4. 厳密解の初期集団への適用
5.3 実務家へのインタビューによる評価
ることがわかった.また,数値実験4のデータは962タスクであり数値実験5と比較して4%ほどタス ク数が少ないので参考値となるが,数値実験4と数値実験5の各回の計算時間合計の2群について有意
水準5%でウェルチのt検定を行ったところ,p値は0.88となり2群の平均に差がないことは棄却されな
かった.
表 5-5 ヒアリング項目
回答結果
4段階評価では4人中1人が「4:たいへん貢献できると思う」を選び,残る3名が「3:そ れなりに貢献できると思う」を選び,総じて評価は高かった.理由としては,「たたき台として の利用であれば,十分貢献できるものと考える.」(対象者D),「重複タスクとタスクの期限と 要員の重複を何パターン化機械的にアウトプットされることで手間が大幅に省けると思う.」
(対象者B)と,最終的にスケジュール生成は自分で行うものの,そこに至るまでの手間が省
力化できることが挙げられている.一方で,「プロジェクトの特性(ステークホルダー,プロジ ェクト難易度,要員スキルなど)を踏まえ,スケジュールを作成する過程において,よりリス クを考慮したスケジュールができる場合があると考える.」(対象者A),「ガントチャートのリ スクとかウィークポイントなど,どれを選ぶかの指標的なものが表現できればよい.」(対象者 D)など,リスクを織り込んだスケジュールの生成をして欲しいとの回答もあった.
4人の回答はそれぞれ,20時間,24時間,40時間,48時間であった.1日の業務時間を8 時間とすると,2.5日~6日はかかることになる.これだけの時間,スケジュール作成作業にプ ロジェクトマネージャが掛かりきりになるということは,1.1節で示したスケジュール作成に対 するプロジェクトマネージャの負荷軽減が喫緊の課題であるということの証左となるといえる.
提案するソフトウェアによってその作業が仮に3割でも削減できた場合,実質0.75日~1.8日 の削減となる.これは多忙なプロジェクトマネージャにとって貴重な時間を確保できることを 意味する.
設問3:提案するソフトウェアによりプロジェクトマネジメント業務の効率が向上するか(4
段階),及びその理由
項番 内容
設問1
提案するソフトウェアによりプロジェクトマネージャにスケジュ ール作成ノウハウが集中するという属人化を解消できるか(4段 階),及びその理由
設問2 962タスクのスケジュールを手動で作成した場合の所要時間 設問3 提案するソフトウェアによりプロジェクトマネジメント業務の効
率が向上するか(4段階),及びその理由
設問4 提案するソフトウェアは962タスクを約1時間で作成するが,実 務で使用するにあたって十分短いか(4段階),及びその理由 設問5 提案するソフトウェアについて評価できる点
設問6 提案するソフトウェアについて追加・改善すべき点
理由としては「変更箇所を網羅的に出力できるので,貢献できると思う」(対象者D)などが挙 げられるが,回答には理由そのものよりも機能追加の期待が多かった.具体的には「特定タス クにその要員を割り当てることが指定できれば非常に有用かもしれない」(対象者C),「変更パ ラメータとして,タスクの担当者を変更しなければならない場合,新たな担当者がそのタスク を消化できるスキルがあるかどうか判断できるようになればよい」(対象者D)といった,タス クと要員のスキルマッチング機能への期待である.
設問4:提案するソフトウェアは962タスクを約1時間で作成するが,実務で使用するにあた
って十分短いか(4段階),及びその理由
本設問は回答が割れた.4段階評価では「4:たいへん短いと思う」が1名,「3:それなりに短 いと思う」が2名,「2:少し長いと思う」が1名であった.理由としては,「1時間であれば実 務に十分に利用可能と思われる.」(回答者A),「1時間であれば,何パターン化出力してそこ から調整していけるので時間とよりよりスケジュールを組むことができる」(回答者B)といっ た1時間でも十分な時間であるという回答があった.対して,「全パターンのタスクを出力する ことであれば,冗長に感じる可能性がある.何回か条件を変更しながら出力する運用であれば,
20分くらいが許容範囲と考える.」(回答者D),「作成する際の条件入力の自由度しだいである.
自由度が高いなら,条件をいろいろ変えながら再作成することが必要になるだろうし,あらか じめ考えられるパターンを出力してしまうのであれば,できたものを吟味することになると思 うので作成してしまえば再作成必要ないと思われるため.」など,出力されたガントチャートの 質次第で入力条件を変えて再実行をしたいという回答があった.
「ステークホルダー,及びプロジェクト(QCD含む)に応じた最適なスケジュールを選定で きる可能性があるため評価できる.」(対象者A)というストレートな評価だけでなく,「工数削 減に加え,考慮漏れを防ぐことが可能と考えており,有益である.」(対象者D)と,抜け漏れ といった基本的なミスを防ぐことにも有用との評価を得た.一方で「最適なものを選別する手 段が定義できれば有用なものとなる可能性があると思う.」(対象者C)と,600のガントチャ ートから選択するための基準が欲しいとの回答もあった.これは,現状の目的関数である納期,
重複日数,要員数以外に,各ガントチャートの特性を示す指標があればより選択しやすくなる という意見である.
「通常プロジェクト規模が大きくなるにつれて,一定以上の人数を配置しても,効率は人数 に比例せず,緩やかに上がることになると認識している.考慮されることで一層現実味のある スケジュールが生成できるのでは」(対象者A),「タスクに対する難度の重みづけでバッファを
詰めるようにしてほしい.」(対象者B)と,タスクの属性情報をより拡充してほしいとの回答 があった.