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第 4 章 工作機械と計測装置 43

4.4 工具および被削材

4.3節中の関係式で表されるように,切削動力や切削抵抗には,工具と被削材間の比切削 抵抗の値が重要となる.図4.3は各工具材質の粘さと硬さの関係を表している.一般的に,

硬い被削材を切削するにはそれ以上の「硬い」工具が必要とされるが,脆性を考慮し,ある 程度の「粘り強さ」も求められる.それらを考慮し,被削材に合わせた工具を選択すること になるが,この組み合わせにより比切削抵抗,ひいては切削動力や切削抵抗の値が変化する ことになる.本研究では各被削材および工具がもつ特性が及ぼす消費電力への影響を考慮 し,TiNコートハイス工具と,ステンレス鋼,アルミニウム合金,炭素鋼,工具鋼などと いったさまざまな被削材を用いて実験を行った.以下に各材質について簡単に説明する.な お,工具を前提とした説明もあるが,その材質特性そのものは被削材であっても基本的に同 じである.

Sintered diamond Sintered CBN

Ceramics

Cermet

Coated carbide Cemented

carbide Micro-grain cemented carbide

HSS

Alloy tool steel

Carbon tool steel

Toughness

Hardness

Fig. 4.3: Relationship between viscosity and hardness [2].

◃ 炭素鋼

– Fe(鉄)にC(炭素)の合金で,炭素以外の含有元素の量が合金鋼に分類されない

量以下である.

– 炭素含有量(重量比)0.02〜2.14 %.

– 本研究ではS45CおよびS55Cを用いた.

◃ 炭素工具鋼

– 鉄鋼材料として使用される機械構造用炭素鋼に炭素を添加し,焼き入れ,焼き戻 しを行ったもの.

– 炭素含有量(重量比)0.6〜1.5 %.

– 200 ℃を超えると急激に硬さが低下する.

– 本研究ではSK3を用いた.

◃ ねずみ鋳鉄

– Cを2〜6 %含むFeとの合金.

– Si(ケイ素)を含む.

– 延性はほとんどない.

– 機械部品として使用される.

– 本研究ではFC250およびFC300を用いた.

◃ 一般構造用圧延鋼材 – 鉄鋼材料のひとつ.

– SSに続く数字は引張強さの下限を表す.

– 350 ℃まで硬度を保つ.

– 構造用に用いられるだけでなく,機械設備用途にも使用される.

– 本研究ではSS400を用いた.

◃ アルミニウム合金

– アルミニウムを主成分とする合金.

– Zn(亜鉛)やMg(マグネシウム)の合金である5000番台は車両や建築用途など

幅広く使用される.

– Zn, Mg, Cu(銅)との合金である7000番台は,軽さと強度から航空部品に用い られる.

– 本研究ではA5052およびA7075を用いた.

◃ ステンレス鋼

– 炭素を1.2 %以下,Cr(クロム)を10.5 %以上含む鋼.

– 耐食性がある.

– 家庭用品,建築用,自動車部品など様々な用途に用いられる.

– 本研究ではSUS304およびSUS316を用いた.

◃ クロムモリブデン鋼

– クロム鋼にMo(モリブデン)を入れた鋼.

– 強度を要する一般機械部品に用いられる.

– 本研究ではSCM435およびSCM440を用いた.

◃ 高速度工具鋼(ハイス)

– 常温時の硬さは炭素工具鋼とほぼ同じ – 約600℃まで硬さが低下しない – 低速加工に適する

– 「硬さ」よりも「粘さ」が必要とされるドリルやタップに有効 – モリブデン系とタングステン系があり,工具はタングステン系が多い – 本研究で用いた工具で使用されている

◃ コーティング工具

– 母材の表面を薄膜で覆った切削工具

– 単相,多層,複合多層コーティングが存在する

– 化学反応によって被膜を形成するCVD法,金属のイオンを表面にぶつけて被膜 を形成するPVD法がある

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