3. 結果 32
3.5 学習サンプル中の色相関
3.2節で得られた基底関数における反対色対は,白−黒,赤−緑,青−黄であっ た.この理由は,学習サンプルにおいて上記の色対間が相関を持っている可能性 が考えられる.すなわち,色空間上のデータの分散が,白−黒,赤−緑,青−黄 間で大きいのではないかと考えた.
上記の可能性を検証するために,20枚の学習サンプルにおいて,各画素値がど のような値を持っていたかをヒストグラムとし,相関を調べた(図24∼29).相関 を見易くするために,3次元の色空間を2軸づつみた.簡単のため以下では,第
1∼4象限を右上,左上,左下,右下と呼ぶ.
始めに,白−黒に関して検証した.(赤,緑,青)の3値がほぼ等しく,その値 が高いときに白色に見える(13).逆に3値がすべて0に近いときに黒色に見える.
よって,色空間上で,(赤,緑,青)が全て正の値,もしくは全て負の値の空間に おいて,白−黒間に正の相関があると考えた.図24Aは,赤の値が正のときの,
緑と青の色相関をみている(灰色の空間).3値が全て正の値を持つ図24Cの右上 において,緑と青は原点(0,0)から対角線上に分布し,正の相関がある.同様に 図25Cと図26Cの右上においても3値は全て正の値を持つと共に,原点から対 角線上に分布しており正の相関がある.原点(黒色)から対角線上に値が上昇する につれ白色に近づくので,図24∼26は白−黒間に正の相関があったことを示す.
さらに,3値全て負の値を持つ空間をみる.図27C,図28C,図29Cそれぞれの 左下をみると,原点から対角線上に分布していることがわかる.対角線上に値が 減少するにつれ白色に近づくので,図24∼26に白−黒間に正の相関があったとい える.
次に,赤−緑の色対を検証するために,図24C左上,図25C左下,図26C右 下をみる.図24C左上は,緑が負の値を持ち,青は正の値を持つ空間である.こ のとき,赤の値は正である.対角線上にその画素値を持つ画素が分布しているこ とがわかる.図26C右下では,赤が正の値持ち,緑は負の値を持つ.青の値は正 である.図26Bをみると,この空間に小さな山がある.図25C左下では,赤が負 の値を持ち,青も負の値を持つ.緑の値は正である.この空間でも,画素が対角 線上に分布している.つまり,学習サンプルには赤と青が正の値で緑が負の値を
持つ相関(図24C,図26C)と,赤と青が負の値で緑が正の値を持つ相関(図25C)
があったことがわかった.このことから,これまで赤色と判断していた基底関数 は,実際は,赤と青色の足し合せである紫色であったといえる.基底関数の画素 値も赤と青の値の比はほぼ1:1であった.図13において(赤,緑,青)=(255,0,
255)の点は紫色(Purple)である.よって,基底関数は赤−緑ではなく,紫−緑に 正の相関があったといえる.
最後に,青−黄の色対を検証するために,図24C右下,図25C左上,図26C左 下をみる.図24C右下は,緑が正の値を持ち,青が負の値を持つ空間である.赤
の値は正である.図24Bをみると,この空間に小さな山が存在する.図25C左上 では,赤が正の値を持ち,青が負の値を持つ.緑の値は正である.こちらも,図 25Bの図25C左上と同じ場所に,小さな山がある.図26C左下では,赤が負の 値を持ち,緑も負の値を持つ.青の値は正である.ここでは,原点から対角線上 に画素が分布している.つまり,学習サンプルには,青が負の値で赤と緑が正の 値を持つ相関(図24C,図25C)と,青が正の値で赤と緑が負の値を持つ相関(図 26C)があったことがわかった.黄色は,赤と緑色の足し合せで表現される.図13 でも,(赤,緑,青)=(255,255,0)の点が黄色(Yellow)である.よって,青−黄 に相関があったといえる.
以上のことより,3.2節で得られた基底関数における反対色対(白−黒,紫−緑,
青−黄)が生じた理由は,学習サンプルにおいて上記の色対間に相関があり,色 相関が基底関数の反対色対を決定していたといえる.
0.5 1
×10 4
Number
C
5
0
0 5 A
B
0 0
5
5 0
0
×10 4 +R
-B +B
-G +G
-R
-5 -5
0.5 1
×10 4
0
-5 -5 0.6
1.2
Green
Blue
Green Blue
図24 標準化と50.7Hzのローパスフィルターを適用した学習サンプルにおける,
赤の値が正のときの緑と青の色相関.(A)色空間のどの方向からみているかを示 した図.矢印の方向から灰色で示した空間をみている.(B)2次元ヒストグラム.
(C)Bを上から見た図.XY軸は各カラープレーンの値を示し,カラーバーはその 値を持つ画素の総数を示す.
0.6 1.2
×10 4
Number
C
5
0
5 0
A
B
0 0
5
5 0
0
×10 4 +G
-R +R
-B +B
-G
-5 -5
0.6 1.2
×10 4
0
-5 -5 0.6
1.2
Blue
Red
Blue Red
図25 標準化と50.7Hzのローパスフィルターを適用した学習サンプルにおける,
緑の値が正のときの青と赤の色相関.(A)∼(C)の説明は図24と同様である.
0.5 1
×10 4
Number
C
5
0
5 0
A
B
0 0
5
5 0
0
×10 4 +B
-G +G
-R +R
-B
-5 -5
0.5 1
×10 4
0
-5 -5 0.6
1.2
Red
Green
Red Green
図26 標準化と50.7Hzのローパスフィルターを適用した学習サンプルにおける,
青の値が正のときの赤と緑の色相関.(A)∼(C)の説明は図24と同様である.
1 2
×10 4
Number
C
5
0
5 0
A
B
0 0
5
5 0
0
×10 4 -R
-G +G
-B +B
+R
-5 -5
1 2
×10 4
0
-5 -5 1
2
Blue
Green
Blue Green
図27 標準化と50.7Hzのローパスフィルターを適用した学習サンプルにおける,
赤の値が負のときの青と緑の色相関.(A)∼(C)の説明は図24と同様である.
1 2
×10 4
Number
C
5
0
5 0
A
B
0 0
5
5 0
0
×10 4 -G
-B +B
-R +R
+G
-5 -5
1 2
×10 4
0
-5 -5 1
2
Red
Blue
Red Blue
図28 標準化と50.7Hzのローパスフィルターを適用した学習サンプルにおける,
緑の値が負のときの赤と青の色相関.(A)∼(C)の説明は図24と同様である.
1 2
×10 4
Number
C
5
0
0 5 A
B
0 0
5
5 0
0
×10 4 -B
-R +R
-G +G
+B
-5 -5
1 2
×10 4
0
-5 -5 1
2
Green
Red
Green Red
図29 標準化と50.7Hzのローパスフィルターを適用した学習サンプルにおける,
青の値が負のときの緑と赤の色相関.(A)∼(C)の説明は図24と同様である.