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富裕層(既得権益集団)の生活状態 ―開発・近代農法普及による利益拡大―

ドキュメント内 第3章 (ページ 53-59)

3.1 ユニオン評議会議長・議員(2000年8月、アンケート調査)

ここでは、3ヵ所のユニオン評議会で実施したアンケート調査より、ユニオン評議会議長及び議員の 生活状態を見てみよう。調査日程・方法は、以下のようになっている。Ginユニオン評議会での調査は 8月14日に同ユニオン評議会にて、Golユニオン評議会での調査は、8月17日にユニオン評議会議長 にて実施した。調査方法は、当日集まった議長・議員にアンケート用紙を配布し、質問事項に対して各 自記載してもらった。また、ダウドゥカンディ郡の管轄となるGauユニオン評議会での調査であるが、

ユニオン評議会議長宅にて議長にアンケート用紙を手渡し(同年8月14日)、各議員への調査を依頼し た。しかし、翌 15日に「議員の集まりが良くない」という返答が議長よりなされた。そのため、8月 18日に再度議長宅を訪問し、当日集まった4人(議長を含む)に調査を依頼した。なお、この議長は、

アンケート項目の一部を読解できていなかった。表3-7は、そこでの調査項目と調査内容について見た ものである。以下、それぞれの調査項目より、ユニオン評議会議長・議員の生活状態について考察した い。

(1) 年齢と識字・就学状況

上述した貧困層からの聞き取り調査とは異なり、ユニオン評議会議長・議員の中で、自分の年齢を正 確に言えない人は1人のみであった。就学状況について見ると、3人(男性)のみが初等教育(クラス 5まで)修了となっているが、その他18人はSSC(Secondary School Certificate;中等教育修了証)以 上の学歴を有しており、中でも2人の男性が学士を取得している。

(2) 職業と収入

女性3人の職業を見ると、1人は家事労働となっているが、その他の2人は現金収入を得られる仕事に 就いており、1人はNGOスタッフ、1人は農業とビジネスを行っている。また、男性18人については、

全員が農業のほかに何らかのビジネスを行っている。とりわけGolユニオンとGauユニオンの評議会 議長は富裕層に属しており、それぞれの収入は、他の調査対象者と比較しても桁違いとなっている。ま してその他の農村居住者、とりわけ最貧困層との経済格差は歴然としている。

(3)土地所有

彼・彼女らの全員は、屋敷地のほかの農地を所有しており、そこで米や野菜を栽培している。これら の土地は、基本的には男性(夫)の父親から相続されたものであるが、1人の評議会議長と4人の評議 会議員が新たに土地を購入していることが分かる。このような生活状態は、自らの農地さえ所有できず、

生活費のために借金をせざるを得ない貧困層の生活状態とは乖離している。

表3-6 : ユニオン評議会議長・議員の生活状態

ユニオン評議 会・ 事例

役職 性別 年齢 学歴 職業 収入/1ヵ月

(/1年) タカ

1 議長 男性 39 HSC 農業/ビジネス 5,000

2 議員 男性 48 LS中退 農業/ビジネス _

3 議員 男性 35 初等教育 農業 4,000

4 議員 男性 45 初等教育 農業/ビジネス _

5 議員 男性 45 初等教育 農業/ビジネス _

6 議員 女性 35 SSC NGOスタッフ(夫はサービス業) 2,700 (夫4,500)

7 議員 男性 30 BS 農業/ビジネス _

8 議員 女性 35 LS 家事労働 _

Gin

9 事務官 男性 51 SSC 農業/ビジネス 7,000(8万/1年)

1 議長 男性 47 HSC 農業/レンガ工場経営/土地開発 17,000

(20万/1年)

2 議員 男性 40 HSC 農業/ビジネス 2,500 (3万/1年)

3 議員 男性 31 SSC 農業/ビジネス 2,500 (3万/1年)

4 議員 女性 32 HSC 家事労働、農業/ビジネス _

5 議員 男性 50-60

推定

SSC 農業/ビジネス 3,000

6 議員 男性 40 SSC 農業/ビジネス 3,000

7 議員 男性 45 LS 農業/ビジネス 3,000

Gol

8 議員 男性 65 LS 農業/ビジネス 3,000

1 議長 男性 35 BS 農業/ビジネス 15,000

(20-40万/1年)

2 議員 男性 50 SSC 農業/ビジネス 3,000

3 議員 男性 50 LS 農業/ビジネス 3,000

Gau

4 議員 男性 40 SSC 農業/ビジネス 3,000

注 1:初等教育はクラス5まで、LS は Secondary Level でクラス8まで、SSC は Secondary School Certificate ;中等教育修了証、HSCはHigh School Certificate ; 高等教育修了証、BSはBachelor of Scienceをさしている。

2:土地の単位は、1エーカー=3カニ、12クニ、100ショタンショ、100ショトクとなっており、回答 者が使用した単位を記載している。但し、コトワリ郡では、1エーカー=4カニ、12クニとなってい る。また、カニ、クニは、当該地域で使用されているもので、北部ではビガーを使用しており、3ビ ガー=1エーカーとなっている(ダウドゥカンディ郡とコトワリ郡での聞き取り調査による)。 3:_については、回答が記載されていない。ただし、事例7・8の議員は、屋敷地・農地を所有している。

4:表左頁の出所は、表2-15である。

屋敷地面積 農地面積 農作物種類 土地購入の目的・面積 1/5エーカー 約5エーカー 米、野菜、ジュート なし

1/4エーカー 70ショトク 米 なし

13ショトク 5カニ _ なし

7.5ショトク 60ショトク _ なし

1.5ショトク 1.5ショトク 米、小麦、じゃが芋 なし

30ショトク 3カニ 米、小麦 農作物栽培、24ショトク

_ _ _ なし

_ _ _ なし

0.7ショトク 0.9ショトク 米、小麦、じゃがいも なし 2千平方フィート 約6エーカー 米、小麦、じゃがいも、ジュート、油種、野

農作物栽培、1エーカー 1.5千平方フィート 5エーカー 米、小麦、じゃが芋、野菜 なし

1千平方フィート 約6エーカー 米、小麦、じゃが芋、野菜 農作物栽培、1エーカー 2千平方フィート 3エーカー 米、小麦、じゃが芋、野菜 ビジネス、1エーカー 15ショトク 1エーカー 米、小麦、ジュート なし

15ショトク 1エーカー 米、小麦、ジュート なし 15ショトク 1エーカー 米、小麦、ジュート他 なし

70ショトク 3エーカー _ 農作物栽培、35ショトク 8ショトク 30カニ 米、ジュート、唐辛子他 なし

50ショトク 250ショトク 米、小麦、ジュート、唐辛子 なし 15ショトク 3エーカー 米、小麦、ジュート なし

45ショトク 150ショトク 米、小麦、じゃが芋、ジュート、唐辛子 家屋建設、30ショトク

3.2 事例-ダウドゥカンディ郡(2000年8月、2002年8月、2004年12月、個別訪問調査)

次に、ダウドゥカンディ郡の既得権益集団の中で、GauユニオンP村に居住するユニオン評議会議長 及びTCCA議長に焦点をあて、それぞれから実施した聞き取り調査に基づき、彼らの生活状態を概観し てみよう。

(1)ユニオン評議会議長

ユニオン評議会議長からの聞き取り調査は、2000年8月、2002年8月及び2004年12月に実施して いる。なお、モデル農村開発プログラム終了後の2004年12月時点では、彼のユニオン評議会議長とし ての任期は終了していた(彼自身は再選されると思っていたが、落選してしまったということである)。

さて、2004年12月時点における彼の家族成員と識字・就学状況、土地所有状況、事業内容は、以下 のようになっている。

① 家族成員と識字・就学状況

父 : 51-52歳 高等教育修了(HSC : High School Certificate取得)、大学に進学したが、BSC(Bachelor of Science Certificate)試験不合格

母 : 41-42歳 中等教育修了(SSC取得)

長男 : 21歳 ダッカの大学在籍中 2年生 長女 : 19歳 高等教育修了(HSC取得)

大学入学の準備中 (Independent University in Dhaka 1月7日 入学試験)

二女 : 14歳 クラス9 三女 : 4歳

3人の子どもたちは、1.5キロメートル離れた私学の小学校(クラス1~5)にスクール・バスで通わ せたが、バス利用料金は、1ヵ月につき、1人300タカであった。その他、入学金は1人につき500タ カで、毎月の授業料は、クラス1で200タカ、クラス5で300タカであった。この学校には中等クラス

(クラス6~10)はないので、二女は、1.5 キロ離れた政府系の中学校にリキシャで通っている。教育 に対する考え方はとしては「子どもたち全員に修士号を取得させたい。博士号については、子どもの希 望次第と考えている。子どもたちから外国に留学したいと言われれば、その希望を叶えるためなら努力 を惜しまない」と回答している。

② 土地所有状況

家敷地、池を合わせて15カニ(約5エーカー)、農地は12~13カニ(約4と1/3エーカー)

③ 事業

ⅰ 土木建設請負業(Construction Farm)のオーナー(そのためのライセンスを所有)

政府が道路や小学校を建設する際、それを請け負うための交渉や入札を行う。そこで彼の会社が選ば れると仕事が入ってくる。常勤従業員はいないので、仕事に応じて人を雇っている。現金収入は、年度 や政権によって大きく異なる。モデル農村開発計画との関係でいくつかの仕事があったが、ここ3~4 年は何ら仕事を請け負っていない。それ以前は、BNP政権下では1年に20万タカ、アワミ連盟政権下 では1年に40万タカ前後の現金収入があった。税金は、最高額で10万タカ(1年間)を収めたことも ある。例年、個人の税金として3,000タカを収めている。

ⅱ 店貸出業

バザールに店舗を所有し、それを貸出している。そこでの賃貸収入は、1年間で5万タカ前後になる。

ⅲ じゃが芋冷凍保存と販売

例年、2月末から3月にかけて、1kg当たり4タカのじゃが芋を4万8000キロ分購入する。その他、

季節の野菜が安く出回る頃に購入し、冷蔵庫に保管する。冷蔵庫は、1ヵ所につき1万タカの賃借料を

支払い、例年5~6ヵ所借りている。そして、品不足で野菜が高値となる雨季にそれらを販売する。昨 年(2003 年)は、野菜購入料金や冷蔵庫賃借料金等全てを含めてこの事業に 30 万タカを支出し、12 万タカの利益があった。

ⅳ 農業と魚養殖

稲作は乾季のみ行っている。余剰農作物は冷蔵庫に保管し、品不足になる雨季に高値で販売している。

魚養殖でも利益を上げている(詳細は聞けけなかった)。

(2)TCCA議長

TCCA議長からの聞き取り調査は、2000年8月と2004年12月に実施している。なお、モデル農村 開発プログラム終了後の2004年12月時点では、彼のTCCA議長としての任期は終了していた。

さて、2004年12月時点における彼の家族成員と識字・就学状況、土地所有状況、職種は、以下のよ うになっている。

① 家族成員と識字・就学状況 父 : 48歳 学士(商業専攻)

母 : 42歳 高等教育修了(商業専攻)

長女 : 26歳 ダッカ大学修士課程(MBA : Master of Business Association)

長男 : 22歳 オーストラリアの大学に留学中(商業専攻)

二女 : 19歳 高等学校、大学進学予定(商業専攻)

② 土地所有状況

農地 : 18カニ(約6エーカー)、屋敷地 : 約1エーカー その他 : レンガ工場、カレー粉工場の土地

③ 職種

ⅰ レンガ工場経営

雇用者 : 常勤8人、季節労働者150人

季節労働者の雇用期間は 11 月から4月までとなっている。日当は出来高に応じて決定しているが、

平均すると約100タカ前後となっている。こうした賃金体系について、TCCA議長は「出来高制を採用 しているのだから男女の賃金格差にはつながらないはずだ」と話している。年間税額は例年13万5000 タカとなっているが、総収入や利益は年度によって異なるため、正確には言えないということであった。

ⅱ カレー粉工場経営 雇用者 : 常勤5人

ⅲ オイル・ミール貸出 雇用者 : マネージャー1人

妻の名義で貸出しているため、年間税額は1万2000タカとなっている。

ⅳ 近代農法(乾季のみ)

3年前から、18カニある農地の半分(9カニ)で、乾季のみ米を栽培している。残りの9エーカーは 1カニにつき1,500タカ前後で貸出しているが、稲作を始める以前は、18カニ全てを貸出していた。さ て、乾季 に近代農法を行うに際して、動力ポンプ(1万タカ)、脱穀機(1,500タカ)を購入している。

トラクターを所有すると維持費とメンテナンス料金がかさむので、例年3カニにつき200タカ (運転 手の雇用を含む)で借用している。農地はレンガ工場の隣接しており、レンガ工場のマネージャーが管

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