立法 と処 分の 根拠 法規 のあ り方 第一 節で は、 原告 適格 と憲 法と の関 係の 中で も、 原告 適格 と基 本権 との 関係 を中 心に 論じ たが
、近 時の 判例 との 関係 では
、こ れと は別 の次 元の 憲法 問題 とし て、 委任 立法 と原 告適 格と の関 係を 指摘 する こと がで きる
。す なわ ち、 前者 の問 題が 憲法 上の 実体 法に かか わる 問題 であ ると すれ ば、 後者 は、 憲法 上の 手続 法︵ 立法 手続 に︶ かか わ る問 題と いえ る。 この 点は
、サ テラ イト 大阪 訴訟 で問 題と なっ た自 転車 競技 法に 基づ く場 外車 券発 売施 設許 可に つい て問 題と な る。 すな わち
、許 可処 分の 根拠 法規 であ る自 転車 競技 法自 体は
、四 条一 項︵ 当時
・現 在は 五条 一項
︶で
、﹁ 車券 の発 売等 の用 に供 する 施設 を競 輪場 外に 設置 しよ うと する 者は
、経 済産 業省 令で 定め ると ころ によ り、 経済 産業 大臣 の 許可 を受 けな けれ ばな らな い。
﹂と し、 同条 二項
︵当 時・ 現在 は五 条二 項︶ で、
﹁経 済産 業大 臣は
、前 項の 許可 の申 請が あつ たと きは
、申 請に 係る 施設 の位 置、 構造 及び 設備 が経 済産 業省 令で 定め る基 準に 適合 する 場合 に限 り、 そ の許 可を する こと がで きる
。﹂ と定 める にと どめ てい る。 その 上で
、同 法施 行規 則一 五条 一項
︵当 時︶ が具 体的 要
件を 定め てい るの であ る。 その 内容 につ いて は第 一節 にお いて も紹 介し たと ころ であ るが
、改 めて 掲げ れば
、次 の 通り であ る。 法第
四条 第二 項の 経済 産業 省令 で定 める 基準
︵払 戻金 又は 返還 金の 交付 のみ の用 に供 する 施設 の基 準を 除く
。︶ は、 次 のと おり とす る。 一 学校 その 他の 文教 施設 及び 病院 その 他の 医療 施設 から 相当 の距 離を 有し
、文 教上 又は 保健 衛生 上著 しい 支障 を来 すお それ がな いこ と。
…︵ 中略
︶… 四 施設 の規 模、 構造 及び 設備 並び にこ れら の配 置は
、入 場者 の利 便及 び車 券の 発売 等の 公正 な運 営の ため 適切 なも ので あり
、か つ、 周辺 環境 と調 和し たも ので あっ て、 経済 産業 大臣 が告 示で 定め る基 準に 適合 する もの であ るこ と。 右に
挙げ た一 号が
﹁位 置基 準﹂ と呼 ばれ るも ので あり
、四 号が
﹁周 辺環 境調 和基 準﹂ と呼 ばれ るも ので
、上 告審 が 一号 の位 置基 準に つい ての み、 周辺 の医 療施 設等 の開 設者 に限 って 保護 規範 性を 認め たこ とは 既に 述べ た通 りで あ る。 これ らの 基準 は、 内容 的に は風 俗営 業等 の規 制及 び業 務の 適正 化等 に関 する 法律
︵風 営法
︶に 基づ く風 俗営 業の 許可 要件 に類 似す るも ので ある
。す なわ ち風 営法 上の 風俗 営業 の許 可に つい ては
、同 法三 条で 許可 制が 定め られ
、 四条 に許 可要 件が 定め られ てい るが
、そ のう ち同 条二 項は
、﹁ 公安 委員 会は
、前 条第 一項 の許 可の 申請 に係 る営 業 所に つき 次の 各号 のい ずれ かに 該当 する 事由 があ ると きは
、許 可を して はな らな い。
﹂と 定め
、二 号で
﹁営 業所 が、 良好 な風 俗環 境を 保全 する ため 特に その 設置 を制 限す る必 要が ある もの とし て政 令で 定め る基 準に 従い 都道 府県 の
条例 で定 める 地域 内に ある とき
。﹂ と規 定し てい る。 そし てそ こに いう
﹁政 令で 定め る基 準﹂ とし て風 営法 施行 令 六条 は、
﹁風 俗営 業の 営業 所の 設置 を制 限す る地 域︵ 以下
﹁制 限地 域﹂ とい う。 の︶ 指定 は、 次に 掲げ る地 域内 の地 域 につ いて 行う こと
。﹂
︵一 号︶ とし て﹁ イ 住居 が多 数集 合し てお り、 住居 以外 の用 途に 供さ れる 土地 が少 ない 地域
︵以 下﹁ 住居 集合 地域
﹂と いう
。︶
﹂﹁ ロ その 他の 地域 のう ち、 学校 その 他の 施設 で学 生等 のそ の利 用者 の構 成そ の他 のそ の特 性に かん がみ 特に その 周辺 にお ける 良好 な風 俗環 境を 保全 する 必要 があ る施 設と して 都道 府県 の条 例で 定 める もの の周 辺の 地域
﹂と 定め てい る。 後者 のロ 号に つい ては 最終 的に その 内容 が都 道府 県条 例に 委任 され てい る こと から
、そ の段 階で 最終 的に 保護 対象 施設 が定 まる こと にな る。 風営 法上 の許 可に つい ては
、こ のイ 号及 びロ 号 につ いて 保護 規範 性が 問題 とな った が、 最高 裁は
、周 辺住 民に つい てイ 号の 保護 規範 性を 否定 し、 保護 対象 施設 に つい てロ 号の 保護 規範 性を 肯定 した こと は周 知の とこ ろで ある
︵最
︵三 小︶ 判平 成六 年九 月二 七日 判例 時報 一五 一八 号一
〇頁
、最
︵一 小︶ 判平 成一
〇年 一二 月一 七日 民集 五二 巻九 号一 八二 一頁
︶。 この よう に風 営法 も自 転車 競技 法も
、許 可対 象の 営業 所や 施設 の設 置場 所に つい ての 基準 を下 位の 行政 立法 に委 任し てい るの であ るが
、と りわ け自 転車 競技 法の 場合 は、 法律 レヴ ェル では 全く 要件 につ いて 定め ると ころ がな く、 すべ て経 済産 業省 令︵ 施行 規則
︶に 丸投 げし てい るこ とが 特徴 で
( )
ある
。
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この 点は
、憲 法論 的に は重 大な 問題 であ ると いう べき であ る。 とい うの も、
﹁法 律上 保護 され た利 益説
﹂に おけ る︽ 保護 利益 の判 定︾ にお いて
、な ぜ処 分の 根拠 法規 が保 護し てい るか 否か によ って 判断 され るか とい うと
、そ れ は法 律に おい て公 益と 私益 の調 整が 図ら れ、 その 上で 特定 の私 人の 利益 が保 護さ れる か否 かが 決せ られ る、 そし て それ に基 づい て原 告適 格が 判断 され る、 とい う前 提が あっ たか らで ある
。す なわ ち、 そこ では 国会 が法 律に おい て しか るべ き決 定を 行う とい うこ とが 前提 とさ れて おり
、そ れが いわ ば﹁ 法律 上保 護さ れた 利益 説﹂ の憲 法上 の正 当 化条 件で ある と考 えら れる
。ま た、 法律 の留 保学 説に おけ る﹁ 重要 事項 留保 説﹂ ない し﹁ 本質 性理 論﹂︵
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-l i c h k e i t s t h e o r i e
︶は
、周 知の よう にド イツ 連邦 憲法 裁判 所の 判例 法理 に由 来し
、そ れが その 後日 本で も紹 介さ れて いる が、 具体 的な 訴訟 にお いて その こと が問 題と なっ たこ とは まず ない
。し かし なが ら、 公益 と私 益の 調整 とい う 国会 が法 律に おい て行 うべ き決 定を 行わ ず、 これ を行 政立 法に 委任 する こと は、
﹁重 要事 項留 保説
﹂に 照ら して い えば 違法 とい うべ きで あろ う。 実体 法た る法 律の 規定 のあ り方 と抗 告訴 訟の 訴訟 要件 との かか わり につ いて は、 既に
、処 分性 との 関係 で問 題に なっ たと ころ であ るが
︵就 学援 護費 支給 決定 の処 分性 にか かわ る最
︵一 小︶ 判平 成一 五年 九月 四日 判例 時報 一八 四一 号八
( )
九頁
、︶ 処分 性の 問題 とい って も、 訴訟 類型 の選 択が 問題 にな る場 合に おい ては
、処 分性 がな いと され て抗 告訴 訟 で 41
争え ない とし ても
、他 に適 切な 訴訟 類型 で争 いう ると いう ので あれ ば、 最終 的に 裁判 の拒 否と いう 事態 には 至ら ない
。し かし なが ら、 原告 適格 の有 無の 問題 は、 裁判 を受 ける 権利 にス トレ ート にか かわ る事 柄で ある から
、問 題 は重 大な ので ある
。 この 点に つい てサ テラ イト 大阪 訴訟 上告 審判 決は
、と りわ け周 辺環 境調 和基 準︵ 自転 車競 技法 施行 規則 一五 条一 項 四号 に︶ つい て、
﹁﹃ 周辺 環境 と調 和し たも の﹄ とい う文 言自 体、 甚だ 漠然 とし た定 めで あっ て、 位置 基準 が上 記の よう に限 定的 要件 を明 確に 定め てい るの と比 較し て、 そこ から
、場 外施 設の 周辺 に居 住す る者 等の 具体 的利 益を 個々 人の 個別 的利 益と して 保護 する 趣旨 を読 み取 るこ とは 困難 とい わざ るを 得な い﹂ とし てい るが
、か かる
﹁甚 だ 漠然 とし た定 め﹂ の制 定者 が国 会で はな く、 経済 産業 大臣 であ るこ とに つい ては
、全 く考 慮さ れた 形跡 はな い。 確 かに
、国 会が 自ら 自転 車競 技法 にお いて
、場 外車 券発 売施 設の 設置 許可 要件 を書 き込 んだ とし ても
、風 営法 など の 例か らし て同 じよ うな 内容 にな った であ ろう とい う推 測は あり うる とこ ろで ある が、 法律 が具 体的 内容 を行 政立 法 に丸 投げ し、 さら にそ の行 政立 法も
﹁甚 だ漠 然と した 定め
﹂し か置 いて いな い場 合、 かか る規 定を 前提 に行 われ た 原告 適格 の判 断に つい ては
、上 述の よう な憲 法上 の疑 義が ある だけ でな く、 判決 理由 にお ける 説得 の論 理と して
も、 当事 者を 納得 させ るこ とは でき ない ので はな いか とお もわ
( )
れる
。ち なみ に、 位置 基準
︵一 号︶ につ いて は、 そ
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の後 改正 によ り、 現在 では 単に
﹁位 置は
、文 教上 又は 保健 衛生 上著 しい 支障 を来 すお それ がな い場 所で ある こと
。﹂ とな って おり
、そ れま での
﹁学 校そ の他 の文 教施 設及 び病 院そ の他 の医 療施 設か ら相 当の 距離 を有 し﹂ とい う文 言 は削 除さ れて いる
。こ の点 は注 目さ れて よい
。 ただ かよ うな 委任 立法 のあ り方 は、 上述 のご とく 一つ の憲 法問 題と いい うる が、 これ をど のよ うな 形で 訴訟 の場 で扱 うか につ いて は、 難し いと ころ で
( )
ある
。し かし なが ら、 繰り 返し にな るが
、問 題は
、法 治主 義を
︵自 由主 義的
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要請 と並 んで 構︶ 成す る民 主主 義的 要請
︵国 民の 代表 たる 国会 自身 が規 律を 行う こと と︶ いう 客観 法的 要請 の不 充足 が、 法律
︵国 会制 定法
︶に おけ る公 益と 私益 の調 整の 不足
・欠 缺を 経て
、ひ いて は私 人の 主観 法的 地位
︵こ こで 問題 とな って いる のは
、原 告適 格と いう 訴訟 法上 の地 位︶ の保 障の 欠缺 に繋 がる とい うこ とで あっ て、 その 点が 等閑 に付 せら れて いる
︱︱ 意識 すら され ない
︱︱ のは
、法 治主 義と いう 憲法 原理 の観 点か ら甚 だ遺 憾な こと とい わざ るを え ない
અ
。考慮 事項 と原 告適 格判 断 以上 述べ たよ うに サテ ライ ト大 阪訴 訟の 事案 は、
①処 分の 根拠 法規 との 関係 で原 告の 利益 をい かに 捉え るか とい う問 題︵ すな わち
︽大 括り 的な 原告 適格 判断
︾か
︽精 密選 別的 な原 告適 格判 断︾ か︶
、さ らに は② 処分 の根 拠法 規そ のも のの 正当 性の 問題
︵委 任立 法の あり 方︶ とい う原 告適 格判 断の 根幹 に関 わる 問題 をは らん でい る。 もっ とも
、上 告 審判 決に おけ る原 告適 格判 断の 流れ 自体 は、 行訴 法改 正以 前か らの 裁判 実務 の発 想︵ 前述 の風 営法 に基 づく 風俗 営業 許可 処分 取消 訴訟 にお ける 第三 者の 原告 適格 判断 との 類推
︶か らし て十 分あ りう る論 理の 展開 であ ると もい える
。 しか しな がら
、既 に指 摘し たこ とと も重 なる こと であ るが
、サ テラ イト 大阪 訴訟 上告 審判 決の よう な考 え方 に従