災害による大きな被害への対策が,日常から求められる
第
2章都市の動向
第
2 節京都市の現状と動向
京都市内には,花折断層をはじめとした地震が発生する 可能性の高い活断層が存在しており,また,南海・東南海 地震等の巨大地震による被害も想定されています。これら の地震による被害想定では,大きな揺れによる建築物の倒 壊や火災,人的,都市基盤等の被害だけでなく,地すべり や急傾斜地の崩壊,液状化など,地盤災害が発生するおそ れのある箇所もあります。
そのため,老朽木造住宅をはじめとする耐震性の低い建 築物の耐震化の促進や都市基盤の耐震化,日常の意識啓発 等が必要です。
以前は,保水・遊水機能を有している農地等の宅地 化や森林の荒廃による水源の涵かん養※1機能の低下に伴 い,雨水流出量が増大し,河川や水路の氾濫による水 害が頻発していましたが,河川改修や下水道の雨水対 策により大規模な水害は発生しにくくなっています。
しかし,近年,全国的に台風等に限らず,局所的な 集中豪雨が増加しており,大雨による河川の氾濫や土 砂災害等が懸念され,水深3m以上の浸水が想定され る区域もあるほか,地すべりや急傾斜地の崩壊,土石 流等が発生するおそれのある箇所もあります。安心・
安全の確保に向け,歴史都市としての特性を踏まえた 防災対策が必要です。
大規模地震が発生すると,多くの被害が想定される
集中豪雨など,局所的な気象現象による浸水被害が懸念される
■ 京都市内の主な活断層図
(資料:京都市第3次地震被害想定報告書)
京都市域
琵琶湖 西岸断層系
黄檗断層 樫原〜水尾断層
花 折 断 層
桃山断層〜鹿ヶ谷断層
光明寺〜金ヶ原断層
宇治川断層 有馬・高槻断層系
京都市域
樫原断層
■ 有栖川流域の浸水状況(平成11(1999)年)
N
※1 水源の涵かん養:地表の水(降水や河川水)が帯水層に浸透し,地下水となること。
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第 2 節京都市の現状と動向 2章都市の動向
京都市は,戦災の影響が少ない都市であるため,密集市街地が存在し,細街路が多く残っています。京都 市における細街路は,風情ある魅力的な空間である一方,災害時の避難や火災等,防災上の課題があり,災 害発生時の被害が甚大になる懸念があります。都心4区(上京区,中京区,東山区,下京区)においても,
総延長約190km,約3,300本の細街路が存在し,その沿道には,約41,000軒の建築物が面しています。ま た,狭小な敷地に建つ建築物も多くあり,特に4m未満の道に接する敷地においては,建替えや増改築の際 には原則として道路から敷地の後退が求められることから建築物の建替えや改修が進みにくい状況となって おり,密集市街地の安全性が向上しない原因の1つともなっています。
また,それらが多く集まる密集市街地では,道路,公園等の都市基盤の水準が低いものが多く見られます。
京都の特性を維持しながら,都市防災上の安全性を向上させるために,地域※3の特性に応じた実効性の 高い総合的な取組が必要です。
密集市街地
※1が存在し,細街路
※2が多く残る
■ 京都市における住宅の建設時期別の住宅の接道状況
(資料:平成20(2008)年住宅・土地統計調査)※1 密集市街地:敷地,道路が狭く,老朽木造建物が高密度に建ち並んでおり,地震時に大きな被害が想定される危険な市 街地のこと。
※2 細街路:幅員が4m未満の道のこと。
(%)
昭和25(1950)年以前 昭和26(1951)年〜昭和35(1960)年 昭和36(1961)年〜昭和45(1970)年 昭和46(1971)年〜昭和55(1980)年 昭和56(1981)年〜平成2(1990)年 平成3(1991)年〜平成12(2000)年 平成13(2001)年〜平成20(2008)年9月
0 20 40 60 80 100
未接道 幅員2m未満 幅員2〜4m 幅員4〜6m 幅員6〜10m 幅員10m以上
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2章都市の動向
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2 節京都市の現状と動向
平成20(2008)年10月に発生した大阪の個室ビデオ店火災事故,外壁タイルの落下事故など,近年,既 存建築物における事故※4が多発しています。
既存建築物をはじめとする建築物の安全性の確保に向けた総合的な取組が必要です。
全国的に建築物に関わる事故が多発しており,社会問題となっている
■ 近年の主な既存建築物の事故
(資料:京都市建築物安心安全実施計画等)窓ガラスの飛散事故 平成17(2005)年3月 福岡県西方沖地震で,ビルの窓ガラスが道路に大量に飛 散。
外壁タイル等の 落下事故
平成17(2005)年6月 東京都中央区のビルで外壁が落下。2名の負傷者。
平成19(2007)年8月 京都市右京区の事務所ビルで外壁が落下。
大規模空間の
天井崩落事故 平成17(2005)年8月 宮城県沖地震で,スポーツ施設の天井が崩落。多数の負傷 者。
広告板の落下事故 平成19(2007)年6月 東京都新宿区の雑居ビルにおいて広告板が落下。負傷者2 名。
個室ビデオ店・
カラオケボックス 火災事故
平成19(2007)年1月 宝塚市のカラオケボックスで火災発生。死者3名,負傷者5 名。
平成20(2008)年10月 大阪市浪速区の個室ビデオ店で火災発生。死者16名,負傷 者9名。
未 届 有 料 老 人 ホ ー ム・認知症高齢者グ ループホームの火災 事故
平成21(2009)年3月 群馬県渋川市の未届の有料老人ホームで火災発生。死者
10名,負傷者1名。
平成22(2010)年3月 札幌市北区の認知症高齢者グループホームで火災発生。
死者7名,負傷者2名。
※3 地域:町内や元学区,小学校区など,適切なまとまりのある空間の範囲。複数の行政区にわたるものまで考えられる。
※4 既存建築物における事故:既存建築物の外壁材やガラスの落下,天井の崩落等。
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