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第 5 章 工作機械における切削時消費電力モデルの構築 55

5.4 切削時消費電力の計測

5.4.2 実験結果

前節で述べた実験条件にしたがって28パターンの溝入れ加工を行い,消費電力を測定し た.いずれの実験においても,LabVIEWプログラム上での電力測定開始の直後にNCプロ グラムを稼働させ,NCプログラムの終了後すぐに電力測定を終了した.実験結果の一例と して,図5.10に実験B(送り速度60 mm/min)における主電源部での消費電力(実線),

主軸モータ部での消費電力(破線),および切削抵抗(点線)の変化を示す.図5.10にお

0 200 400 600 800 1000 1200

0 20 40 60 80 100 120 140 0 10 20 30 40 50 60

Consumed power W Cutting force N

Elapsed time s

Power: Power supply Power: Main spindle

Cutting force

Actual machining time

Fig. 5.10: Measured data of power in experiment B with 0.02 mm/(min·tooth).

いて,計測開始後およそ17 秒後に見られる主電源部での1000 W近く(主軸モータ部での

500 W程度)の大きな電力は主軸の回転動作の始まりを意味する.また,主軸モータ部で

の消費電力の立上り時間および立下り時間はそれぞれ,切削抵抗の急激な立上りの時間およ び立下りの時間とほぼ一致することがわかる.本研究では,消費電力予測の対象区間は実際 の加工時間とし,その開始および終了の各時点は,計測モジュールNI9205で測定された切 削抵抗の立上りおよび立下りのエッジ間とした.図5.10の例では,対象区間は [40,107]で あり,実加工時間は77 秒である.

図5.11に,横軸に材料除去率を取った場合の(a)主電源部および(b)主軸モータ部での消 費電力(E˙)の計測結果をまとめる.図5.11(a)および(b)は,工作機械における一般的な 消費電力特性(文献 [28]や式(5.6)),すなわち,材料除去率の増加に伴い消費電力は線形 増加する傾向にあること,その主因は主軸モータ部での電力消費にあることを示している.

図5.11(c)は,各実験において主電源部での消費電力と主軸モータ部でのそれとの差を取っ

た結果である.図5.11(c)に見られる材料除去率の大きさに伴う消費電力の増加分は,主と して送り駆動系によるものと考えられる.

図5.11(b)および図5.11(c)のそれぞれの計測データに対し,線形回帰を適用し材料除去

率の増加に伴う消費電力の増加率(回帰係数)を調べた.その結果,図5.11(b)での増加率 は1.04,図5.11(c)でのそれは0.25であった.したがって,主軸モータ部の消費電力に対す るそれ以外での消費電力の相対的増加率は1/4程度である.本実験ならびに後述の予測精 度検証では,送り駆動系は1軸のみの動作を対象としていることから,本章では変動エネル ギーとして主軸モータ部で消費されるエネルギーのみを考慮するものとする.

図5.12(a)に,28パターンの各切削実験で得られた主電源部で計測した工作機械全体での

エネルギー密度および主軸モータ部でのエネルギー密度を示す.図5.12(b)は主軸モータ部 エネルギー密度が主電源部エネルギー密度に占める割合を表している.図5.12では,材料 除去率の増加に伴い双方のエネルギー密度はともに非線形で減少することがわかる.主電 源部エネルギー密度に対して主軸モータ部エネルギー密度は低く,これは工作機械の消費す るエネルギーのうち多くは定常エネルギーであることを裏付ける.一方,材料除去率が大 きくなるにしたがって変動エネルギーの占める割合が高まることがわかる.具体的には,図 5.12(b)の主軸モータ部エネルギー密度の割合を見ると,vm ≥300 mm3/s の領域では40 % を越え,本実験の範囲では 50 % 近くに達する.

この結果は,重切削や高速加工など高い材料除去率を要する除去加工では,工作機械全体 でのエネルギーのうち変動エネルギーの占める割り合いが高まっていくこと,すなわち,切 削に直接関わるエネルギーの効率性を高める余地があることを示唆する.

0 200 400 600 800 1000 1200

0 50 100 150 200 250 300 350 400 Material removable rate vm mm3/s

Experiment A Experiment B Experiment C

(a) Main power supply

(b) Main spindle supply

(c) Residual of (a)-(b)

Power consumptionE W

Material removable rate vm mm3/s

Power consumptionE W

Material removable rate vm mm3/s

Power consumptionE W

0 200 400 600 800 1000 1200

0 50 100 150 200 250 300 350 400 Experiment A

Experiment B Experiment C

0 200 400 600 800 1000 1200

0 50 100 150 200 250 300 350 400 Experiment A

Experiment B Experiment C

Fig. 5.11: Electric power consumption [1].

Material removable rate vm mm3/s

Material removable rate vm mm3/s

Material removable rate vm mm3/s 0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Rate of spindle motor SEC to total SEC

Experiment A Experiment B Experiment C 0

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

Specific energy consumptionc J/mm3Specific energy consumptionc J/mm3

Main spindle in Experiment A Main spindle in Experiment B Main spindle in Experiment C 0

5 10 15 20 25 30

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 50 100 150 200 250 300 350 400 Power supply in Experiment A Power supply in Experiment B Power supply in Experiment C Main spindle in Experiment A Main spindle in Experiment B Main spindle in Experiment C

(b) Rate of spindle motor SEC to total SEC

(a) Specific energy consumption both at main supply unit (total SEC) and main spindle motor unit (spindle motor SEC)

Fig. 5.12: Specific energy consumption [1].

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