第 6 章 独居高齢者による提案システムの試行実験
6.2 実験の概要
表 6-1 試行評価実験の実験参加者の内訳
性別 年齢 介護サービスの利用の有無 自立度 実験期間 Aさん 男 80代
前半
有 要介護1 2018/11/20~2018/12/7
Cさん 男 70代 後半
有 要介護2 2019/1/5~2019/1/31
Dさん 女 80代 前半
無 自立 2018/11/26~2018/12/26
Eさん 女 70代 後半
無 自立 2019/1/6~2019/1/31
上記実験では、それぞれの実験参加者の生活リズムに基づいて声掛けの内容を設定し た。アレクサからの声掛けはAmazon Echoの定型アクションという機能を使用している。
図6-1で示したように、デバイス(実験参加者)ごとに声掛けを設定することができ、個 人の生活リズムにより定時的に朝夜の挨拶やお薬のリマインドを設定した。また、一日の 全体の声掛けの例は以下表のようになる。
図 6-1 スマートスピーカーからの声掛けの設定
表 6-2 1日のスケジュールの例
時間 声掛けの内容
8:00 おはようございます。新しい日の始まりです。
今日のカレンダー(日付、予定)
「アレクサ」と呼んで、私に挨拶してもらえるかな
9:00 〇〇さん、今日のお薬の分を忘れないうちに飲みましょう!
9:10 〇〇さん、お薬は飲みましたか?
「アレクサ、お薬」と呼んで、お薬の情報を記録しましょう!
9:30(火、
木)
〇〇さん、今日は訪問介護の日です。
ヘルパーさんはあと30分ぐらいに来ますよ。
9:30(月、
水、金、日)
〇〇さん、今日はヘルパーさんが来ない日です。
もしどこかに出かけるなら出かける前に声をかけてくれるとうれしい です。
11:30(土) 〇〇さん、今日は訪問介護の日です。
ヘルパーさんはあと30分ぐらいに来ますよ。
13:00 〇〇さん、そろそろご飯を食べる時間です。料理の準備をしましょ
う!
14:00 〇〇さん、ご飯はどうでしたか?
もし朝のお薬は忘れたなら今飲みましょう!
14:10 〇〇さん、お薬は飲みましたか?
「アレクサ、お薬」と呼んで、お薬の情報を記録しましょう!
18:00 〇〇さん、そろそろ晩御飯を準備しましょうか。
19:00 晩御飯はどうでしたか?
22:00 寝る前に「アレクサ、お休み」と言ってくれればうれしいです。
定型アクション以外に、実験参加者の情報収集のために、いくつからの「アレクサス キル」を作った。「アレクサスキル」とはサードパーティや個人の開発者が開発したアレ クサの拡張機能である15。必要な情報を取るために、筆者は自然な会話のなかにアレク サスキルを組み込んだ。例えば、独居高齢者の毎日の体調を記録するため、朝の挨拶の スキルを開発した。会話の流れは以下のようになる(例):
独居高齢者:「アレクサ、おはようございます。」
アレクサ:「おはようございます。今日の体調はどうですか?」
独居高齢者:「元気です。」
アレクサ:「よかったですね。朝ごはんは食べましたか?それとも今から準備します か?」
独居高齢者:「まだ食べていないです。」
アレクサ:「ご飯を食べないと心配しますので、ちゃんと食事しましょうね。」
朝の挨拶以外にも、実験参加者それぞれの状況により異なるスキルがシステムに組まれ た。実験開始前に、実験参加者に実験期間中で収集したデータは本研究の目的以外に用い ることはなく、またプライバシーに配慮し、個人を特定できない内容とすることを文書と 口頭により伝え同意を得た。さらに、実験中に嫌な思いがしたら実験を中止することが可 能であることも同様に伝えて同意を得ている。同意を得た後に、スマートスピーカーの使 用方法を説明し、その翌日から実験開始となった。同意書は付録4を参照のこと。
15 https://developer.amazon.com/ja/blogs/alexa/post/6e716e5c-55b0-445b-b936-9cfac4712e7b/training-1
(2019年1月21日取得)