• 検索結果がありません。

将来の産業構造の構築に向けた振興策の方向

ドキュメント内 神戸地域 (ページ 99-126)

Ⅰ 経済社会の中長期的変化と本県産業・雇用構造への影響

③ 所得の低下、個人間格差の拡大

県内事業所で働く雇用者の現金給与総額は、平成 19 年まで好調な輸出に支えられた プラス成長を背景に増加していたが、平成 20 年以降、世界同時不況などの経済情勢の 悪化に伴い、下降傾向が続いている。また、バブル崩壊後増加を続けてきた非正規雇 用労働者の賃金水準は、正規雇用労働者に比較して低い水準にとどまり、所得の総体 的な低下だけでなく、個人間の格差も拡大を続けるおそれがある。

④ 更新期を迎える社会資本ストック

都市部においては、高度成長期以降に築き上げた大量の都市基盤や住宅ストックな どの社会資本ストックが更新時期を迎えつつある。このため、更新のための予算が増 大し、新規の社会資本ストック整備への予算が抑制される一方、建設設備に関する業 種等、都市基盤等の維持・管理に関連する産業への需要が高まることも予想される。

(2) アジア等新興国の経済の成長

① 新興国の経済成長と巨大市場の出現・発展

わが国経済の成熟化と対照的に、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの 新興国の経済が急速に成長している。海外企業の投資を呼び込み、自動車産業をはじ め付加価値の高い製造業の集積が急速に進み、製造業、非製造業を問わず海外企業の 進出が今後も進んでいく。

② 世界市場・アジア市場と我が国市場との均質化の進展

本県(神戸港)の輸出、輸入はアジア地域が5割以上を占めている。特に輸出では 中国(29.5%)などアジア地域の伸びが大きく、当該地域の重要性が増している。

今後、新興国の成長と所得水準の向上により、成長する新興国市場と我が国市場の 均質化が進み、鉄道、発電施設、高速道路など社会インフラ整備へのニーズや、所得 水準の向上に伴う高付加価値商品や生活関連サービスなど、新たなビジネスチャンス が増加していくと考えられる。

2.本県経済のボーダレス化

(1)中小企業を含む企業活動のボーダレス化

① 製造業の生産・開発・販売拠点の国際的な最適配置の進展

製造業全体において海外現地生産を行う我が国企業の割合や海外現地生産比率は 年々増加している。円高に対応し、安価な賃金など低い生産コストを求めて生産拠点 を海外に移転することに加えて、中国など新興国の経済成長が進展するに従い、人口 減少等によって縮小が予想される国内よりも成長する新興国での販路拡大を見込み、

消費地に近い場所への生産拠点の移転、さらには、開発拠点の構築を進める動きが増 えている。

② サービス業の国際的事業展開の活発化

中国をはじめとした新興国等への、建設、金融などのサービス輸出が活発化してお り、さらに、新興国における個人所得の向上により、外食、教養娯楽、教育など生活 の質を向上させる消費・サービス産業も大きく伸びる可能性がある。

今後、事業所向け・個人向けの双方で、サービス業など非製造業の国際的事業展開 の機会が広がっていくと予測される。

(2)企業人材の国際化

① 海外で活躍する企業人材の増加

グローバリゼーションの進展にともない、海外に在住する日本人は増加を続けてお り、平成 21 年 10 月時点で約 113 万人と推計されている(外務省調べ)。日本企業の 海外展開の増加に伴い、海外で勤務する日本人及びその家族は今後も増加すると予想 される。

② 外国人雇用の広がり

厚生労働省の調査によると、平成 21 年 10 月末現在、我が国で働く外国人労働者数 は約 56 万3千人となっている。また、近年、日本企業が中国など外国人留学生の採用 を増加させており、最近では留学生に加え中国から直接採用するケースも増加傾向に ある。内外市場の均質化が進むなかで、本県企業の外国人雇用も今後増加していくも のと考えられる。

(3)外国企業・外国人材の活躍と外国人旅行者の増加

① 先端技術企業、高度サービス業等の外資系企業の本県への進出

外国・外資系企業の県内への進出が増加している。業種は多様であるが、神戸医療 産業都市構想が進む神戸ポートアイランド地区への事務所設置を行う例も増加してお り、今後、先端的な研究開発型企業や、高度で付加価値の高い事業所向け・個人向け のサービスを提供する外国・外資系企業が増加してくるものと考えられる。

② 本県で暮らし働く外国人の増大と地域国際化の本格的展開

留学生や高度な技術・技能を持った在住外国人が増加傾向にある。新興国をはじめ 世界経済の拡大、企業活動のボーダレス化の進展にともない、学問、産業、文化など 様々な分野において、今後も内外からの人の集積が進んでいく。

③ 本県への外国人旅行者の急増

アジア諸国等からの訪日旅行者が本県においても近年急増している。観光関連産業 は、宿泊、飲食、運輸、小売、製造加工(土産物)等、極めて裾野の広い産業から構 成されており、大きな経済波及効果を地域全体にもたらすため、今後、訪日外国人に 対応した観光産業が地域の重要な産業となっていく。

3.少子高齢化、人口減少の加速と暮らし・産業の地域間格差の拡大

(1)地域間格差・人口偏在の拡大

東京一極集中など国内での地域間格差が問題となっているが、多様な地域で構成さ れる兵庫においても地域間の差異が増大しており、瀬戸内臨海部においては日本有数 の産業集積と人口集積を有するなか、引き続き人口増加が続く一方、他の地域では人 口減少が加速している。

(2)限界地域の拡大

県内の中山間地域の一部では、人口減少や地域活動の担い手不足等により、限界集 落が出現しつつある。高齢化が進行するなか、車等の移動手段が無ければ買い物など 基本的な日常生活にも支障を来すケースが増大していくと予想される。

また、都市部においても、開発後相当の年月を経たニュータウンなどでは、居住者 の大部分が高齢者となる場合も予想され、配食サービスなど生活支援サービスへの需 要も増加していくことが予想される。

(3)地域間の事業活動の格差拡大

県内各地に優れた企業が点在しているが、事業所数は神戸市、阪神地域、播磨地域 等に集中している。また、本県の工場立地は全国上位の件数が続いているが、地域別 では、臨海部や北播磨地域などに集中している一方、但馬・丹波・淡路などへの立地 件数は多くはなく、事業所の立地の地域間偏在が拡大し続けている。

4.環境・エネルギー問題による産業活動の制約(環境制約)の高まり

世界的な人口増加や産業活動の拡大に伴い、エネルギー需要増大や地球環境の悪化へ の懸念が増大している。低炭素社会の構築がグローバルな課題になるとともに、企業に 対しても供給サイドの制約が高まっている。企業の生産活動における制約はもとより、

企業イメージ向上のため、事業活動のあらゆる面で環境に優しい取り組みが求められて いく。

5.心の豊かさの希求と、働く意味の多様化

(1)一人世帯の増大

高齢化、晩婚化、非婚化などの影響で単身世帯や夫婦のみ世帯が増加しており、「世 帯」の規模がますます縮小する傾向がある。家族、地域などにおいて、人と人とのつ ながりが希薄化するとともに、日常の消費活動、介護・生活サービスの利用など、地 域経済に広い影響を及ぼす。一方で、インターネット空間や社会参加活動など新たな 形態、場での人と人とのつながり等が、新たな需要やビジネスを創出する可能性も高 まっていく。

(2)ものの豊かさから心の豊かさへ

ものの豊かさより心の豊かさを追求する価値観の変化が定着するとともに、余暇に 求める楽しみ・目的が多様化するなど、ライフスタイルの多様化が進んでいる。

このような様々な変化の中で、今後、社会的な関わりへの関心が一層高まるととも に、低成長下においても、地域資源型の物産や地産地消、ニューツーリズム、外国旅 行、文化娯楽、ボランティア活動など、健康や高品質なモノ・サービスへの関心や、

暮らしの豊かさを高める財やサービスへの需要は高まっていくと考えられる。

(3)働く目的の多様化

グローバリゼーションとIT技術が進み、働き方が多様化するとともに、仕事や社 会に対する人々の考え方にも変化が生じている。

こうしたなか、社会問題の解決を目的に事業を営む社会的企業(ソーシャル・ビジ ネス)の規模が徐々に拡大しており、今後、新たな事業主体として活動し、雇用を創 出するとともに、社会への影響を増加させていくものと考えられる。

(4)女性の就業の拡大

県内の女性就業率は全国と比較し低い傾向が続いているが、就業率は近年向上して いる。また、M字カーブが緩やかになるとともに、谷の年齢層が 30 代前半から後半へ と上に移動する傾向が見られる。一方、ワークライフバランスへの関心を高める企業 が増加しつつあるとともに、家庭内の仕事に関する男性の役割に関する意識は、徐々 に高まる傾向にある。

6.新たな社会ニーズに対応した新産業分野の成長

本県の強みやストックを活かした産業の成長は、産業振興に加え社会面からも大きな 意義を有する。県内には世界最先端の科学技術施設や企業集積が多く、ナノテク、バイ オ等各分野で革新的な研究成果や技術が生み出されるなど、強い産業の基盤となってい る。今後はこれらに加えて、環境・エネルギー、医療・福祉、農業など、社会ニーズに 対応し雇用創出効果の高い分野として成長していくと考えられる。

(1)環境・エネルギー関連産業の成長

世界的な人口増加や産業活動の拡大に伴い、地球環境の悪化とエネルギー需要の増 大が懸念され、地球環境への世界的な関心も高まっており、低炭素社会構築に向けて 供給サイドの制約が高まっている。このため、環境負荷を低減する技術・製品や、新 エネルギーに対する需要が増大しており、これをチャンスと捉える産業・企業が増加 している。

環境ビジネスの市場規模が今後も拡大を続けると見込まれるなか、県内には環境装 置の製造など数多くの環境関連企業とともに、二次電池や太陽光パネルといった新エ ネルギー関連企業が立地しており、環境・エネルギー分野は、本県経済の成長の一端 を担うことが期待される分野の一つである。

ドキュメント内 神戸地域 (ページ 99-126)

関連したドキュメント