第3章 Friedel-Crafts 型芳香族カルバモイル化反応の開発
第3節 天然物および生物活性化合物合成への応用
本手法を用いた天然物及び生物活性化合物の合成を目的として、ピペラジン類を用いた インドール類のアミノカルボニル化反応を検討した。
まず、A375 (ヒト悪性黒色腫細胞株) への細胞毒性を有する海洋由来菌類 Aspergillus sydowii SCSIO 00305由来インドールアルカロイド20a 13) の合成を検討した (Scheme 61)。
1-(2-メトキシフェニル)ピペラジン (19a) と 1-メチルインドール (13A) を空気存在下、ク
ロロホルム中、ジメチル亜鉛と室温で反応させると、アミノカルボニル化反応が進行し、
20aを22%の収率で得ることに成功した。
Scheme 61. Synthesis of indole alkaloid 20a.
次に、p38 MAPキナーゼ阻害活性を有する20b 14)の合成を検討した (Scheme 62)。まず、
ピペラジン (86) をジクロロメタン中、ベンジルブロミドを用いてモノアルキル化し、 N-ベンジルピペラジン19b 73b) を80%の収率で得た。73a) 次に、合成した19bを用いて、無保 護のインドール (13B) とのアミノカルボニル化反応を検討したところ、20bを50%の収率 で得ることに成功した。
Scheme 62. Synthesis of 20b.
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最後に、ドパミンD4受容体アゴニスト活性を有する20c 15) の合成を行った (Scheme 63)。
すなわち、インドール (13B) を DMSO 中、水酸化カリウム存在下、ベンジルブロミドを 用いてアルキル化し、N-ベンジルインドール (13G) 70b) を93%の収率で合成した。74) 次に、
フェニル基を有するピペラジン19cとN-ベンジルインドール (13G) を用いて、これまでと 同様にアミノカルボニル化反応を検討したところ、期待通り目的の反応が進行し、20c を 45%の収率で得た。
Scheme 63. Synthesis of 20c.
以上のように、インドールおよびピペラジンの Friedel-Crafts型カルバモイル化反応によ り、3 種の生物活性化合物の合成に成功した。本研究を通して見出した芳香族アミドを簡 便に構築できるアミノカルボニル化反応は、創薬研究において利用されることが期待され る。
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結論
著者はホスゲン等価体としてクロロホルムおよびトリホスゲンを用いたカルボニル基の 導入を伴うアミノカルボニル化反応の開発研究を行い、ラクタム類および芳香族アミド類 の新規合成法の開発に成功し、生物活性化合物の合成に応用した。
① ホモアリルアミンを空気存在下、クロロホルム中、ジメチル亜鉛と反応させると、系中 で発生するホスゲンによるアミン部分のアシル化と塩素原子の導入を伴うPrins型環化 反応により、クロロラクタムが得られることを見出した。
② シクロペンテン環をもつスピロテトラヒドロキノリンをジクロロメタン中トリホスゲ ンと反応させた後、分取薄層クロマトグラフィーにて精製すると、クロロラクタム化反 応が進行することを見出した。さらに、溶媒および求核剤としてニトリルを用いたアシ ル化、Prins 型環化反応および Ritter 型反応の連動するアミノアラクタム化反応の開発 に成功した。
③ アミンおよびインドール類またはピロール類を用いる Friedel-Crafts 型カルバモイル化 反応を開発した。さらに、本反応を応用して、A375 (ヒト悪性黒色腫細胞株) への細胞 毒性を有するアルカロイド20a、p38 MAPキナーゼ阻害活性を有する20bおよびドパ ミンD4受容体アゴニスト活性を有する20cの合成に成功した。
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謝辞
本研究に際して終始ご懇篤な御指導、御鞭撻を賜りました恩師、宮田興子特別教授に衷 心より感謝致します。また、本論文をまとめるにあたり、御指導、御鞭撻を賜りました北 河修治教授に厚く御礼申し上げます。また、種々有益な御助言と御指導を直接頂きました 上田昌史准教授に厚く深謝致します。実験に際し種々の御協力を頂きました武田紀彦講師 に厚く深謝致します。
本研究の論文審査にあたり、有益な御助言と御指導を賜りました和田昭盛教授、奥田健 介教授に深謝致します。
さらに本研究に際し、多大な御協力を頂きました林昌孝修士、岸本早百合学士、米田佳 祐学士、河野友紀子学士、二木麻里奈さんならびに神戸薬科大学薬品化学研究室の諸氏に 感謝致します。
MS、NMR および元素分析を測定して下さいました中央分析室、竹内敦子准教授、都出
千里講師ならびに京都大学、元素分析センターの諸氏に感謝致します。
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