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実験結果

ドキュメント内 平成23年度 (ページ 30-60)

4-1 暗電流の障壁高さ依存性(サンプルA)

ショットキー障壁高さ(Co : 0.57eV , Au : 0.8eV , Pt : 0.9eV)の違いによってショット キー障壁フォトダイオードの暗電流(逆方向飽和電流)がどう変化するか

を調べた。結果をFig.4-1-1に示す。

障壁高さだけを考慮すると、理論的には暗電流の大きさはCo >

Au > Ptになるはずだが、今回はCo > Pt > Auの順になった。測 定値に見られる小さな振動はノイズの影響を受けたからである。

4-2 水素終端処理の影響(サンプルA)

水素終端処理の時間の変化(0 , 1 , 5 [min])によって外部量子効率がどう変化するかを 調べた。なお、サンプル作製には(4-1)で最も暗電流の低かったAuを用いた。

以下に各ショットキー障壁(SBと略す)フォトダイオードの光電流の値を示す。光電流 とは、光を照射したときに流れる電流の値から暗電流の値を引いた値である。つまり、暗 電流が低ければ低いほど、全体が底上げされることとなり検知も容易になる。

-1 0 1 2 3 4

-0.5 0 0.5 1 1.5 2

暗電流 [ μ A]

逆バイアス電圧 Vr [V]

Pt Au Co

Fig.4-1-1 金属別の暗電流値

28

800nm以上の赤外領域において、光電流に幾つものピークが見られるが、これは単車光光

源のフィルター切り替えによる光強度の急な変化が影響していると考えられる。

0 10 20 30 40

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [ μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V

(a) 水素終端処理なし

0 10 20 30 40

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V

(b) 水素終端処理 : 1min

Fig.4-2-1 Au/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの光電流

29

次に、受光感度を示す。受光感度(= 𝐼𝑃[𝐴]/𝑃𝑜𝑝𝑡[𝑊])とは光強度 1W あたりの出力電流 の値である。本研究では可視及び紫外領域のフォトダイオード特性について注目している ため波長領域に関しては800 nmまでを表示する。

(c) 水素終端処理 : 5min

Fig.4-2-1 Au/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの光電流

0

10 20 30 40

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [ μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V

0 10 20 30 40

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [μA]

波長 λ[nm]

5min 1min 0min

Fig.4-2-2 処理時間の違いよる光電流の変化(VR=0.5[V])

30

(a) 水素終端処理なし

0

0.1 0.2 0.3

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(b) 水素終端処理 : 1min

Fig.4-2-3 Au/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの受光感度

0

0.1 0.2 0.3

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V

1.0V

1.5V

2.0V

31

次に、外部量子効率を示す。バイアス電圧を変化させても大きく変化しないことがわか る。また、過去に報告されているSBフォトダイオードでは波長500nm以下では量子効率 が急激に低下している。しかし、我々が作製したSBフォトダイオードでは500nm以下の

(c) 水素終端処理 : 5min

Fig.4-2-3 Au/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの受光感度

0

0.1 0.2 0.3

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

Fig.4-2-4 処理時間の違いよる受光感度の変化(VR=2.0[V])

0 0.1 0.2 0.3

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

5min

1min

0min

32

波長でもほとんど変化がない。水素終端処理の有無によっても量子効率を改善出来ている こともわかる。

(a) 水素終端処理なし

0%

10%

20%

30%

40%

50%

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(b) 水素終端処理 : 1min

Fig.4-2-5 Au/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの外部量子効率

0%

10%

20%

30%

40%

50%

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V

1.0V

1.5V

2.0V

33

以上のことから、水素終端処理を 5min 行うことよって、紫外光領域で外部量子効率が約 1.5倍にまでなり、またフラットな特性を得ることが出来た。

次に、金属をPtに変えて作製したサンプルの特性を示す。

(c) 水素終端処理 : 5min

Fig.4-2-5 Au/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの外部量子効率

0%

10%

20%

30%

40%

50%

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

Fig.4-2-6 処理時間の違いよる外部量子効率の変化(VR=2.0[V])

0%

10%

20%

30%

40%

50%

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

5min

1min

0min

34

Fig.4-2-7 Pt/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの光電流 水素終端処理 : 5min

0 10 20 30 40

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [ μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V

Fig.4-2-8 Pt/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの受光感度 水素終端処理 : 5min

0 0.1 0.2 0.3

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V

1.0V

1.5V

2.0V

35

Au/n-Si型と同様に、紫外光領域でフラットな特性を得ることが出来た。

4-3 保護酸化膜のある薄膜電極型SBフォトダイオード(サンプルB)

以下の表のような違いを持ったサンプルを作製することで、酸化膜や金属の膜厚によっ てどう特性に変化が現れるかを調べた。

sample B1 B2 B3 B4

酸化膜厚[nm] 20 20 40 40 Pt膜厚[nm] 20 20 40 40 水素終端処理 有 無 有 無

Si Table 4-1

Fig.4-3-1 サンプルB1

光学顕微鏡写真 ダイオード直径 : 500μm

Pt SiO2

オーミック電極 Fig.4-2-9 Pt/n-Si薄膜電極型SBフォトダイオードの外部量子効率

水素終端処理 : 5min

0%

10%

20%

30%

40%

50%

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V

1.0V

1.5V

2.0V

36

0 40 80 120 160 200

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [ μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V 0

40 80 120 160 200

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [ μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V

(a) Sample B1 水素終端有り

(b) Sample B2 水素終端なし

Fig.4-3-1 保護酸化膜付きSBフォトダイオードの光電流 Pt : 20nm , SiO2 : 20nm

37

0 10 20 30 40 50

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [ μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V

(a) Sample B3 水素終端有り

0 10 20 30 40 50

200 400 600 800 1000 1200

光電流 [ μ A]

波長 λ [nm]

2.0V 1.5V 1.0V 0.5V

(b) Sample B4水素終端無し

Fig.4-3-2 保護酸化膜付きSBフォトダイオードの光電流 Pt : 40nm , SiO2 : 40nm

38

0 0.5 1 1.5 2

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(a) Sample B1 水素終端有り

0 0.5 1 1.5 2

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(b) Sample B2 水素終端無し

Fig.4-3-3 保護酸化膜付きSBフォトダイオードの光電流 Pt : 20nm , SiO2 : 20nm

39

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(a) Sample B3 水素終端有り

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

200 300 400 500 600 700 800

受光感度 [A /W]

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(b) Sample B4水素終端無し

Fig.4-3-4 保護酸化膜付きSBフォトダイオードの受光感度 Pt : 40nm , SiO2 : 40nm

40

0 0.5 1 1.5 2 2.5

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(a) Sample B1 水素終端有り

0 1 2 3 4

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(b) Sample B2水素終端無し

Fig.4-3-5 保護酸化膜付きSBフォトダイオードの外部量子効率 Pt : 20nm , SiO2 : 20nm

41

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

Sample B3 水素終端有り

0%

10%

20%

30%

40%

50%

200 300 400 500 600 700 800

外部量子効率 η

波長 λ[nm]

0.5V 1.0V 1.5V 2.0V

(b) Sample B4水素終端無し

Fig.4-3-6 保護酸化膜付きSBフォトダイオードの外部量子効率 Pt : 40nm , SiO2 40nm

42

ライン幅

スペース幅 4-5 ナノメッシュ電極構造の作製(サンプルD1-3

薄膜型SBフォトダイオードでは、金属表面での反射が大きいためにpn接合型フォトダ イオードと比べると量子効率が低くなる。したがって、SBフォトダイオードの量子効率を 改善する 1 つの方法として、光をSiに直接入射させる窓を作ることである。

Fig.2-7-2にあるように、金属の反射率は非常に高い。

そこで、反射率を低減させるためにナノメッシュ構造の電極を作 製する。4-4で作製したものはline/space=0.5/1μmと

大きいため、これより微細なものにする。目標値は

line/space=200/200nmとする。近接効果の影響を考慮しな

がら cad パターンを設計する。また、パターンが微細であるた め、ノイズが大きく影響してくる。そのため、フィールドサイ

ズを100μm×100μmに固定した。

このようなナノメッシュ構造をした電極の形成には、電子線描画とPt薄膜のリフトオフ という 2 つのプロセスがある。このリフトオフを行うには堆積させるPt膜の厚さよりも非 常に厚いレジスト膜が必要となる。しかし、レジスト膜を厚くするということは電子線リ ソグラフィーの加工精度を著しく低下させることになる。また、電子線描画についても設 計通りのパターンを作ることは非常に難しいので条件の兼ね合いを探る。そこで、本項で はナノメッシュ電極を作るにあたっての条件だしを目的とする。

ナノメッシュサイズが大きすぎると、光によって生成されたキャリアが電極に到達して 分離される前に、表面再結合によって消滅してしまう。特に本研究の紫外線用フォトダイ オードは光侵入深さが100nm以下であるため表面再結合の影響が大きい。

このような理由から、光の侵入深さ程度の小さなメッシュサイズ、つまりナノメッシュ構 造が好ましい。また、開口率が大きいほど反射の影響を減らせるがリソグラフィがより困

sample D1 D2 D3

レジスト ZEP520A-7 D.R.1.5

ZEP520A-7 D.R.1.5

ZEP520A-7

膜厚[nm] 100 100 200 Pt膜厚[nm] 30 20 20

キャリア

電極 光

(a) 窓が狭い (b) 窓が広い

43

難となる。実験ではまず1μmの開口サイズのメッシュ電極の作成を行った。この結果は付 録に示す。

①レジストパターンの形成

リフトオフを行うために、まず描画条件出しを行った。cadパターンの設計値は以下の通 り。

Line[nm] Space[nm]

パターン1 100 300 パターン2 200 400 パターン3 300 500 パターン4 400 600

Fig.4-5-1からわかるように、ドーズ量40μC/𝑐𝑚2

の時が一番目標値に近い結果となった。これ以降、

40μC/𝑐𝑚2を中心にして実験を行った。

① ② ③

レジスト

Si

(a) 28μC/𝑐𝑚2 (b) 30μC/𝑐𝑚2

(c) 32μC/𝑐𝑚2 (d) 40μC/𝑐𝑚2

Fig.4-5-1 レジストパターン(設計値line/space=100/300[nm])

44

②Ptメッシュ電極のリフトオフ

・サンプルD1 (レジスト/Pt厚さ比=3.3…..)

上で求めた条件と同じ条件でレジストパターンを作製し、Pt スパッタ後リフトオフを行 った。若干暗くなっている(赤丸部分)がリフトオフできている部分である。

(a) 32.5μC/𝑐𝑚2

(e) 60μC/𝑐𝑚2 (d)’ 40μC/𝑐𝑚2(×100000)

(続き)Fig.4-5-1 レジストパターン(設計値line/space=100/300[nm])

(c) 37.5μC/𝑐𝑚2 (d) 40μC/𝑐𝑚2

レジスト

Si

Si Pt

(b) 35μC/𝑐𝑚2

100μm

45

Fig.4-5.2 からわかるように、ほとんどリフトオフ出来ていない。ドーズ量が増えるに連れ

て成功部分は増えているが、(f)からわかるようにホール部分がほとんど潰れてしまってい る。レジストパターン自体はできていると考えられるので他の原因を探る。

・サンプルD2 (レジスト/Pt厚さ比=5)

リフトオフ出来なかった原因として、Pt薄膜が厚すぎた可能性が考えられる。また、line 幅が広すぎるようにも感じたので設計値も変更した。そこで、次に Pt 膜厚を 30nm から 20nmに変更して実験を行った。

Line[nm] Space[nm]

パターン① 50 200 パターン② 50 300 パターン③ 50 350 パターン④ 100 300 パターン⑤ 100 400 パターン⑥ 200 500

Fig.4-5-3にドーズ量別の観察画像を示す。

ドーズ量が大きくなるにつれてパターンのある部分 が白くなっていることがわかる。これはline幅が 大きくなり、白金がパターンを占める割合が大きく なったからである。

(e) 50μC/𝑐𝑚2 (e)’ 50μC/𝑐𝑚2(×50000)

Fig.4-5-2 リフトオフ後(sample D1) レジスト : 100nm , Pt : 30nm

Pt Si

① ② ③

④ ⑤ ⑥

Pt / レジスト

46

(a) 30μC/𝑐𝑚2 (b) 40μC/𝑐𝑚2

(c) 45μC/𝑐𝑚2 (d) 50μC/𝑐𝑚2

(e) 55μC/𝑐𝑚2 (f) 60μC/𝑐𝑚2

Fig.4-5-3 リフトオフ後(sample D2)

レジスト : 100nm , Pt : 20nm

47

Fig.4-5-4に30μC/𝑐𝑚2における各パターンの拡大SEM写真を示す。白い部分はリフトオフ

に失敗した部分である。どのパターンを見ても、ほとんどリフトオフ出来ていないことが わかる。

×3700 ×30000

①line/space=50/200 nm

×3700 ×30000

②line/space=50/300 nm

×3700 ×30000

③line/space=50/350 nm

48

×3700 ×30000

④line/space=100/300 nm

×3700 ×30000

⑤line/space=100/400 nm

×3700 ×30000

⑥line/space=200/400 nm Fig.4-5-4 ドーズ量30μC/𝑐𝑚2リフトオフ後 (sample D2)

ドキュメント内 平成23年度 (ページ 30-60)

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