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エピポーラ幾何を利用したシーンフロー 復元

6.2 シミュレーションモデルを用いたモーション推定実験

6.2.1 実画像

次に平行移動と回転運動でのモーション推定結果を表6.10に示す.表6.10より,平行

表 6.10: 実画像を用いた実験におけるモーション推定結果

ωx ωy ωz tx ty tz

[deg/frame] [deg/frame] [deg/frame] [mm/frame] [mm/frame] [mm/frame]

平行移動 -0.494 0.380 -0.244 0.818 -4.523 -0.078

回転運動 -5.490 -0.114 0.978 -0.246 5.901 2.197

移動においては,回転速度ベクトルωx, ωy, ωzの値は全てが1度以下であることから,回 転運動が観測されていないことが分かる.また最も数値の高いパラメータはy軸方向の移 動であり,1frame(1/30sec)で約4.5mm移動したことが分かる.これは,1秒間で13.5cm の平行移動となり,目測による15cmに対し,高い精度で推定ができていることが分かる.

次に回転運動では,x軸周りの回転が1frameで約5.5度と推定された.実験に用いたシー ケンスでは,目測で1秒間に約180度回転しているため,1frameでは約6度となり,高い 精度でモーションが推定できていることが分かる.しかし,平行移動していないにもかか わらず,ty成分が高い値を示している.これは,上方からこの運動を観測した場合,その 表面の運動はty成分の運動として観測されることが原因である.この問題はカメラの台 数を増やすことで解消できると考えられる.

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むすび

本論文では,ジェスチャ認識に応用が期待できる技術として,3次元シーンフローの復 元について述べ,その応用として,3次元空間中の物体のモーション推定について述べた.

従来の3次元シーンフロー復元の問題点として,正確な強カメラ校正情報が必要であるこ とと,シーンフローの復元精度がオプティカルフローの精度に依存するということが挙げ られる.本論文では,それぞれの問題に対し,4章において弱校正のマルチカメラを用い た3次元シーンフローの復元手法を,5章においてSubspace拘束を利用した3次元シー ンフローの高精度な復元手法を提案した.また,ジェスチャ認識への応用を考え,6章で は,3次元空間中の物体のモーションの推定手法について提案した.各章におけるまとめ は以下のとおりである.

4章では,弱校正のマルチカメラを用いた3次元シーンフローの復元手法について述 べた.提案手法はProjective Grid Spaceを用いることで,従来の問題点である強カメラ 校正を行うことなく3次元シーンフローを復元した.復元した3次元シーンフローは,

Projective Grid Spaceにより定義された空間において有効であることを確認した.

5章では,Subspace拘束を用いた3次元シーンフローの高精度復元手法について述べ

た.Subspace拘束による3次元シーンフローの修正では,対象物の運動が短時間では剛

体であると仮定することで,精度を向上することが可能であることを示した.本手法の 特徴として,修正に必要となる複数フレームのスタック数を少なくすることが挙げられ,

実験により,基準フレームから前後1フレームのフローから精度を向上させることが可能 であることを示した.

6章では,5章により復元した3次元シーンフローを用い,対象物のモーションを推定 する手法について述べた.修正されたシーンフローから対象物のモーションパラメータを 推定し,高い精度でモーションを推定することが可能であることを確認した.従来手法よ り復元される3次元シーンフローは,フローの大きさ,方向に対するノイズと,フローの 存在位置に対するアウトライアが存在する.シーンフローの存在位置に対するアウトラ イアがある場合,モーションパラメータの推定の精度は極端に下がる.この問題に対し,

本手法ではRANSACを用いることで高精度にモーションパラメータを推定することが可 能であることを示し,物体の剛体運動を識別することが可能であることを示した.

現在の問題点として,観測行列に当てはめたシーンフローは,全て同一の剛体運動をす る必要があることが挙げられる.この問題の解決策として,あらかじめモーションを剛

体ごとに分離させる方法が考えられる.先行研究として,2次元画像中の物体のモーショ ンを領域毎に分離する手法(モーションセグメンテーション)がいくつか提案されている.

今後は,このようなモーションセグメンテーションを利用した剛体同士の分離を検討する 予定である.

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