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4.4 実験結果のまとめと考察

このたびの実験は、2つの成果を得た。1つは、概念空間の変形を仮定し、それを観 測する実験を計画して、その結果、概念空間の変形の可能性が示されたことである。

そしてもう1つは、どのような概念空間の変形がおきているのかを調べることができ たことである。概念合成においては、中心的な概念(鳥とガラスのコップ)であった ものからの距離については、特徴的な変化の可能性が見られたのである。特徴的な変 化とはある中心的な概念は、別の中心的な概念とその周辺の概念へ、近づいたという ことである。

逆に、ある中心的な概念と、その中心的な概念の近くにある概念との距離について は、統制群と比較して、デザイン実験の結果からは、特徴的な違いは見られなかった。

このことは、概念合成においては、比較的近い概念同士の距離の変化は見られなかっ たということを意味する可能性がある。また、変化量の絶対値は、鳥からの距離より もガラスのコップからの距離において顕著に大きかった。

1つの可能性として、鳥からの概念間の距離はそれほど変化せず、ガラスのコップ からの概念間の距離は比較的変化したことを示すという可能性がある。すなわち、ガ ラスの概念からの視点では、概念空間の再構成が行われたが、鳥からの視点では概念 空間の再構成は比較的行われていないと考えられる。

鳥からの距離の変化が乏しく、ガラスのコップからの距離の変化が大きいという結 果から、次の2つのことが考えられる。

・ 鳥の概念が堅固であり、変形しなかった。

・ 被験者がガラスのコップについて特に深く考え込んでいた。思慮の深さに概念空 間の変形は関係するために、鳥の概念からの距離の変化が乏しかった。

また、参考として、被験者の概念空間の変形度合いと、被験者の実験成果物の創造性 評価について調べた。

被験者の概念空間の変形度合を調べるにあたり、3.3.4 で述べられた概念空間の変形 の指標で行われた計算のように、被験者毎に、第1パートから第 3 パートの値を引い た値の絶対値を足し合わせたものを用いた。絶対値を足し合わせたものを、鳥からの 距離とガラスのコップからの距離について求めて、足した値を変形度合いを反映した

ものとした。創造性の評価は、4 人のデザインについて専門家が 5 段階評価で、実用 性と独創性について行った。被験者毎の絶対値の和と、実験成果物の創造性評価を表 4.10、図 4.5 に示す。

表 4.10 からの距離の変化とガラスのコップからの距離の変化の絶対値の合 計、および創造性評価の平均(創造性評価は、実用性と独創性の平均値である)

被験者 2種類の距離の変化の絶対値の和 実用性 独創性 創造性評価

Subject 1 10.21426983 2.75 3.5 3.125

Subject 2 23.99277284 2.75 3 2.875

Subject 3 25.57720241 4.5 3.25 3.875

Subject 4 18.46908704 4 3.25 3.625

Subject 5 11.63847065 2.75 3.75 3.25

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 5 10 15 20 25 30

鳥からの距離の変化とガラスのコップからの距離の変化の絶対値の合計

評価平均

実用性 独創性 創造性評価

図 4.5 からの距離の変化とガラスのコップからの距離の変化の絶対値の合 計と、創造性評価の平均との関係

この結果からは、評価点の平均と、絶対値の合計との間には、相関は見られなかった。

見られなかった理由として、次のことが挙げられる。

・プロットした点の少なさ(被験者の少なさ)。

・各被験者がもともと持ち合わせている概念空間の相違。

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