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第 4 章 分注機構を実装した複数検体同時微量 ELISA デバイスの開発

4.4 実験結果および考察

4.4.1 複数検体同時微量 ELISA デバイスの動作検証

図4.3に観察された液体の挙動を示す。単検体の分析デバイスと同様に、流路は疎水性 のため、ある程度の遠心力が付加され、それによる水頭圧が毛管力に勝るまでは、各液体 は、Primary reservoirに保持されていた(図4.3 (1))。回転開始から約1秒後、各液体が流 路へと流れ、サンプルはReaction chamber(反応槽)へ、洗浄液およびTMB基質は Secondary reservoirへ注入され始めた(図4.3 (2))。サンプルは約1秒で全量が反応槽へ注 入され、そこで保持される。実際のELISAでは、ここで固相化された1次抗体と、サンプ ル中の抗原が反応する時間となる。回転開始から約327秒後、#1のSecondary reservoirが 満たされ、サイフォンバルブが開放され、洗浄液が分注機構に導入された(図4.3 (3))。導 入された洗浄液は、計量が実行され、そのあとに6つの反応槽へ同時に注入が実行された

(図4.3 (4))。そしてこの洗浄液の注入により、反応槽が液体で満たされ、そのサイフォン

バルブが開放され、この洗浄液とともにサンプルがWaste chamber(排液槽)に排出された

(図4.3 (5))。これが1度目の洗浄プロセスとなる。さらに、回転開始から502秒後、#2

から洗浄液が分注機構を介して各反応槽に注入され、そこで保持された(図4.3 (6))。そし て回転開始から約709秒後、#3から洗浄液が分注されることで、反応槽が満たされ、下流 への排液が実行された(図4.3 (7))。最後に、空になっている反応槽に#4からTMB基質が 分注され、反応槽で保持された(図4.3 (8))。以上により、設計したELISAのフローコン トロールが6検体同時に実行されたことを確認した。

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4.3 分注機構実装複数検体同時分析デバイス

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4.4.2 複数検体同時微量 ELISA デバイスによる ELISA 実行と評価

図4.4に本デバイスで実行したELISAから得られた吸光度(OD: Optical Density)を示 す。この実験では、2つのデバイスを用いて、抗原(Mouse IgG)の濃度のほかに、1次抗

体(Goat抗Mouse IgG抗体)の有無をパラメータにELISAを実行した。また、抗体あり

(1st Ab. +)の系では、抗原濃度に応じたドーズレスポンスが得られている。一方で、抗体

なし(1st Ab. +)の系では、抗原濃度を問わず、吸光度が低くなっていることが確認でき

る。以上のことから、抗体ありの系では、物理吸着といった非特異的な反応ではなく、抗 原抗体反応の特異的な反応により、反応槽内に抗原およびHRP標識抗体が存在しており、

これが吸光度として検出されていると言える。ゆえに、この系は、Mouse IgGの検出系と して有効であると言える。

4.4 1次抗体の有無で比較したMouse IgGの検量線

次に3つのデバイスを用いて6濃度をn=3で分析し、検量線を作成した結果を図4.5に 示す。抗原濃度に応じたドーズレスポンスと、サンドイッチELISAの検量線で一般に見ら れるシグモイド曲線が得られていることが確認できる。また、検出下限値(LOD)は、

81.3 pg/mLと算出された。手作業で行った従来法による分析では、同じマイクロドロップ

プレートを使用して吸光度を測定した場合には、検出下限値は97.1 pg/mLと算出されたこ とから、この複数検体同時分析デバイスを用いた反応系は、従来法と同等の検出感度を有 していると言える。

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4.5 複数検体同時分析デバイスで得られたMouse IgGの検量線

単検体デバイスと比較した場合においても、検出感度が1桁向上していることが示唆さ れる。単検体デバイスとこの複数検体デバイスは、抗原抗体の反応時間は同等あるいは、

後者のほうが短い。その中で検出感度が向上した理由としては、サンプルの微量化や反応 槽の微量化(ともに約1/6)により、比表面積が大きくなり、反応効率が向上したこと や、分注機構を実装したことにより、同一のデバイス上では試薬が各反応槽へほぼ同時に 注入されることから、各反応槽の条件が統一され、誤差が小さくなったことなどがあげら れる。

従来法と比較すると、抗原抗体の反応時間は60分から約4分半に短縮し、サンプル量

は100 μLから5 μLに削減した。5 μLというサンプル量は、全血から分離した血しょうを

サンプルとして使用することを想定した場合においても、十分に指先からの採血可能な量 であると考えられる。また、洗浄回数は5度から2度に削減され、使用した洗浄液量も1 件体当たり、1500 μLから25 μLと、大幅な削減を実現した。

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