• 検索結果がありません。

工業高校生の職業に対する自己効力感の構造把握

1. 目的

本章の目的は,第1章で述べた研究課題1に対処するため,工業高校における生徒の職業に 対する自己効力感を把握するための尺度を構成し,その実態を明らかにすることである。具体 的には,工業高校生を対象に,①職業に対する自己効力感に関する自由記述調査(以下,予備調 査とする)によって予備尺度を作成した後,②予備尺度を用いた調査(以下,本調査とする)を 実施し,因子分析を行うこととした。その上で,③学校生活や授業,進路に対する意識と得ら れた因子構造との関連性についても検討を行うこととする。

2. 研究の方法 2.1 予備調査

予備調査では,工業高校生の将来の仕事や職業に対する考え方を探索的に把握し,本調査で 用いる予備尺度項目を作成した。

(1)対象

調査は,H県内及び O市内の公立工業高校計3校の3学年,男子618名,女子 24名,計 642 名 (学科: 機械系,電気系,化学系) を対象とした。有効回答数は573名 (男子553名,

女子20名),有効回答率89.3%であった。

(2)質問項目

自由記述形式で「あなたが,これまでに工業高校で学んだことのうち,将来の自分の仕事や 職業をやっていく自信が持てたと感じた経験には,どんなものがありますか。」について,回答 させた。

(3) 実施時期

2008年6月に実施した。

(4)手続き

調査は,各高校のホームルーム(終礼)の時間を利用し,約 15~20 分程度で実施した。実 施後,得られた回答を 29 項目に分類・整理し,予備尺度を作成した。この作業は,教職経験 10年以上の工業科の教員4名で協議して行った。協議では,例えば「授業で専門的な資格を取 ることができたから,自信がついた。」などの自由記述から,「専門的」,「資格取得」をキーワ ードに「専門分野の資格が取得できたので,将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。」 という項目を作成した。同様にして,「専門的な知識を幅広く修得できたので,将来の職業や 仕事に自信が持てるようになった。」,「周りの人とのコミュニケーション力や礼儀が身につい

第2章 工業高校生の職業に対する自己効力感の構造把握

- 27 -

たので,将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。」など計29項目を作成した(図Ⅱ-1)。

2.2. 本調査

本調査では,予備調査で作成した予備尺度を用いて,工業高校生の職業に対する自己効力感 の実態を分析した。また,職業に対する自己効力感と授業に対する意識,学校生活に対する意 識及び進路に対する意識との関連性をそれぞれ検討した。

(1)対象

調査は,O市内の公立工業高校4校の1~3学年,男子825名,女子21名,計846名 (学 科: 機械系246名,電気系297名,化学系303名) を対象とした。有効回答数は725名 (男 子704名,女子21名),有効回答率85.7%であった。

(2)質問項目

調査票には,①予備調査で作成した予備尺度 29項目,②授業に対する意識 2項目,③学校 生活に対する意識3項目及び④進路に対する意識3項目を準備した(図Ⅱ-1)。

授業に対する意識では,「あなたは,工業の専門科目の授業が好きですか。」,「あなたは,工 業の専門科目の授業が理解できますか。」の2項目を設定した。学校生活に対する意識では,「あ なたは,現在の学校生活に満足していますか。」,「あなたの,部活動や生徒会などの課外活動は 充実していますか。」,「あなたの,学校での友人関係は良好ですか。」の3項目を設定した。進 路に対する意識では,「あなたは将来,工業高校の専門分野に関係する仕事に就きたいと思いま すか。」,「あなたは将来,自分がつきたい職業や仕事をすでに決めていますか。」,「あなたは,

高校卒業後の進路の実現に向けて,自分なりに努力していますか。」の3項目を設定した。

(3)実施時期

2008年9~10月に実施した。

(4)手続き

調査は,各高校のホームルーム(終礼)の時間を利用し約15~20分程度で,予備尺度29項 目に対しては当てはまりの程度を5件法(5 : とても思う,4 : 少し思う, 3 : どちらでもな い, 2 : あまり思わない,1 : まったく思わない)で回答させた。また,授業,学校生活,進 路に対する意識計8項目に対しては,当てはまりの程度を4件法(4 : とても思う,3 : 少し 思う,2 : あまり思わない,1 : まったく思わない)で回答させた。調査後,まず予備尺度の GP分析(上・下位群共に25%,n=180)を行い,項目の弁別性を確認した。次に弁別性の認め られた項目に対して,主因子法及びプロマックス回転を用いた因子分析を行った。その後,各 因子に該当する質問項目の因子負荷量に基づいて質問項目を再編成し,学年間での各因子の推 移傾向や授業,学校生活,進路に対する意識との関連性を検討した。

第2章 工業高校生の職業に対する自己効力感の構造把握

- 28 -

図Ⅱ-1 工業高校生の職業に対する自己効力感を把握するための予備尺度

1次 の 質 問 に 下 の 4 段 階 で あ て は ま る も の に ○ を つ け て く だ さ い 。

          4 . と て も 思 う   3 . 少 し 思 う   2 . あ ま り 思 わ な い   1 . ま っ た く 思 わ な い

A あなたは、現在の学校生活に満足していますか。 4-3-2-1

B あなたは、工業の専門科目の授業が好きですか。 4-3-2-1

C あなたは、工業の専門科目の授業が理解できますか。 4-3-2-1

D あなたの、部活動や生徒会などの課外活動は充実していますか。  4-3-2-1

E あなたの、学校での友人関係は良好ですか。    4-3-2-1

F あなたは将来、工業高校の専門分野に関係する仕事につきたいと思いますか。  4-3-2-1

G あなたは将来、自分がつきたい職業や仕事をすでに決めていますか。 4-3-2-1

H あなたは、高校卒業後の進路の実現に向けて、自分なりに努力していますか。 4-3-2-1

2次 の 質 問 に ど の く ら い あ て は ま る か ○ を つ け て く だ さ い 。

5 . と て も 思 う 4 . 少 し 思 う   3 . ど ち ら で も な い 2 . あ ま り 思 わ な い   1 . ま っ た く 思 わ な い

1専門的な知識を幅広く修得できたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 2専門的な技能を深められたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。           5-4-3-2-1 3専門分野に関する実験や実習の経験ができたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 4専門分野に興味・関心が持てたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1

5専門分野の資格が取得できたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1

6周りの人とのコミュニケーション力や礼儀が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった 。 5-4-3-2-1 7何事にも、忍耐力が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 8実習で工作する力を身につけることができたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1

9部活動で精神力を養えたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1

10授業や実習で、学び方を学ぶことができたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 11プロのすばらしさを知り、目標をもつことができたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 12職場体験・見学などで現場の様子を知ることができたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 13ものづくりを通して、達成感のすばらしさを知ったので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。  5-4-3-2-1 14何事にも、論理的に考える力が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 15仕事の楽しさや喜び、誇りが持てるようになったので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 16何事にも、計画的にすすめる力が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 17実習で危険な作業でも安全にやりとげる力が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 18アルバイトを経験して働くことのイメージがもてたので、将来の職業や仕事の自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 19周りの人と協力して作業する協調性が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 20何事にも、目標を持ち努力する大切さがわかったので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 21友達から信頼されていると感じられるようになったので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 22実習で設計する力を身につけることができたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 23何事にも、失敗する経験が逆に自分を成長させると実感できたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 24自分のものづくりの技術が向上したと実感できたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 25何事にも、整理・整頓する習慣がついたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 26何事にも、アイディアを発想する力が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 27何事に取り組む時も、集中力が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 28何事に取り組む時も、規律正しい行動が身についたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1 29授業や実習で、学んだことがすぐに仕事に使えると感じたので、将来の職業や仕事に自信が持てるようになった。 5-4-3-2-1    工業高校生の職業に対する意識に関するアンケート

(     )工業高校(   )科  (  )年 男・女

次の質問にどのくらいあてはまるかを○をつけてください。このアンケートは、学校の成績とはまったく関係ありません。

このアンケートは、工業高校に学ぶ生徒の皆さんの「働くこと」に対する意識を調査するものです。

思ったとおりに回答してください。