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子どもと保育者のコミュニティへの保護者のコミュニティの参加

ドキュメント内 保護者の保育参加に関する研究 (ページ 97-116)

-認定こども園の保護者会活動における保護者の参加の過程-

保育所幼稚園等における保護者会活動は一定の成果を挙げながら継続されてきた。しか し,近年認定こども園が開始され,新しい制度への移行にあたり保護者会を見直したり,

廃したりする園も存在する(筆者の聴き取り調査による)。本章では,幼稚園から認定こど も園への移行を機に,保護者会のありかたが見直され,保育への保護者の参加のしかたが 変容していった,ある認定こども園の保護者会の長期的な過程を研究の対象とした。

第1節 保育所幼稚園等の保護者会

保育所幼稚園等における保護者会は,保護者が子どもや保育への理解を深め,保護者同士 の交流を図る目的のもとに,多数の施設において設置されている。保護者会は,保護者が 人的資源として園行事の運営を補助し,環境整備に資する役割も有している。新しく開始 された認定こども園には,保育所利用保護者(以下,保育園保護者と表す)と幼稚園利用 保護者(以下,幼稚園保護者と表す)という利用形態の異なる保護者がおり1,両者の意識 や考え方,就労状況の違いが,保護者の参加のしかたに関わっていると推察される。

一方,小学校などにおいて保護者が参加するPTA活動については,活動自体が形骸化し たり,目的が希薄化して保護者への負担や義務感が問題となる現象が現れている (朝日新聞,

2012;川端,2008など) 。また,共働き家庭の増加や就業形態の多様化により,活動への

参加が困難な保護者もおり,個人主義による保護者会離れも進んでいるという指摘もある

(教育支援協会, 2012) 。このような共働き家庭の増加や就業形態の多様化は,保育所幼稚園

等の保育施設を利用する保護者についても同様の状況だと言えよう。しかしこれまで,こ れらの乳幼児を対象とする施設では,初めての保護者会活動として参加する保護者も多い ことから,議論や改善の対象となりにくく,保護者会への要望や課題があったとしても顕 在化しなかったという側面もある。

97 第2節 C認定こども園の概要

研究の対象は,幼保連携型認定こども園の C 認定こども園(定員 250 名,内保育園90 名,幼稚園160名,以下,C園と表す)である。C園は私立の幼稚園として1979年に創設 され,201X年に認定こども園へと移行した。地方大都市の近郊にあるH市内において,最 初に幼稚園から認定こども園へと移行した園である。C園の近くには大規模な住宅団地や幹 線道路があるものの,園の周りには豊かな田園風景が広がり,園庭からは昔ながらの農家,

田畑,小川などの里山を望むことができる。C園では,環境デザインの視点から園庭が整備 され,園周辺環境の保全整備も重視されている。子どもたちの食育にも重点が置かれてお り,園内で調理され提供される給食は,地元の食材を素材の味を生かして調理されている。

C 園が認定こども園に移行した背景には,H 市内における環境の変化があった。H市で は,大学や企業の進出と相まって都市化が進行し,核家族世帯が増加した。それらの世帯 の多くは,地域との繋がりが希薄な共働き世帯であった。幼稚園に入園してくる子どもた ちも,外遊びの機会や自然とのふれあいが減っていた。C園園長は,子どもたちの生活を充 実させ,成長を支えるためには,C幼稚園の時間・空間・仲間を拡張させた,乳幼児期から 連続した保育が必要であると感じ(C園園長へのインタビューより),認定こども園へ移行 することを決めた。

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第3節 C認定こども園の保護者会活動の研究方法

研究の対象とするのは,C園において保護者会のあり方が検討された201X年から,今日 に至るまでの約3 年間の過程である。研究は,以下の方法を用いた。まず,C 園保護者会 の約 3 年度分の過程を記した資料の分析を行った。資料として用いたのは,保護者会総会 と保護者集会の議事録および活動報告(19回分),保護者への説明会における発表資料(園 長作成,保護者会役員作成の資料),各活動後に保護者に実施したアンケート(計 18 回,

414名分),保護者会や園からのお知らせ(24回分),保護者発信の「おたより」(4回分), メールサービスによる園から保護者へのお知らせ記録(69回分),講演会・座談会などの資 料(6回分),幼稚園時の保護者会資料などである。これらに基づいてC園が新しい保護者 会を作ることになった背景とその過程を示し,そこで現れた保護者会に対する思いや期待,

学びについて,保護者・保育者それぞれの観点を抽出した。

第二に,C園園長に対する半構造化インタビューを行った。インタビューは2回実施し,

合計時間は2時間56分であった。保護者会を見直した経緯や,それぞれの時点における園 長と保育者の思いや学びを明らかにすることを目的とした。

第三に,現在の保護者会の運営を中心的に担う保護者5名に対するFGIを行った。C園 において,保護者会の運営を中心的に担う保護者は,「運営メンバー」と呼称されている。

「運営メンバー」へのインタビュー時間は,1時間20分であった。「運営メンバー」は,全 員が幼稚園利用の保護者であったことから,保育園保護者5名に対するFGIを行った。3 名ずつ(内,1名は重複)2回実施し,合計したインタビューの時間は,4時間8分であっ た。FGI を行った「運営メンバー」と保育園保護者には,共に保護者会が見直された時点 の状況を知る人が数名ずつ含まれており,今日に至るまでの思いや状況を知ることができ ると考えた。

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第4節 C認定こども園保護者会が再編された背景

1979年のC幼稚園の創設に伴い,会員相互の親睦,園行事への協力,施設・設備の充実 を目的として,C 幼稚園保護者会は結成された。会長ら 5 名の役員と各クラスにおける行 事の担当役員を中心として,主要な行事を園との共催で実施したり,保護者への「おたよ り」の発行や会費の管理,備品の購入などを行っていた。保護者会の行事に対する役割は 大きく,各クラスから手伝い要員を出し,行事を開催しスムーズに進行する体制を確立し ていた。

幼稚園時の C 園保護者会は,規約により保護者全員が会員となり,園と保護者会による 共催の行事を一定の規模で維持することが可能であった。また,行事における役割の分担 や慣例化は,保護者にとって下準備や見通しが立てやすいという利点もあった。この時,

役員を通した園と保護者間の意思伝達は,ある程度可能であった。しかし,各行事の意味 やねらい,保育の価値観などについて,全ての保護者が共有できる仕組みになっていない という課題があった。行事を担当する役員にかかる負担が大きい上に,役員は一年で交代 するため,経験が積みあがらないという問題もあった。また,活動に際し多くの保護者は,

園や役員からの指示を待つ必要もあった。

この体制が認定こども園に移行した後も継続された場合,保護者会活動に保育園保護者 は参加しにくく,幼稚園保護者にはさらに負担が掛かることが予測された。これを踏まえ,

C園が認定こども園に移行する前年,当時の保護者会役員から会の見直しについての提案が なされた。この提案に対し,園側も保護者会の見直しに賛同する。園も認定こども園へと 移行するにあたり保護者と話し合いを持ち,保護者会や保育のありかたを模索していくこ とは好機であり,意味のあることだと捉えたのである。

201X 年5月,認定こども園下の保護者について,その必要性を全保護者に問うために,

「保護者集会」が開催された。この会では,園長と,保護者会の見直しを提案した保護者 会役員のそれぞれが,現行の保護者会の課題と見直しに至った経緯を述べた。その上で C 園の保護者会を存続させるか否かの議決がなされた。保護者会を廃すると決議された場合 は,保護者会を解散し,保護者が個別に園との協議や合意の上で活動を行うこととされた。

多数の保護者が会の存続を希望したことから,保育園保護者と幼稚園保護者とが共に利用 する認定こども園の,新しい体制における保護者会のあり方を考えていくことになった。

保護者有志により,「保護者会を考える会(以下,「考える会」と表す)」が結成された。「考 える会」には,保育園保護者を含む約30名の保護者が参加した。

C園の保護者会が再編された経過を,表 6-1 に示す。

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表6-1 C園保護者会の再編過程 201X年

3月 役員から保護者会の見直しの提案 4月 認定こども園に移行

5月 保護者集会において,保護者会の存続を決議 「保護者会について考える会」が発足

6月 「考える会」からの「おたより」発行 保護者の意見交換会の実施

7月 「おたより」発行 保護者への説明会 ボランティアによる草取りの実施

年長児クラスによる「なつのおもいでかい」

8月 学年交流会の実施 9月 「おたより」発行

「考える会」により「今後の保護者会のあり方」が提案される。提案はメールに よる議決を経て採択され,保護者会の運営を担う「運営グループ」への参加者が 募集される

10月 新体制の立ち上げ「運営グループ」の発足 保護者会臨時総会の開催

11月以降 新体制による行事の企画,実施,「おたより」発行

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