• 検索結果がありません。

第3章 PP/CF 発泡体の内部構造と引張特性

3.2 ダンベル形試験片の内部構造の変化

3.2.2 射出速度の影響

N2注入量が0.5 wt%から1 wt%に増加すると,中間層は約5%減少するのに対し,

コア層では2%,スキン層では3%増加し,中間層厚さの変化率は他の層より大き い.N2注入量が増加すると,溶融樹脂の粘度が低下して流動性が向上することに より,せん断力は低下する.充填中に形成される中間層は,せん断力の影響を大 きく受けるため,N2注入量の増加によってせん断力が減少することで,中間層が 減少したと考えられる.

Figure 3.5 Relative share of layers of PP/CF10 as a function of N2 contents (PP/CF10, V:

50 mm/s).

およびコア層の気泡形状が均一になる傾向が認められる.

Figure 3.6 X-ray CT images of PP/CF foams under different injection speeds: (a) 100 mm/s, MD, (b) 100 mm/s, TD, (c) 150 mm/s, MD and (d) 150 mm/s, TD (PP/CF10, N2

content: 1 wt%).

射出速度がPP/CF発泡体の気泡径分布に及ぼす影響をFigure 3.7に示す.MDの 場合,射出速度が50,100,150 mm/sと増加すると,頻度のピークが20,30,50

mと気泡径が大きい方にシフトした.また,射出速度の増加に伴って,気泡径 はより広い分布に変化した.TDも同様の傾向を示した.

Figure 3.8に射出速度がPP/CF発泡体の平均気泡径および気泡密度に及ぼす影 響を示す.射出速度が50,100,150 mm/sと増加すると,MDにおける平均気泡径 が34,36,42 mと増加し,気泡密度は1.4 × 104,1.6 × 104,1.1 × 104 cell/cm2と 150 mm/sのとき減少した.TDもほぼ同様な傾向を示している.つまり,射出速 度が増加すると,微細気泡の割合が低下し,気泡径が大きくなるとともに,気泡

密度が低下する傾向が認められる.射出速度が大きい場合,充填完了から固化ま での時間が長くなり,気泡成長時間が長くなる.その結果,気泡径が大きくなり,

気泡の合一が起きやすくなる.さらに,射出速度の増加により,せん断力が大き くなり,その攪拌作用のため,成長中の気泡同士が合体しやすくなると推測され る.したがって,本研究の条件下においては,射出速度が遅いほどより多くの微 細な気泡を有する内部構造が形成されやすいことが認められる(Figure 3.1(e), (f)).

Figure 3.7 Cell size distributions of PP/CNF10 under different injection speeds: (a) MD and (b) TD (PP/CF10, N2 content: 1 wt%).

Figure 3.8 Average cell diameters and cell densities of PP/CF10 foams as a function of injection speeds (PP/CF10, N2 content: 1 wt%).

Figure 3.9に,射出速度が各層厚さに及ぼす影響を示す.射出速度が50mm/sか ら150mm/sに増加すると,スキン層厚さは約3%減少する.射出速度が増加する と,充填時間が短くなるため,高温樹脂が金型に与える単位時間当たりの熱エネ ルギーは高くなる.一方,金型から熱エネルギーを発散する時間が相対的に短い ため,融点以下に急冷される樹脂量が少なくなり,スキン層が薄くなると考えら れる.また,射出速度の増加により,中間層は2%薄くなり,コア層は6%厚くな った.中間層は充填中に形成されるため,射出速度の増加により充填時間が短く なるため,薄くなる.そのため,充填完後のコア層における固化時間は長くなり,

結果としてコア層が厚くなった.

Figure 3.9 Relative share of layers of PP/CF foams as a function of injection speeds (PP/CF10, N2 content: 1 wt%)