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実効ポテンシャルによる軌道の分類

ドキュメント内 降着円盤における制動放射の降着率の影響 (ページ 30-34)

4.3 シミュレーション結果

4.3.2 実効ポテンシャルによる軌道の分類

ここでは、3.1節で提案した特殊相対論での実効ポテンシャルに基づき軌道が正しく分 類できるかを検証する。4.3.1節と同じ初期条件の軌道について、実効ポテンシャルを用 いて軌道の範囲を確認する。次に粒子が中心に落ちる条件であるR < 0の場合の実効ポテ ンシャルを確認し、どのような軌道になるのか調べる。まず、実効ポテンシャルとエネル ギーの関係は図58のようになる。それぞれ、縦軸がエネルギー、横軸が中心からの半 径rˆを表しており、赤線が全エネルギー、青線が実効ポテンシャルを表している。また、

左側には実効ポテンシャルの概形、右側には実効ポテンシャルとエネルギーの交点である 近日点、遠日点を表している。

3.1節で提案した特殊相対論での実効ポテンシャル(3.22)により、図57では実効ポテ ンシャルとエネルギーが2つの交点で交わっていることが確認できた。近日点と遠日点の 間では実効ポテンシャルがエネルギーよりも低いので、この間で粒子運動が起こることが 確認できる。図57に対応する粒子軌道は図4(a),(b),(c)であり、近日点と遠日点の間で 粒子軌道を描いていることが見て取れる。次に、図8では実効ポテンシャルの交点とエネ ルギーの交点はシミュレーションの初期条件であるrˆ= 1.0のみとなっており、軌道の半 径に上限はないことがわかる。これより軌道は非有界軌道になることが確認できる。これ に対応する粒子軌道は4(d)であり、軌道の半径に上限がない双曲線軌道のようになって いることが確認できる。

次に実効ポテンシャルとの交点が実際に近日点もしくは遠日点になっているのかを確 認するために初期条件であるrˆ= 1.0では無い方の近日点もしくは遠日点を図9にプロッ トする。また。ˆvy,init = 0.90の場合は上限がないため図示していない。図9ではシミュ レーションによる粒子軌道と実効ポテンシャルによる粒子の運動できる範囲を示している ものである。図9(a)では原点から粒子運動の下限である近日点までの長さを半径とした ˆ

r 0.38の円を赤色で書いてある。粒子運動は円の中に入らずに運動が起きていることが 確認できる。図9(b),(c)では粒子運動の上限である遠日点を半径として、ˆr≈1.4,8.3の円 を赤色で書いてある。どちらの場合でも粒子運動は遠日点を半径とした円を超えることは 無く運動していることがわかる。

最後に|vˆy,init|<1/

2の場合の実効ポテンシャルを確認しておく。この場合での粒子は 原点に捉えられることが解析的に示されており、今回はシミュレーションによる粒子軌道 と実効ポテンシャルを図示する。図10はvˆy,init = 0.7での軌道とそれに対応する実効ポテ ンシャルである。図10(a)ˆvy,init = 0.7では粒子は中心に捉えられて落下する軌道になるこ

-1 -0.5 0 0.5 1

-1 -0.5 0 0.5 1

y

x

simulation exact

(a) vˆy,init= 0.75

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5

y

x

simulation exact

(b) ˆvy,init= 0.80

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

y

x

simulation exact

(c) ˆvy,init= 0.85

-30 -20 -10 0 10 20 30

-30 -20 -10 0 10 20 30

y

x

simulation exact

(d) ˆvy,init= 0.90

4: シミュレーションによる粒子軌道と方程式による粒子軌道の比較。いずれの場合もシミュ レーションの結果と解析解が一致していることが確認できる。(a),(b),(c)については有界な 軌道となっており、(d)については非有界な軌道になっている。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

0 1 2 3 4 5

energy

r

Vr’

Er

(a) 実効ポテンシャルの概形

0.4 0.42 0.44 0.46 0.48 0.5 0.52 0.54 0.56 0.58 0.6

0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1

energy

r

Vr’

Er

(b) 近日点と遠日点の交点

5: vˆy,init=0.75での実効ポテンシャル()とエネルギー()。この場合は近日点としてr≈0.38

遠日点はシミュレーションの初期条件であるrˆ= 1.0となっていることが確認できる。粒子 軌道は図4(a)に対応しており、有界な軌道になっていることが確認できる。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

0 1 2 3 4 5

energy

r

Vr’

Er

(a) 実効ポテンシャルの概形

0.64 0.65 0.66 0.67 0.68 0.69

0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5

energy

r

Vr’

Er

(b) 近日点と遠日点との交点

6: vˆy,init=0.80での実効ポテンシャル()とエネルギー()。この場合は近日点はシミュレー

ションの初期条件であるrˆ= 1.0となっており、遠日点はr≈1.4になっていることが確認 できる。粒子軌道は図4(b)に対応しており、有界な軌道になっていることが確認できる。

0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5

0 2 4 6 8 10

energy

r

Vr’

Er

(a) 実効ポテンシャルの概形

0.89 0.895 0.9 0.905 0.91

8 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5

energy

r

Vr’

Er

(b) 遠日点との交点

7: vˆy,init=0.85での実効ポテンシャル()とエネルギー()。近日点はシミュレーションの初

期条件であるrˆ= 1.0となっており、遠日点はr≈8.3になっていることが確認できる。粒 子軌道は図4(c)に対応しており、有界な軌道になっていることが確認できる。

0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

0 10 20 30 40 50

energy

r

Vr’

Er

(a) 実効ポテンシャルの概形

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 10 20 30 40 50

energy

r

Vr’

Er

(b) 実効ポテンシャルと漸近線

8: vˆy,init=0.90での実効ポテンシャル()とエネルギー()。近日点はシミュレーションの初

期条件であるrˆ= 1.0となっている。この場合ではr >ˆ 1の範囲でエネルギーが常に実効ポ テンシャルよりも大きいため、遠日点を持たない。そのためこの軌道では非有界な軌道に なっていることが確認できる。粒子軌道は図4(d)に対応してる。

とがわかる。また、実効ポテンシャル(3.22)は図10(b)であり、初期条件であるrˆ= 1で 交点を持っている。ˆr <1の範囲で実効ポテンシャルがエネルギーの値よりも小さくなっ ているため、ˆr <1で粒子運動が起きることがわかる。すなわち、今回の場合は中心に落 ちる軌道になることが実効ポテンシャルからも確認できる。

以上より今回新しく提案した特殊相対論での実効ポテンシャル(3.22)は粒子軌道の近 日点・遠日点や粒子軌道の有界軌道・非有界軌道などが確認できることがわかった。

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