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4. 小水力発電事業の融資の検討にあたっての基本的留意事項

4.5 法的対応事項に係る留意事項

4.5.3 土地の転用

小水力発電設備を設置する土地を、元々の用途から転用して利用する場合、手続きを行う 必要があります。主な転用の対象としては、道路、林地、農地があり、以下の手続きを要し ます。

 道路を転用する場合は、占用許可を受けるために道路法に従った手続きを要します。

また、道路占用許可の期間は最大 5 年間のため、更新が円滑に行われるように留意 する必要があります。

 林地を転用する場合は、森林法に従った手続きを要します。

 農地を転用する場合は、農地法及び農業振興地域の整備に関する法律(農振法)に従 った手続きを要します。

なお、平成25年11月22日に公布、平成26年5月1日に施行された『農林漁業の健全 な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(農山漁村再生 可能エネルギー法)33』により、下記の土地については、再生可能エネルギー発電設備整備 区域(「整備区域」)に第1種農地を設定することが可能となりました。

① 再生利用困難な荒廃農地

② 再生利用可能な荒廃農地のうち、生産条件が不利で、相当期間耕作に供されず、受け 手が見込まれないため、今後耕作の見込みがない土地

また、小水力発電設備及び風力発電設備に関しては、次の要件を満たす第 1 種農地につ いて荒廃農地以外の農地も整備区域に含めることが可能となりました。

① 年間を通じて安定的に風が観測される場所又は農業用水等を用いて効率的に発電す ると見込まれる場所であること

② 農地の集団化等農作業上の利用に支障がない位置にあり、必要最小限の農地を設定 するものであること

また同法律では、農地法、森林法に基づく許可または手続きのワンストップ化措置を規定 しています。加えて、国の基本方針に沿って定められた市町村の基本計画に基づいて認定さ れた再生可能エネルギー発電設備整備計画については、以下の特例措置が取られることと されています。

 農地法、酪肉振興法、森林法、漁港漁場整備法、海岸法、自然公園法及び温泉法に基 づく許可または届出の手続きのワンストップ化(認定により許可があったものとみ なす等)

 再生可能エネルギー発電設備の円滑な整備と農地の集約化等を併せて図るために行 う、市町村による所有権移転等促進事業(計画の作成・公示による農林地等の権利移 転の一括処理)

一方、農山漁村再生可能エネルギー法では、農振法で定められた農業振興地域の転用に 関して、市町村が当該区域を将来的に農用地等として利用すべきとして指定したもので あることから、指定除外に係る特例措置は講じていません。農業振興地域に関する規制概

33 条文等については、以下のウェブサイトを参照。

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/houritu.html

要は以下のとおりです。

 都道府県が指定した農業振興地域のうち、農用地区域については転用禁止。

 農業振興地域のうち、農振白地地域と農業振興地域外の第1種、第2種、第3種農 地については、一定の条件を満たせば転用許可。

 農地面積によって許可権者が定められ、4ha以下の農地転用では都道府県知事(2~

4 haは農林水産大臣に協議)が、4ha超の農地転用では農林水産大臣が許可権者と

なる。(農地法)

金融機関においては、事業者が農地への設置を検討している場合に、農地転用が可能な 土地であるかどうか、必要な手続きを進めているか、手続きに要する期間を事業計画に織 り込んでいるか確認することが重要です。

4.5.4 その他関係法令に関する事項

小水力発電を行う場合の主要な許認可手続きは、電気事業法及び河川法による手続きです が、発電所の設置場所によっては、自然公園法等他の関係法規に関する手続きが必要となる 場合があります。

小水力発電事業の実施時に留意すべきその他の主な関連法令を 3.6.3 に掲載しています。

事業の実施にあたっては、対応が必要な法対応について、いつ申請すれば、いつ頃許可が 得られるかを事業計画の段階で考慮することが重要です。