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第 2 章 調査結果

4. 小括

以上に鑑みると、本件博士論文の作成指導に関して、常田氏は、小保方氏の指導 教員として、小保方氏の研究の進捗状況を十分に確認しておらず、また博士論文の 内容や作成作法等についての十分な研究指導を行っておらず、非常に重い責任があ ると評価できる。一方で、常田氏による研究指導が十分に行われなかった背景とし ては、外研を行う学生に対する指導の限界、及び異なる研究分野に対する指導の限 界という本研究科・本専攻における問題が指摘できる。

73 この点、常田氏自身も、小保方氏の研究内容が常田氏の研究分野と大きく異なることは認めているとこ ろであり、また、常田氏の指導状況を知る関係者数名が、「常田氏は小保方氏の研究内容を十分には理 解できていなかったと思う。」等と供述する。

74 本研究科の研究科要綱においては、修士課程の学生に関し「特別な事情がある場合には、関連教員の許 可を得て、第 2 年度の初めに専攻分野内でほかの研究指導に移ることができる。」と定められており、

博士課程の学生に関しても、これが一応は準用されている。

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小保方氏に対する博士学位授与の審査過程における問題点の検証 V.

1. 本研究科・本専攻における学位授与に係る審査体制について (1) 博士学位授与の要件

早稲田大学においては、博士学位は、①博士課程に 5 年(修士課程に 2 年以上在 学し、当該課程を修了した者にあっては、当該課程における 2 年の在学期間を含む。) 以上の在学、②各研究科の定めた所定の単位の修得、③所要の研究指導の受講、及 び④博士論文の審査及び試験への合格の各要件(早稲田大学大学院学則第 14 条第 1 項)をみたし、博士課程を修了した者に授与される(早稲田大学学位規則第 4 条、

早稲田大学大学院学則第 15 条)。

本研究科・本専攻においては、博士学位の意義について、文科省の「専攻分野に ついて研究者として自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力及びその基礎 となる豊かな学識を有する者に授与するものとする」と定める学位規則の一部を改 正する省令第 3 条に準拠するとされている。その上で、平成 22 年度当時の本研究科・

本専攻は、上記博士学位授与の要件のうち、各研究科の定めた所定の単位の修得に ついて、「研究業績を示すに足りる学術論文または他の種の学術業績」を要件として 求めており(学位審査についての申し合せ 2(Ⅱ))、具体的には、課程内博士につい ては、審査分科会当日までに査読付欧文学術雑誌へ主たる論文が一報掲載又は掲載 可となっていることが要件とされていた(平成 22 年当時の本専攻・博士学位取得の 要件)。

(2) 博士論文の審査

上記博士学位授与の要件のうち、博士論文の審査については、各研究科の運営委 員会が選任した各研究科の 3 名以上の教員が、論文審査員となり審査を行う(早稲 田大学学位規則第 12 条第 1 項)。なお、各研究科運営委員会が必要と認めたときは、

当該研究科以外の本大学の教員又は教員であった者、又は他の大学院若しくは研究 所等の教員等に対して、学位論文の審査を委嘱することができる(早稲田大学学位 規則第 12 条第 2 項、同条第 3 項)。

各研究科運営委員会は、これら 3 名以上の論文審査員のうち 1 人を主査として、

指名しなければならない。なお、他の大学院又は研究所等の教員等を、主査として 指名することはできない(早稲田大学学位規則第 12 条第 4 項)。

(3) 学位審査の手続

平成 22 年度当時の本専攻における学位審査の手続とその順序は以下のとおりであ る(平成 22 年度当時の学位審査に関する内規)。

a. 学位請求の申出と取扱い

学位請求を求める学生が、学則・規則の定める学位請求手続を行う。

なお、通常は、学生による正式な請求手続の前に、指導教員が学位授与の要件

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をみたしているか否かを予備的に判断し、資料を添えて、本専攻の教室会議に対 し、学位審査を提案し、当該提案を受けた教室会議も、学位授与の要件について の予備的な判断を行っている。

b. 主任会の協議と研究科運営委員会による受理

本研究科の主任会は、本専攻の教室会議で審査された研究業績を中心とした説 明に基づき、審査分科会の編成、及び論文審査員の人選を協議し、専攻間の意見 の調整を行った上で、これらの原案を本研究科運営委員会に対し提案する。提案 を受けた本研究科の運営委員会は、学位請求の受理を承認し、審査分科会及び論 文審査員を決定する。

ただし、制度としては上記のように定められているものの、本専攻における実 際の運用としては、審査分科会については、主査の所属する専攻の教員により構 成されることが通常である。また、論文審査員についても、主査は指導教員が務 め、副査は主査が任意に指定した人物が務めることが通常である。

c. 公聴会75

主任会における受理から審査分科会における合否判定までの審査の過程におい て、公聴会が開催される。公聴会では、学位請求者が、公開の場において、論文 審査員に対して、自身の研究成果を発表する。また、論文審査員から、公聴会で の発表内容や博士論文の内容について、誤りや改善点等の指摘がなされる。

d. 論文審査と学識確認

論文審査の具体的方法は、各論文審査員に委ねられている。主査は、論文審査 と学識確認審査を統括し、学識確認については学識確認結果を、論文審査につい ては論文審査報告書を作成し、審査分科会と本研究科の研究科長に対して提出す る。

e. 審査分科会による合否判定

審査分科会は、構成員の 3 分の 2 をもって成立し、審査分科会としての学位授 与の合否を、出席した構成員の 3 分の 2 以上の賛成に基づき決定する。投票は、

無記名投票の方法で行われる。投票による合否判定の前には、主査が、学識確認 結果を報告し、博士論文の審査報告書の説明を行った上で、審査に関する質疑に 答える。

f. 研究科運営委員会による最終判定

審査分科会の判定結果を資料として、本研究科の運営委員会が、学位授与に係 る最終的な合否判定を行う。

75 本研究科の他の専攻等においては、公聴会ではなく「公開審査会」との名称で、博士論文及び学生に対 する学位授与に係る審査の場としての性格が強いものとして位置付けられていることもある。

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