23.腎
25. 対 症
たいしょう
療 法
りょうほう
[関連] 原因げんいんりょうほう療 法(類型B) 根治療法こんじりょうほう(類型A) 姑息的療法こそくてきりょうほう(類型A)
Q O L
キューオーエル
(類型C)
まずこれだけは
病気の原因を取り除くのではなく,病気によって起きている症状を和らげたり,なく したりする治療法
少し詳しく
「病気によって起きている,痛み,発熱,せきなどの症状を和らげたりなくしたりす る治療法です。一時的に病気を和らげるものですので,病気そのものや,その原因を治 す『原因療法』とは違います」
58 時間をかけてじっくりと
「病気によって起きている,痛み,発熱,せきなどの症状を和らげたりなくしたりす る治療法です。病気そのものや,その原因を治す『原因療法』とは違います。例えばが ん治療の場合,苦痛となる症状を和らげることで,日々の生活を快適にすることができ,
充実した時間を過ごすことに役立ちます。『対症療法』と『原因療法』とが同時に行わ れることも多いです」
こんな誤解がある
耳で聞くと「タイショリョウホウ」とも聞こえ,「対処療法」と誤解している人が多 い(26.8%)。症状を和らげるための治療法であることが分かるように,必要に応じて 漢字で書いて示す配慮も望まれる。
言葉遣いのポイント
「対症療法」の認知率は 63.5%だが,理解率は 48.2%であまり高くない。また,実 際にどのような治療をし,それにどのような効き目があるのかについては,理解してい ない人も多いと考えられる。適切な理解につながる説明が必要である。
ここに注意
(1)対症療法が,本来の病気の診断の妨げになったり,かえって病気を悪化させたり する場合もあることを,患者に十分に説明しておく必要がある。特に,発熱や下 痢などは,ウイルスや細菌の侵入に対抗して,それらの病原体を排除しようとす る防御反応でもあり,それを和らげる対症療法として,解熱剤や下痢止めを服用 することは,回復を遅らせる場合もあることを患者に理解してもらう必要がある。
(2)患者は「病気を元から治す」と言うと喜ぶものである。それに対して「症状を楽 にする」だけの対症療法は,一時しのぎ,単なる痛み止めと喜ばないことも多い。
QOL(その人がこれでいいと思えるような生活の質)(→53)をよくするために,
対症療法も大変効果があることを伝えたい。また,痛み止めや解熱剤を強く希望 する患者には,病気の回復の妨げになることもあることを理解してもらうと同時 に,そのおそれの少ない薬物を使うことも考えたい。
関連語
根治こ ん じ療法(類型A)
説 明 「病気を,その原因を取り除くことによって,根本から治すことを目 指した治療法です。『原因療法』とほぼ同じ意味です」
注意点 「根治」という言葉は日常語であまり使われず,「コンジ」という音か ら漢字を思い浮かべにくい人も多いので,「原因療法」という言葉を使う
59 方が分かりやすい。
姑息こ そ く的療法(類型A)
説 明 「病気の原因を取り除くのではなく,痛みなどの症状を和らげる治療 法です。『姑息的治療』『姑息治療』などとも言います。『対症療法』と同 じ意味です」
注意点 日常語の「姑息」は,「姑息な手段で責任を逃れた」などと使い,マイ ナスイメージが強い。医療者が使う「姑息的」は,患者には悪い意味に 解釈される危険があるので,患者には使わない方がよい言葉である。
26.頓服
とんぷくまずこれだけは 症状が出たときに薬を飲むこと
少し詳しく
「食後など決まった時間ではなく,発作時や症状のひどいときなどに薬を飲むことで す」
時間をかけてじっくりと
「一日一回とか毎食後とか,決められたときに薬を飲むのではなく,症状が出て必要 になったときに薬を飲むことです。『頓服とんぷく薬』と言うのは,そのようにして飲む薬のこ とです」
こんな誤解がある
(1)鎮痛剤(痛み止め)のことだという誤解(34.1%)や,解熱剤(熱冷まし)のこ とだという誤解(33.4%)が多い。これらは,「頓服とんぷく」として処方された薬を,そ のときの症状に効く薬だと思い込んでしまうことによる誤解である。
(2)包装紙にくるんだ薬のことだという誤解もある(16.2%)。これは,処方された薬 の形状によるもので,ほかに,粉薬だとか,座薬だとかいう様々な誤解がある。
(3)症状が出たら何度でも飲んでよいという誤解もある(7.3%)。これは,症状が出 たら飲むようにと言われたものを,効き目がみられないからと何度も飲んでしま うことによる誤解だと考えられる。
60 言葉遣いのポイント
「頓服とんぷく」は,認知率は比較的高いが(82.6%),理解率はかなり低く(46.9%),見聞 きはするけれど意味の分からない人の多い言葉である。「頓とん」は「一度」という意味だ が,義務教育では習わないこともあり,一般にはなじみのない漢字である。このため,
「トンプク」と聞いても漢字が思い浮かばず,「頓服」という字面を見ても意味が分か らないのだと考えられる。この言葉を使うときは,意味を言い添えたり書き添えたりす るようにしたい。
ここに注意
こんな誤解がある(1)(2)に記した誤解は,頓服とんぷくを処方する際に必ず説明を付け ることによって,かなり回避できると考えられる。(3)の誤解は,説明が不十分なた めに起きるものであるので,服用の際の注意事項を丁寧に説明したい。
27.敗 血 症
はいけつしょうまずこれだけは 血液に細菌が入って全身に回り,重い症状になった病気
少し詳しく
「血液に細菌が入って全身に回り,からだの抵抗力が負けて重い症状に陥った病気で す。高熱や頭痛などを起こし,そのままにしておくと命にかかわります」
時間をかけてじっくりと
「からだの一部に細菌がはびこり,そこから血液中に絶え間なく菌による毒が流れ込 みます。その毒が全身に回って,からだの抵抗力が負けて,肺や腎臓じんぞうなどの大事な臓器 がおかされる病気です。治療が遅れると命にかかわるので,抗菌剤などを使い,早めに 治療します」
こんな誤解がある
(1)赤血球や白血球が壊れて少なくなる病気だと誤解している人もいる(14.1%)。「敗 血症」という字面から,勝手な解釈をした誤解の例だと考えられる。
(2)この言葉を聞き慣れない人は,耳で聞いただけでは,「肺結晶」「肺血症」「肺穴症」
などと勝手に漢字を引き当ててしまうおそれがあるので,漢字を書いて説明した い。
61 言葉遣いのポイント
「敗 血 症はいけつしょう」という言葉は,認知率 70.1%,理解率 38.0%で,見聞きしたことのある 人は少なくないが,意味を理解している人はかなり少なく,認知と理解に落差がある。
説明を付けずにそのままで使うことは避け,患者の理解度を確かめながら,からだに起 こっている状態を丁寧に説明することが大切である。
不安を和らげる
(1)この病気について古い知識を持っている人など,重い症状になると助かる見込み がないと誤解している人も多い(27.4%)。緊急性,危険性を強調するのは必要だ が,過度な不安を引き起こさないようにも配慮したい。
(2)血液中に細菌が入るだけでは「敗 血 症はいけつしょう」とは言えない。細菌による毒が全身に回 ってからだに悪影響があることによって「敗血症」と診断される。病気を正しく 理解してもらえる説明を加えることが,不安を抱かせないことにつながる。
28.メタボリックシンドローム metabolic syndrome
[関連] 脂質異常症ししついじょうしょう(高脂血症こうしけっしょう)(類型B) 糖 尿 病とうにょうびょう(類型B)
心筋梗塞
しんきんこうそく
(類型B) 脳梗塞のうこうそく(類型B)
まずこれだけは 内臓に脂肪がたまることにより,様々な病気を引き起こす状態 内臓脂肪症候群
代謝症候群
少し詳しく
「内臓に脂肪がたまることにより,様々な病気が引き起こされる状態です。引き起こ される危険がある病気は,高血圧,脂質異常症(高脂血症)(→41.動脈硬化 の 関連語),
糖尿病(→40)などです。また,心筋梗塞こうそく(→41.動脈硬化 の 関連語)や脳梗塞(→
41.動脈硬化 の 関連語)のおそれもあります」
時間をかけてじっくりと
「生活習慣病の代表格に肥満,高血圧,脂質異常症(高脂血症),糖尿病があります。
これらの病気は,特に内臓に脂肪がたまることで,代謝の働きが正常でなくなることが 原因であるとされています。この内臓の脂肪や代謝の異常により様々な病気が引き起こ される状態を『メタボリックシンドローム』と言います。メタボリック(metabolic)
は代謝,シンドローム(syndrome)は症候群のことで,『代謝症候群』と訳されます。