第 5 章 和歌山市における市場活性化とその可能性
2. 市場の再生・活性化の基本方向
市場の再生・活性化には、地域住民や関係者との連携・協力・協働を強めながら市場自 らも主体的・自覚的に取り組むことが求められている。その基本方向は、以下のとおりで ある(図5-2参照)。
1)市場の役割や存在意義を広く伝える
地域にとって市場が重要な存在であること、失われてしまっては再び作り上げることは 不可能に近いこと、などを消費者(地域住民)にアピールする取り組みを強めることであ る3。消費者の関心を市場に向けさせるために消費者ニーズを常に把握し、消費者の購買力 を市場に取り込むための事業展開が求められている。
2)市場の魅力づくりと経営努力を怠らない
顧客を引きつける魅力のある店が市場には必要である。また、市場には生鮮食材などが そろっているように、必要な種類の店が一定程度あるという集積の強みを活かすことも重 要といえる。高齢化社会を迎えているだけに、近くにある、細かいニーズに忚えてくれる という市場の役割が改めて見直されている。地域にとって必要とされる店づくりを不断の 努力で続ける商店を尐しでも多くすることが重要である。個々の経営努力なくして市場の 再生・活性化もありえない。
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図5-2 市場の再生・活性化の基本方向
市場の魅力づくりと 経営努力を怠らない
市場の役割や存在意義 市場を交流空間として を広く伝える 位置づける
市場の再生・活性化
地産地消型流通システム を構築・推進する地域に生き地域を活かす 市場だけの問題に 市場づくり 限定しない 人材育成のための仕組み
をつくる
3)市場を交流空間として位置づける
市場を多様な市民の利用・交流空間と位置づけるとともに、空き店舗を利用して市民団 体やNPO法人、学校・大学・企業などと連携・協力・協働するなど、多様な人々による
「新たな公共活動」の場として再生・活用することも検討すべきである4。その際、生活圏 にある市場の役割を再評価するとともに、駅前といった立地条件を活かすことなども重要 である。
4)地産地消型流通システムを構築・推進する
地域の再生・活性化には地域循環型の社会・経済をめざすことも重要である5。たとえば、
生鮮食料などについては県内の生産者と、中央卸売市場、小売市場・商店街、消費者との 連携による地産地消型流通システムを構築・推進することもその一環となる。
5)市場だけの問題に限定しない
市場の変貌は市場固有の問題ではなく、地域の定住環境や産業構造、都市構造の問題と も大きくかかわっている。地域の活性化と市場の再生・活性化とは互いに影響を与え合う 関係にある。市場での購入者の再生産のために、定住環境の整ったまちづくり、地域づく り、コミュニティづくり(=都市政策・地域政策)が必要となっている。
59 6)人材育成のための仕組みをつくる
市場の再生・活性化は、そこに住み生活する人(生活者)の思い入れや意欲の高さにか かっている。地域活動としてのまちづくり、商業活動は商店関係者の本来的役割ともいわ れているが、それには人材育成という長期的視点からの取り組みが必要である6。そのよう な人材を1人でも多く育成するための仕組みづくりと制度づくりが必要である。
7)地域に生き地域を活かす市場づくり
人とまちを愛する人間の熱意と、それを支える人材や仕組みが存在すれば地域は元気に なるといわれている7。地域に生き、地域を活かす市場づくりのために、市民からの忚援も 得られる新たなコミュニティ・ビジネスの創出も重要となる。市民が暮らしたいと思える
“まち”へと変えていく一環として市場の再生・活性化を位置づけることが求められてい る。
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