3 アルゴリズム
3.2 状態解析アルゴリズム
3.2.4 就寝者の状態分類
標準準一回換気量の算出後は,各フレームについて,順次,就寝者の状態分類に関する処 理を行う。
本アルゴリズムにおいては,本システムのユーザのひとりとして想定される医師らによる SDBスクリーニングを支援するために,就寝者の呼吸運動の分類を行う。前述の通り,アメ リカ睡眠医学会の分類によれば,SDB は OSAS,CSAS,チェーンストークス呼吸症候群お よび睡眠時低換気症候群の4種類であるとされている。これらのSDB発生時には,まず,呼 吸運動が低下し,そして血中炭酸ガス濃度の上昇に伴い努力性の呼吸が発生し,呼吸運動が 増大するものと考えられる。すなわち,SDBスクリーニングを行うためには,被験者の呼吸 運動の低下と呼吸運動の増大を検出する必要がある。したがって,本アルゴリズムにおいて は,図3.10に示すように,処理対象となるフレームの“状態判別結果”が“無体動状態”で ある場合に,準一回換気量と標準時準一回換気量との比率の増減により,就寝者の呼吸状態 を“呼吸運動安定”,“呼吸運動増大”,“呼吸運動低下”,“呼吸運動停止”の4種類に分類す ることとした。
図3.11に示すように,呼吸一回分に相当するフレーム群においては,先頭フレームに準一 回換気量の値が格納される。この値の標準準一回換気量からの増減率を算出し,この増減率 に基づき状態を分類する。そして,それぞれの分類を表す識別情報を,呼吸一回に相当する フレーム群の各フレームに対して付与し,次のステップにおける集計処理に用いることとし た。また,“状態判別結果”が“呼吸停止状態”である場合においては,就寝者の状態を“呼 吸運動停止”と分類することとした。
さらに,本アルゴリズムにおいては,“状態判別結果”が“体動状態”にある場合は,睡 眠と覚醒の判別の目安とすることを目的として体動の体動状態の継続時間を算出する。体動 の継続時間および発生頻度から睡眠と覚醒の判別を行う試みについて,Websterら(25)やCole ら(26)により報告されている。彼らは,加速度センサにより活動量を測定するアクチグラム
(Actigram)を応用しており,手首に取り付けたアクチグラムと PSG との比較実験により,
体動の発生に基づき睡眠状態と覚醒状態の判別が可能であると結論している。本アルゴリズ ムでは,図 3.10 に示したように,就寝者の状態分類を算出された継続時間により, “非呼 吸運動(5秒以内)”,“非呼吸運動(5〜30秒)”,“非呼吸運動(30秒以上)”の3種類に分類 することとした。
第3章 アルゴリズム 57
図3.10 就寝者の状態分類
Fig 3.10 Classification of condition of sleeping person.
処理対象となるフレームの“状態判別結果”が“無体動状態”である場合においては,
就寝者の呼吸状態を,準一回換気量の標準時準一回換気量に対する増減に応じて,“呼 吸運動安定”,“呼吸運動増大”,“呼吸運動低下”,“呼吸運動停止”の4分類に分類する。
また,“状態判別結果”が“体動状態”にある場合は,体動状態の継続時間を算出し,
この継続時間に基づき,“非呼吸運動(5秒以内)”,“非呼吸運動(5〜30秒)”,“非呼吸 運動(30秒以上)”の3分類に分類する。
Determination of condition of sleeping person
Rate of change of QTV to SQTV
Movement state Non-movement state
Breath-holding state
Stable respiration
Apneustic respiration
Labored respiration
Hypopnea
Ratio of QTV to SQTV
50%
~200%
Over 200%
Below 50%
Below 10%
Duration of
“Movement state”
Movement (below 5 sec.)
Movement (5 to 30 sec.)
Movement (over 30 sec.)
Condition of sleeping person
図3.11 呼吸状態の分類
Fig. 3.11. Classification of respiration condition.
呼吸一回分に相当するフレーム群においては,先頭フレームに準一回換気量の値が格納 されており,この値の標準準一回換気量からの増減率を算出し,この増減率に基づき状 態を分類する。
第3章 アルゴリズム 59