮制)が管理 している。今回の圏内の案内も学生が分担して行ってい た。ハーブ園、ロックガーデン、宿根草園、一年草園、い ろいろな形・大きさの花壇を配置した 庭 園(parteπe garden)等、どれも美しかったが、学生達が自由にデザイ ンした野菜園が、遊び心に富み生き生きしておりもっとも 印象に残った。

室内園芸に関する視察ツアーは、バイオフイノレターに よる室内の空気の清浄化がメインテーマで、あった。室内

上 町 達 也

生物資源管理学科 生物資源生産大講座

の一角の壁面を自動かん水装置を付けたヘゴ、板のような もので覆い、そこにシダ類、コケ類、サトイモ科観葉植物、

ランなどを植え付ける。強制換気により室内の空気をこの 植え付け板に通すと、室内の様々な材からでる有害な化 学物質が植え付け坂内の微生物により分解される。つま り、この装置は、バイオフィノレターとしての機能と室内緑 化としての美を提供するということである。外気を室内に 取り入れて換気を行った場合、外気を暖める(冷ます)必 要があり、エネルギーや光熱費がかかるが、この装置を 用いるとこれらのエネノレギ一、光熱費が節約できるとのこ とで、あった。このツアーでは、この装置を実際に取り付け ているオフィスや、フイノレターとしての機能の向上に取り 組んでいるゲルフ大学の研究施設を視察した。このバイ オフィノレターの研究については、宇宙ステーションで、の 利用を考えているNASAとの共同研究ということもあり、か なりの予算がついているらしく大学の施設、設備は驚くほ ど充実していた。またこのツアーを通して、室内の空気か らの有害物質の除去と言う問題が、私の想像していた以 上に欧米では関心がもたれているという印象を受けた。

今年度の私の担当する4回生3人には、遺伝子の単 離や培養系の確立といった卒業研究に取り組んで、もらっ た。どれもなかなか順調には進まず大変で、あったが、学 生達はめげずに頑張って取り組んで、くれた。実験がうまく し、かないで、学生が落ち込んでいるとき、本来なら慰め たり励ましたりせねばならないところ、つい同じように私も 落胆した表情をみせてしまう時があり、反省している。以 後、気をつけていきたい。

ドキュメント内 ~ v (ページ 130-138)

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