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好みの味順位化アルゴリズムの順位結果との関係性の検証

ドキュメント内 久留米工業大学研究報告: 第37号 (ページ 55-61)

江藤 信一

Verification of relationship of evaluation taste palatability and result using ranking algorithm of food with favorite taste

Shinichi Etoh

Abstract

This paper will present the results from an experiment and investigation of taste palatability using a questionnaire conducted on the general public at Kurume institute of Technology. Using the results of a questionnaire, the researchers designed a food-ranking algorithm that can rank foods according to an individualʼs favorite tastes. The algorithm uses ELO rating to give a quantitative visualization of the food ranking based on scores of “preferred” or “not preferred”

stated by the individual. This paper will also discuss the relationship between the two results.

Key Words:Taste palatability, Ranking algorithm of food, standard deviation, ELO rating

.はじめに

一般消費者の「おいしさ」への欲求は,時間を追うごとに増加しており,その欲求を満たすべくあらゆるメディアが その情報を提供・配信しているのが現状である.その情報は文字や画像,動画などであり,それらによって一般視聴者 はイメージによって「おいしさ」を授受し,食の消費行動を活発化させている.食品を提供する食品メーカー,食品流 通,食品小売業などの食品関連企業では,提供する食品の開発に注力することはもちろんのこと,それらに関する情報 提供も盛んに行なっている.材料に使われる素材の情報やその食品を食するシーンをイメージできる CM,言葉,フレー ズなど工夫を凝らし,CM などのメディアによって配信することの重要性を意識している.

一方,「おいしさ」という感覚は主観的評価にあたり,味覚で感じる味,嗅覚で感じる香り・匂い,触感(触感)で 感じるテクスチャー,視覚で感じる見た目・色合い,聴覚で感じる音といった五感に由来する感覚だけでなく,これま での食生活,体調,気分,時間といった情報も加味された総合的な評価の中で「おいしさ」を判断していると考えられ る.このような背景もふまえ,学術的研究においても人の食品に対する嗜好性の関する研究は多く行なわれているが,

評価法の一つである官能評価等の評価手法では,パネルの体調・気分・環境の影響,再現性などの問題点から,定量的 なおいしさの評価は難しい‐ )

著者は,これまでの研究において,好みの味を持つ食品の順位化に関するアルゴリズム「順位化アルゴリズム」を提 案した.これは,ある食品カテゴリーの中から二つの商品をピックアップ・表示し,これまでの試飲経験とイメージ より,パネルがより好みの味を持つ食品であるという優劣判断を判定・回答することで,点数化され,それを積算する ことによって順位を導き出すアルゴリズムである.このアルゴリズムに市販の緑茶,コーヒーなどの嗜好性の強い食品 を用いて, 名近いパネルを対象に実証実験を行ない,パネル個人の好みの味を持つ食品の順位を視覚化することに 成功した.一般消費者が食品アイテムを購入する際に,無意識に参照しているであろう様々な評価に対して,「好みの 味」という基準から選択するよう簡単な二者択一法による回答手段を取ることにより,その順位を抽出できることが可 能となった.

本研究は,「順位化アルゴリズム」の実証実験にて得られた順位結果と,その実証実験の際に収集した味の嗜好性に 関するアンケート結果を用いて,市販の緑茶に対するイメージからあらわれる嗜好性評価と順位との関係性を導き出す.

情報ネットワーク工学科 平成 年 月 日受理

「順位化アルゴリズム」を用いて導き出された市販の緑茶の順位と,「濃さ」,「爽快感」,「甘味」,「渋み」といったお 茶の味を表現する際に用いられる単語が,どのように関係しているかを検証する.これによって現代社会における「お いしさ」のイメージ提供と順位化アルゴリズムによる結果との関係性を知るきっかけになるのではと考える.

.好みの味の食品の順位化アルゴリズム

まず好みの味を持つ食品の順位化アルゴリズムについて述べる. つの食品アイテムに対しての好みの味の優劣をパ ネルが判断し,それを積み重ねることで最終的に順位化されるアルゴリズムである.この順位化アルゴリズムでは,

単純に 食品間の優劣による定性的な評価として処理するのではなく,優劣による点数付けを行ない,最終的に定量的 な数値として食品の順位化を行なうアルゴリズムである.その算出に Elo Rating を用いている.

初期設定として,各食品アイテムに 点を割り当て,それから 食品アイテム間で好みの味という基準で優劣をつ けることで,食品アイテムの点数が変動する.これを他のアイテム間でも算出し,積算することによって最終的に複数 の食品アイテムの点数が算出され,順位化される.

式⑴に Elo Rating における確率の算出式を示す.

#$ %$%# "

"""!

$" !$ %!$! "$ %

#!! ( )

EA(B)は食品アイテム A(B)が優れた味だった場合の確率,RA(B)は食品アイテム同士の比較前の点数を示す.優劣がつ いた段階で,EAおよび EBが算出され,次の式⑵を用いて,食品アイテムAの比較後の点数が算出される.

A=RA+K(SA­EA) ( ) RʼAは評価後の食品アイテムの点数,K は係数,SAは優劣判定による結果(優の場合: ,劣の場合: )である.

本研究において K= とした.二食品間で,好みの味という基準で優劣をつけることで,その食品の点数がそれぞれ変 動するものである.

図 に順位化アルゴリズムを組み込んだプログラムを示す.Microsoft の Visual Basic Editor を用いて具現化を行なっ た.今回,緑茶を食品カテゴリーとして選択し,そのカテゴリー内から つの食品アイテムの画像を準備した(実際の プログラムではモザイクのない状態で表示する).本プログラムの動作は,まず食品カテゴリー内の食品アイテムから ランダムに 品ピックアップし,図 のように PC 画面に表示する.パネルは,「Aが好き」もしくは「Bが好き」の どちらかを選択し,ボタンをクリックする.選んだ食品アイテムを「優」,選ばれなかった食品アイテムを「劣」とし,

アルゴリズム内の Elo Rating を用いて算出を行なう.ただし,AもしくはBの食品アイテムを食したことがない場合 が考えられるため,「Aを飲んだことがない」もしくは「Bを飲んだことがない」のボタンを設け,該当する場合には こちらをクリックする.本研究では飲んだことない食品アイテムは,アルゴリズムとしてどの食品アイテムよりも劣る と仮定し,自動的に劣判定を加えることで,その食品アイテムがふたたび評価画面に現れないようにする.これで,一 つの組み合わせが終了となり,次の二食品アイテムの組み合わせがランダムに画面上に現れ,同じステップで優劣判定 を行なう.今回のプログラムにおいて, 食品アイテムを用いているため,合計 回の優劣判定が行われる. 回の優 劣判定が終わったのち,Elo Rating の算出結果から, 食品アイテムの順位が導き出されることになる.表 は,今回 の順位化アルゴリズムにおいて,市販緑茶 アイテムの名称とメーカーである.実際は名称も明記する形で順位化アル ゴリズムに組み込まれている.

表 5 items in green tea available using the experiment

名称 メーカー

緑茶A ㈱伊藤園

緑茶B コカ・コーラカスタマーマーケティング㈱

緑茶C サントリーフーズ㈱

緑茶D ㈱伊藤園

緑茶E キリンビバレッジ㈱

図 Program witn ranking algorithms

図 Questionnaire survey for panel taste palatability

図 Results of property in 75 panels (distinction of sex, age, job)

.味の嗜好性評価に関するアンケート

先述の好みの味を持つ食品の順位化アルゴリズムの実証実験と並行して,パネルにそれぞれの緑茶に対するイメージ を つの言葉「濃さ」,「爽快感」,「甘味」,「渋み」から,どの程度,強弱を感じているかのアンケートを実施した.

図 にアンケート調査表の抜粋を示す.このアンケートは上記の順位化アルゴリズム実施前に行なった.また Microsoft の Visual Basic Editor を用いて調査票を作成した.アンケート調査では性別・年齢・職業について,また各 食品アイテムに対しての味の嗜好性を 段階評価で回答してもらった.図 に示す緑茶の調査票では,「濃さ」,「爽快 感」,「甘味」,「渋み」に関して, 段階評価を実施した.さらに「市販の緑茶を購入する上で考慮する点」との問いに

「味」「香り」「価格」「メーカー」「パッケージ」「その他」といった回答を準備し,購入する際に基準にしている点を 聞き出した.また「あなたがお茶を選ぶ上で注目している味は?」との問いに「苦味」,「酸味」,「旨味」,「甘味」,「塩 味」,「渋味」,「その他」といった回答を準備し,味についてのアンケートも設置した.

.実験調査および結果

前述のアルゴリズムを組み込んだプログラムを用いて, 年 月 日から 月 日にわたり,久留米工業大学キャ ンパス内にて実証実験調査を行なった.今回のアルゴリズムプログラムを体験したパネル数は総勢 名であった.そ のうち, 種類の緑茶の中で,飲んだことのないお茶が つ以上あったパネルに関しては,今回の実証実験の統計に沿 わないと判断し除外した.よって残った 名の結果をもとに検証した. 名のパネルの属性を図 に示す. 名のパネ ルのうち,男女比はほぼ : , 代以下が %を占めた.これは平日の大学キャンパスにおいて実施したため,この ような傾向となった.

.味の嗜好性評価と順位化アルゴリズム結果の関係性

図 に 名のパネルが,市販の緑茶を購入する上で考慮する点についての回答結果および緑茶の味で注目している味 についての回答結果をそれぞれ示す. 割のパネルが,緑茶を購入する上で「味」を考慮しており,また味として,「旨 味」と「苦味」に注目して緑茶の味を判断しているという結果となった.これらの結果は,後述する順位と関係性があ

ドキュメント内 久留米工業大学研究報告: 第37号 (ページ 55-61)