• 検索結果がありません。

5. 事業性評価の評価項目及び評価手法等の解説

5.1 収支計画

事業性の評価を行うにあたっては、支出項目及び収入項目を網羅的に算定することが重 要です。

5.1.1 収入

収入項目としては売電収入が挙げられます。

売電収入は、

売電収入(円/年) = 売電価格(円/kWh)× 発電量(kWh/年)

で試算されます。

発電量の試算にあたっては、

・ 使用流量

・ 設備利用率 を用います(3.4参照)。

5.1.2 支出

支出の算定に必要な項目を表 5-1に示します。

小水力発電所の耐用年数は、建物や水路、機械装置等施設ごとに異なります(表 5-2)。 簡易的に行う場合には、設備全体の平均値である40年として算定します。なお、新たな構 造物の設置がほとんど不要で、建設費の大半を機械装置が占めるような地点は機械装置の 耐用年数である20年とします。

なお、再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置により、固定資産税の軽減 が可能です。具体的には、固定資産税が課せられることとなった年度から 3 年分の固定資 産税に限り、課税標準を課税標準となるべき価格の軽減が可能です(適用期限:平成31年 度末まで)。FIT認定を受けていることが要件で、課税標準は、設備の出力によって変わり、

5,000kW以上の水力発電設備では2/3、5,000kW未満の水力発電設備では1/2です。

表 5-1 支出の算定に必要な項目

項目 算定の考え方

初期 費 用

発電設備費用 水車、発電機、主要変圧器等の設備費 土地購入費用 土地を購入する場合

土木工事費用 水路や機械装置等の設置・工事費用 系統費用 系統連系に必要な費用

その他費用 プロジェクトファイナンスの場合:

各種アップフロントフィー(初期手数料)

運 営 管 理 時 に 発 生 す る 主 な コ ス ト

人件費 ダム水路主任技術者、電気主任技術者等の雇用に係る費用

(必要な場合)

土地賃借料 土地を借りる場合の賃借料(賃借がなければ不要)

水利使用料 発電用水利権が必要な場合の使用料 販売費及び一般管理費 管理費及び予備費用

電気代 施設・設備で消費する買電費用

メンテナンス費用 電気保安上の定期点検や発電量監視業務等に係る費用(巡 視、緊急時対応等の管理体制に依存)、保守管理業務の費用、

ごみの流入に対する除塵費用 等

修繕費 各種設備の部品交換・修繕に要するコスト(周期的なオーバ ーホール、消耗品の交換)

保険料 機械保険、火災保険等 その他費用

小水力発電事業そのもの以外の運営コスト

(会計事務所への管理委託費用等)

シンジケートローンの場合:エージェントフィー

税 金 等

固定資産税

課税評価額×1.4%

(課税標準の特例措置の適用可能性がある)

なお、自治体が運営主体であれば不要 法人税 各事業者における法人税を算定

法人住民税 各事業者における法人住民税を算定

法人事業税(電気事業) 売電収入(税抜)×0.9%(超過税率は0.965%)

地方法人特別税 売電収入(税抜)×0.9%×43.2%

そ の 他

廃棄費用 小水力発電設備の撤去、発電用地の原状回復に要する費用 減価償却費36 表 5-2参照

融資支払利息 借入金額、借入期間、借入利率から算出

36 小水力発電事業では、融資返済期間が、減価償却費の設定上の耐用年数よりも短いために、長期的な事 業計画では黒字であるにもかかわらず、融資返済期間中に運転資金不足に陥る可能性がある点に留意され たい。

表 5-2 小水力発電に関する設備等の償却年数と償却率

項目 償却年数 償却方法

定率法 定額法

建物 39年 0.057 0.026

水路 堰堤・導水路・水圧管路等 57年 0.040 0.018 機械装置 水車・発電機・連系機器等 20年37 0.099 0.050 無形固定資産 水利権取得に要した費用 20年 0.099 0.050

37 電気業用水力発電設備は22年。その他の水力発電設備は20年。