第3章 結果
3.2 睡眠状態と睡眠パターン
3.2.1 対象者全体の睡眠状態
分析対象者の1年間に収集できたデータは,のべ4,531夜であった(収集率84.9%).表 3.3に示すように,年間の平均入眠時刻は 19時 19分,平均起床時刻は 6時23分,平均睡 眠時間は 11時間5分であった.年間の各睡眠段階の平均割合は中途覚醒13.2%,レム睡眠
16.9%,浅睡眠65.9%,深睡眠4.2%であった(表3.4).
表 3.3 年間平均でみた要介護高齢者の入眠時刻・起床時刻と睡眠時間
入眠時刻 起床時刻 睡眠時間
(時:分±分) (時:分±分) (時間:分±分)
1 19:33±55 6:10±33 10:38±63
2 19:28±52 6:17±40 10:50±66
3 18:48±27 6:43±27 11:55±42
4 19:05±39 5:56±36 10:57±50
5 18:47±52 7:10±59 12:24±86
6 19:29±46 6:18±42 10:50±65
7 19:06±40 6:14±34 11:09±54
8 21:05±38 5:36±54 8:31±70
9 19:16±94 7:25±68 12:09±137
10 19:07±56 6:28±51 11:21±80
11 19:19±49 6:55±35 11:37±60
12 19:08±37 6:27±33 11:20±51
13 19:28±33 6:03±37 10:36±51
14 18:52±28 5:54±36 11:03±49
15 19:12±39 6:03±33 10:51±49
平均(4,531夜) 19:19±58 6:23±53 11:05±87 平均時刻/平均時間±標準偏差
ID
32
表 3.4 年間平均でみた要介護高齢者の各睡眠段階の割合
3.2.2 84 歳以下と 85 歳以上の要介護高齢者の睡眠状態の比較
分析対象者の平均年齢を基準として,それ以上である85歳以上(9人)と84歳以下(6 人)の睡眠状態を Studentのt検定を用いて比較したところ,入眠時刻(84歳以下;19時 28分,85歳以上;19時13分,p=0.289),起床時刻(84歳以下;6時21分,85歳以上;
6時 25分,p=0.860),睡眠時間(84歳以下;10 時間54分,85歳以上;11 時間13分,
p=0.592)のいずれも差はなかった.各睡眠段階の割合は,中途覚醒(84 歳以下;14.0%,
85歳以上;12.4%,p=0.268),レム睡眠(84歳以下;16.4%,85歳以上;17.4%,p=0.515),
浅睡眠(84 歳以下;65.0%,85 歳以上;66.4%,p=0.456),深睡眠(84 歳以下;4.5%,
85歳以上;3.8%,p=0.222)のいずれも有意差は認められなかった.
(%)
ID 中途覚醒割合 レム睡眠割合 浅睡眠割合 深睡眠割合
1 10.4±7.3 24.8±16.5 61.7±15.5 3.2±2.9 2 6.2±5.1 21.6±12.4 66.5±11.9 5.9±4.3 3 10.9±5.7 15.2±10.0 71.7±10.3 2.4±2.8 4 13.0±7.9 17.0±17.9 67.7±17.2 2.5±2.8 5 17.3±9.8 10.8±7.90 67.6±9.8 4.4±3.4 6 10.5±7.8 24.7±16.6 59.4±15.8 5.6±3.5 7 12.5±5.4 18.8±16.1 67.7±15.2 1.2±2.0 8 15.6±7.6 12.0±9.2 64.1±9.5 8.5±3.7 9 14.1±7.5 13.4±11.6 70.2±12.8 2.5±4.4 10 19.9±8.6 13.5±9.1 61.1±9.5 5.7±3.4 11 21.1±7.5 12.1±7.8 62.4±9.0 4.6±3.7 12 8.5±6.5 19.2±9.9 67.9±9.6 4.5±3.2 13 17.9±9.0 12.7±13.1 63.8±13.2 5.9±3.2 14 4.6±2.8 20.3±12.2 71.0±12.0 4.2±2.6 15 13.1±7.4 20.7±17.4 64.9±16.1 1.4±2.0 平均(4,531夜) 13.2±8.6 16.9±13.7 65.9±13.3 4.2±3.8 平均±標準偏差
33 3.2.3 2 つの睡眠パターン
独自に作成したソフトウエアを用いて,分析対象者の 1 年分の睡眠データをグラフ化し て観察した(付録).分析対象者のレム睡眠割合と中途覚醒割合の平均値を基準として,平 均値より多い場合,少ない場合でパターン分けしたところ,2つの典型的なパターンが見出 せた.表3.5に示すように,レム睡眠が多く中途覚醒が少ないパターンが 15人中8人,レ ム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターンが 15人中6人であった.2つのパターンのいずれ にも該当しない者が 1人で,レム睡眠,中途覚醒ともに少なかった.
表 3.5 2 つの睡眠パターン
2つの睡眠パターン別に睡眠状態を比較した.その結果,入眠時刻,起床時刻,睡眠時間 に差はなかった(表 3.6).各睡眠段階の割合をみてみると(表 3.7),中途覚醒は,レム睡 眠が多く中途覚醒が少ないパターンは 9.9%,レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターンは
17.4%で有意差を認めた(p=0.000).また,レム睡眠は,レム睡眠が多く中途覚醒が少ない
パターンは 21.0%,レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターンは 12.7%で有意差を認めた
(p=0.000).浅睡眠と深睡眠に差はなかった.
睡眠パターン 対象者 人数(人)
レム睡眠が多く中途覚醒が少ないパターン ID1 ID2 ID4 ID6 ID7 ID12 ID14 ID15 8
レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターン ID5 ID8 ID9 ID10 ID11 ID13 6 ID3は非該当
34
表 3.6 睡眠パターン別にみた入眠時刻・起床時刻と睡眠時間
表 3.7 睡眠パターン別にみた各睡眠段階割合
2つの睡眠パターン別に移動手段をみてみると(表3.8),レム睡眠が多く中途覚醒が少な いパターンでは,歩行器使用が 3 人(37.5%),車いす自走が 4 人(50.0%),独歩が 1 人
(12.5%)であった.レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターンでは,歩行器使用が 2 人
(33.3%),車いす自走が4人(66.7%)であった.
表 3.8 睡眠パターン別にみた移動手段
入眠時刻 起床時刻 睡眠時間
(時:分±分) (時:分±分) (時間:分±分)
レム睡眠が多く中途覚醒が少ないパターン n=8
レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターン n=6
p値 0.357 0.166 0.796
Studentのt検定:有意差なし 睡眠パターン
19:15±15 6:09±11
平均時刻/平均時間±標準偏差
10:55±13
19:32±47 6:35±38 11:03±80
睡眠パターン 中途覚醒割合 レム睡眠割合 浅睡眠割合 深睡眠割合
レム睡眠が多く中途覚醒が少ないパターン 9.9% 21.0% 65.8% 3.6%
n=8 (64.8±21) (135.3±14) (431.6±29) (23.1±12)
レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターン 17.4% 12.7% 64.7% 5.3%
n=6 (116.0±23) (83.0±9) (431.4±67) (33.4±9)
p値 0.000 0.000 0.589 0.098
Studentのt検定
( )内は平均時間±標準偏差[分]
n(%)
歩行器 車いす自走 独歩 レム睡眠が多く中途覚醒が少ないパターン
n=8
レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターン
n=6 2(33.3%) 4(66.7%)
睡眠パターン 移動手段
3(37.5%) 4(50.0%) 1(12.5%)
0(0%)
35
この2つの睡眠パターンの典型例を示す.「LS」は浅睡眠(light sleep),「DS」は深睡眠
(deep sleep),「REM」はレム睡眠,空白部分は覚醒または不在を表す.
図3.1は,ID14,80歳代女性(歩行器使用,要介護3)の1年間の睡眠状態である.レ ム睡眠が多く中途覚醒が少ないパターンであった(表 3.5).この対象者の年間の平均入眠 時刻は 18時52分,起床時刻は5時54分,睡眠時間は11時間3分であった.各睡眠段階 の割合は中途覚醒 4.6%,レム睡眠20.3%,浅睡眠71.0%,深睡眠4.2%であった(表3.3, 3.4).
36
図 3.1 レム睡眠が多く中途覚醒が少ないパターン
(80 歳代女性,歩行器使用,要介護 3)
時刻 月
ID14
37
図3.2は,ID13,90歳代女性(歩行器使用,要介護3)の1年間の睡眠状態である.レ ム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターンであった(表 3.5).この対象者の年間の平均入眠 時刻は 19 時28分,起床時刻は6時3分,睡眠時間は10 時間36分であった.各睡眠段 階の割合は中途覚醒 17.9 %,レム睡眠12.7%,浅睡眠63.8%,深睡眠5.9%であった(表 3.3, 3.4).
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図 3.2 レム睡眠が少なく中途覚醒が多いパターン
(90 歳代女性,歩行器使用,要介護 3)
時刻 月
ID13
39