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第1節
1年
生教材 「くちば し」 と「比尾巴」の共通点及び相違点 第1項教材 について
先にも述べたように、中国の低学年教材の中では説明的文章 とい う言葉が見当たらない。
しか し、教材 を読んでみると、説明的文章 とは定義は されていないが、 日本の説明的文章 と同 じ働 きの教材があることがわかる。要す るに、中国では低学年教材 をはつき りとはジ ャンル分けしていないだけなのだ。
ここでは、具体的な考察を行 うために、中国の説明的文章教材 として、人民出版社発行 の教科書にある1年生教材 「比尾巴」(「しつぼくらべ」
)を
取 り上げる。 中国語は漢字ばか りを用いる言語である。そのために教科書では、 どの教材 でも漢字 を指導す るようになつ ている。特に低学年の授業では、漢字指導に多 くの時間が割かれ るよ うだ。「比尾巴」でも 漢字が指導 され る。ただ し、教科書の内容は 「沢字」(「漢字を知 る」)と
「深文」(「テキス ト」)に
大別 されていて、「比尾 巴」は 「深文」の中の第10篇に位置づけられている。つま り、この教材は読むための教材 なのである。 したがつて、 この教材 では漢字を教えること 以外にも指導すべき内容がある。その点は 日本の説明的文章 と同 じである。「比尾巴」は、説明的文章教材 として扱 うことのできる教材であると考える。
本論文では、各国の説明的文章教材 をそれぞれ個別 に見るのではな く、両者 を比較す る ことによつて、その共通点や相違点を明 らかにす る。「比尾巴」 と比較す るのにふ さわ しい のは、 日本の光村図書出版の教科書 (一年上
)に
掲載 されている 「くちば し」である。「比 尾巴」 と「くちば し」は、「しっぽ」 と「くちば し」の違いはあるものの、動物の体の一部 分に着 日した文章 として、類似 した内容の教材である。以下、「比尾巴」 と 「くちば し」 とを比較 しなが ら考察を進 める。
1.教
材本文① 「くちば し」
くちば し
さきがす るどくとがつた くちば しです。
これは、なんのくちば しで しょう。
これは、きつつきの くちば しです。
きつつきは、 とがつた くちば しで、きにあなをあけます。
そ して、きのなかにいるむ しをたべます。
ふ とくて、 さきがまがった くちば しです。
これは、なんの くちば しで しょう。
これは、お うむの くちば しです。
お うむは、まがつたくちばしのさきで、かたいたねのからをわ ります。
そして、なかのみをたべます。
ほそくて、ながくのびたくちばしです。
これは、なんのくちばしで しょう。
これは、はちどりのくちばしです。
はちどりは、ほそながいくちばしを、はなのなかにいれます。
そして、はなのみつをすいます。
(光村図書『 こくご 一上 かざぐるま』((2010年検定済),p.43‑48。 )
②比尾巴 (本文の右にあるのは日本語訳である。)
比尾 巴
淮 的尾 巴
K?
進的尾 巴短 ?
惟的尾 巴好像一把傘 ?
猥子 的尾 巴K。
免子的尾 巴短。
松村 的尾 巴好像 一把傘。
濃的尾 巴弯?
淮的尾 巴扁 ? 濃的尾 巴最好看 ?
しっぼくらべ
だれの しつぽが長いですか
?
だれの しっぽが短いですか ? だれの しっぽが傘のよ うですか?
サルの しっぽが長いです。
ウサギの しっぽが短いです。
リスの しっぽが傘のよ うです。
だれの しっぽがまがつていますか
?
だれの しっぽが平べつたいですか ? だれの しっぽがいちばんきれいですか ?公鳩的尾 巴弯。
おんどりのしつぽがまがっています。
鴨子 的尾 巴扁。
アヒルのしつぽが平べつたいです。
孔雀 的尾 巴最好看。
クジャクのしつぽがいちばんきれいです。
(人民教育 出版社『 義務教育課程標準実験教科書 語文 一年級 上冊』,p.83‑84。 )
2.教
材 の比較「くちば し」は、それぞれの鳥の くちば しの説明に
5文
を用 いてい る。それ に対 して、「比 尾 巴」は、それ ぞれ の動物 の しっぽを、2句ず つ を使 つて説 明 してい るのみで ある。 中国 語 は漢字 だ けで表現 され るために、「比尾 巴」 は簡潔 な表現 であるよ うな印象 がある。実際 は対象についての説 明の分量が異なってお り、それが内容 の深 さに結びついてい る。38
また、両教材では、取 り上げた動物の数が異なる。「くちば し」の方は 「きつつき」「お うむ」「はちどり」 とい う
3種
類の鳥が扱われているが、一方の 「比尾巴」は、鳥だけに限 定せず、「サル」「ウサギ」「リス」「おん どり」「カモ」「クジャク」 とい う6種
類の動物が取 り上げ られている。
さらに、両教材では内容の深 さが異なる。「くちば し」の方は、それぞれの鳥の くちば し の特徴か ら働 きまでを説明 している。それに比べて、「比尾巴」は、動物の しつぽの一 目瞭 然な特徴だけを書いている。「くちば し」は外見 と機能を関連づけて述べているが、「比尾 巴」は外見のみについて記 してお り、内容の深 さに違いがある。この内容の深 さの違い と、
上に述べた説明の分量の違いは関連 している。
3.筆
者 について両教材の筆者 についても着 日しておきたい。それぞれの文章を書いた人物 を紹介 した資 料を、以下に引用す る。
① 「くちば し」の筆者 0村田浩一氏
1952年
兵庫県生まれ。 日本大学生物資源科学部動物資源科学科教授。専門は野生動 物学
,野
生動物医学。野生動物保全を目的 とした広範な研究を行つている。著書に『 どうぶつえんにいこ う』(監修
,文
漢堂),『 新飼育ハ ン ドブ ック動物園編』(共著, 日本 動物園水族館協会),『 それ ゆけどうぶつ』(ぱすてる書房),『 動物お もしろ歯の百科』(斗夢書房
)な
ど。(光村図書 「小学校国語 目次/作者・筆者プロフィール
1年
」http://wwwo mitsumura―
tosho.co.jp/kyokasyo/syogaku/kokugo/contentslist/1nen /index.html#lnenPrOf18(2011年12月
10日アクセス)に
よる。)② 「比尾 巴」の筆者 0程宏明氏
1937年 生まれ。ペ ンネームは何越。出身地は河北省である。中国共産党の一員である。
1960年に天津師範大学の中文系か ら卒業。新聞『金揺笛』の編集長であ り、天津市児 童文学研究会会長でもある。1991年 に中国作家協会に入会 した。作品は子 ども詩集『 聴 明的仙鶴』、『 好玩的剪貼』、『 把我数去了』、『 宝宝歌揺』、『 彩色的花辮』など計20部あ ま り。発表 した歌詞 1000首 あま り。児童詩、歌詞は 100回 あま り、省 レベル以上の賞 を受賞 したことがある。作品『 比尾巴』、『 雪地里的小画家』、『 快済哩
,小
負』な ど、全国小学語文の教材 (香港を含む
)と
して、収録 されている。(「中国作家」http://WWw.chinawriter.como cn/zxhy/member/828.shtml(2011年
12月
10日アクセス)に
よる。)日本の科学的説明的文章の筆者 は、各分野の専門家である場合が多い。一方、中国の科
学的説 明的文章 は、各領域 の専門家 では ない人物 (作家
)に
よつて書かれてい ることが多 い。 よ り正 しい情報 を子 どもたちに伝 えるためには、その分野の専門家 に書いて もら う方 が よいだ ろ うし、その よ うな編集者 の思い も教科書か らは うかがわれ る。 これ に対 して中 国の教材 は、子 どもた ちに覚 えやす い よ うに、作家 に執筆 して も ら うこ とが多 くなった と 考 え られ る。 自分 の経験 を述べ るな らば、私 た ちは、 よく教科書 の内容 を暗誦 させ られ た。「た くさん よい文章 を覚 え、 自分が文章 を書 くときに役 に立たせ る」 といつた忠告 をた く さん聞い て きた。 この よ うな傾 向が昔か ら続 いていて、一般 的な傾 向で ある と思われ る。
覚 えやす い とい う点で言 えば、内容 が浅 く分量 も短 い、作家 の記 した 「比尾 巴」 の方 が望 ま しい教材である と言 えるのではないだろ うか。
第
2項
教 師用指導書 にお ける教材 の扱 われ方 の比較 について日本 と中国における説 明的文章教材 の違い と関連 して、 ここでは、それ らの教材 の扱 わ れ方 を比べ てみ る。 ここでは、各 国の教 師用指導書 に着 日して、 日本 の光村 図書 の小学一 年 の 「くちば し」 と中国人 民教育 出版社 の小学一年 の 「比尾 巴」 につい ての記 述 を比較 し てみたい。
① 教材 についての記述
0「くちば し」
本教材は、入門期の子 どもたちが初 めて出会 う説明的文章である。題名 の 「いろい ろな」に対応す るように、最初に五種類の くちば しの写真を提示 し、興味をもたせ る よ うに構成を工夫 している。
鳥の くちば しの形 を見た り、特徴か らどんな鳥であるかを知つた りす るのではな く、
くちば しの働 きを説明 していることが本教材 の特徴である。鳥について知つているか どうかを問わず、だれでも考えることができるので、興味や好奇心をもたせ ることが できる。
教材 は、左ページの文 と絵で問いかけを し、ページをめ くつて右ペー ジで答 えなが ら説明す るとい う構成が三回繰 り返 され る。そのため、児童はなぞ解 きのように興味 をもつて読み進めることができる。基本文型 を繰 り返 し読む過程で、文型 に慣れ、一 年生な りの論理的思考力 を養いたい。
写真 と文章で構成 された本教材での学習を通 じて、次のような効果が期待できる。
・説明的文章を読んで情報を読み取ることの楽 しさを経験する。
・画像をよく見て情報を読み取つた り想像 を広げた りする力を伸ばす。
。説明的文章を読むことに慣れ、内容を理解する力を伸ばす。
説明的文章を読み、物事を新 しく知つた り、いろいろな本を読みた くなつた りす るよ うな雰囲気を作 り、読む ことの楽 しさを見つけられ るように配慮 したい。
この時期の子 どもたちとつて、「鳥」は身近に感 じられ る動物である。しか し、「鳥」
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の くちば しの違 い に気づ いて子 どもがまだ少 ない と思 う。 それ ぞれ の くちば しの形 に よって、違 う餌 を食 べて、生活 を してい るこ とが ほ とん どの子 どもに知 られ てい ない と思われ る。
(光村図書出版
(2005)『
小学校国語 学習指導書 一 (上)か
ざぐるま』,光
村図書出 版,p.142。
)「比尾 巴」
在核子 的眼 中
,小
功物是他イ│]最来近 的朋友。本保用 三 同三答 的形 式,介
媚 了六神功物尾 巴的特点
,同
吋配 了六幅初欄 如生 的描 国。深 文那娘31■上 回、筒明易ll■、 扱 富ノL童
情趣 的悟言,能
激 起学生朗哉 的欲 望,述
能 引起 学生況察其他劫物尾 巴特 点的共趣。本保 的教学重 点是惧字 、写字和朗減。教学荘点是滅好文 中的 同句。
(日本語 訳)
子 どもた ちの眼 中で は、小動物 は もつ とも親 しみ の ある友達 の よ うな存在 で あ る。本教材 は、
挿絵 を6つ添 えなが ら、問い3つ、答 え
3つ
の形 で、6種類 の動物 の しつぽの特徴 を紹介 して い る。教材 は、子 ども向 きの言葉遣 いで、読みやす くて、内容 も分 か りやす い。子 どもたちの朗読 意欲 を湧 き立たせ る こ とがで きる。 さらに、子 どもた ちの、動物 の しつぽの特徴 を観 察す る関心を引 くこともで きる。
本教材 の重 点 は、漢 字 の読 み書 き及び教材 を読む こ とで ある。本教材 の難 しい ところは、疑 問 文 のイ ン トネ ー シ ョンを正確 に読む こ とで あ る。
(課程教材研究所小学課文課程教材研究開発中心
(2001)『
義務教育課程標準実験教科 書 語文 一年級上冊 教師教学用書』,人
民教育出版社,p.131。
)② 学習 日標 につい ての記述
・「くちば し」
◎写真を手がか りに して書かれていることの大体 をつかむ。
◎生き物への関心、形態 と生活の関係 についての知的興味を通 じて、国語学習への興 味 。関心 を高める。
この教材で身につけたい力
◎説明の順序や内容 を考 えなが ら読む (読イ)
◎問いかけ 。説明の語や文のま とま りを考 えなが ら、声に出 して読む。(読工)
○文の主語・述語のつなが りを確かめなが ら読む。(言工 (ア))
(光村 図書 出版