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第3章 中国における自動車部品リビルトビジネス展開可能性調査

1. 大連市及び北京市他における中古部品の発生源及びその特徴

中国における使用済み中古部品の主な発生源は、主に1)自動車修理2)事故車3)解 体業者4)輸入である。大連市及び北京市に限らず、大都市の当社とネットワークを有す る各発生源にヒアリングを行いその実態を把握した。

(1)自動車修理業者

自動車の修理は、主に①ディーラー店(4S店)または②修理業者で行われている。

1)ディーラー店

修理の実態、中古部品の流通について、現地ディーラーであるA社にヒアリングを行っ た。

多くの自動車ユーザーは、自動車の保証期間中の修理をディーラー店で行っていると 考えられる。取り外された中古部品は、保険の範囲内の修理の場合は保険会社へ引き渡 し、保険外の修理の場合はスクラップ業者へ販売されている。

A社社社社 へのヒアリング内容へのヒアリング内容へのヒアリング内容へのヒアリング内容

自動車ユーザーの多くが自動車の保証期間中はディーラー店で修理を行っている。正常 に使用している限りは無償で修理サービスを受けることができ、また保証期間中に一度 でも路面修理業者で修理を行った場合には保証が取り消されるためである。

月間の修理台数は800台から1,000台であり、4割が外装など板金系の修理、6割がセン サー、消耗品を含む電装部品の修理に分類される。

保証期間後は、修理価格がディーラー店の約4割から5割程度と安価な修理業者が利用 されることが多い。自動車の保有台数の増加に対して、保証期間後の自動車の修理件数 は伸び悩んでいる。

ディーラー店において修理時に取り外された部品は、保険の範囲内で行われた修理の場 合、保険外で行われた修理の場合でその後の流通経路が異なっている。

保険の範囲内で行われた修理の場合は、保険会社に取り外した部品を引き渡している。

保険外で行われた修理の場合は、スクラップとして販売している。

2)修理専門業者

中国では、大通り沿いに修理を専門とした路面店型の修理業者が数多く存在している。

①で述べたように、自動車の保証期間を過ぎた多くの自動車がこのような修理業者にお いて修理されていると考えられる。

また、修理業者のなかには大型バス、トラックなどの大型商用車に特化した業者もあ る。そのような修理業者のうち、天津交通集团金陆通运业有限公司、天津市滨海新区塘

沽欣冉汽车修理厂、时月汽车配件销售有限公司にヒアリングを行った。

これらの修理業者では、部品の交換は主に純正品が使用されており、発生した使用済 み中古部品はメーカーに引き渡している業者が多いという結果であった。

天津交通集 天津交通集 天津交通集

天津交通集团团团团金金金金陆陆陆陆通运通运通运通运业业业业有限公司有限公司有限公司有限公司 大型車メーカーと連携したメーカー指定の修理工場。

大型トラックの修理を行っており、月間修理台数は300台である。

修理を行う車両は主に物流会社で使用されていたものである。

修理はクラッチなどの消耗品が多く、交換に用いる部品は、東風、一汽の純正部品を使 用している。

発生した使用済み中古部品は主にメーカーに引き渡している。

天津市 天津市 天津市

天津市滨滨滨滨海新区塘沽欣冉汽海新区塘沽欣冉汽海新区塘沽欣冉汽海新区塘沽欣冉汽车车车车修理厂修理厂修理厂修理厂 大型トラックの修理を行っており、月間修理台数は200台である。

修理を行う車両は主に物流会社で使用されていたものである。

修理はクラッチなどの消耗品が多く、交換に用いる部品は、部品市場で仕入れた純正部 品を使用している。

発生した使用済み中古部品は主にメーカーに引き渡している。

时 时时

时月汽月汽月汽月汽车车车车配件配件配件配件销销销销售有限公司售有限公司售有限公司售有限公司

大型トラックの修理を行っており、月間修理台数は数十台である。

修理を行う車両は主に物流会社で使用されていたものである。

修理はクラッチなどの消耗品が多く、交換に用いる部品は、部品市場で仕入れた純正部 品または二級品を使用している。

発生した使用済み中古部品は主にメーカーに引き渡している。

(2)保険会社

保険会社は、先に述べたようにディーラー店で発生した使用済み中古部品が流通して くるほか、事故車両に由来する使用済み中古部品の発生源でもある。

保険会社における使用済み中古部品の流通実態について、B 社、C 社にヒアリングを 行った。

ヒアリングの結果、保険会社に引き渡された使用済み中古部品は、保険会社と提携し ている回収業者が回収している場合、中古部品市場に流通している場合があることが明 らかになった。また、近年事故発生件数が増加しているものの、軽微な事故が多いため に基幹部品の取り換えは少ないとのことであった。

B社社社社 へのヒアリング内容へのヒアリング内容へのヒアリング内容へのヒアリング内容

取り替えた後の中古部品は、保険会社と提携している回収業者が回収している。

回収業者はヘッドライト等細かい部品については自社で処理する場合もあるが、他へ販売する こともある。

事故による修理依頼も多いが、そのうち7~8割が軽微な事故であり基幹部品取替えは非 常に少ない。

自動車保険は、強制保険と任意保険があるが、任意保険の加入率は低い。また年に2回 無償で修理ができるという契約形態となっており、加入者は事故が起きた都度修理する のではなく、まとめて修理を実施する。

一方で、保険種類の自由化が2015年より始まるとされているため、保険の商品多様化が 進むことが想定されている。

保険料の違いは4S店で加入するか、修理工場で加入するかの違いである。4S店は全て 純正部品を使用している。

修理時の保険料支払いの流れは修理工場→個人へ請求→保険会社へ請求→個人へ支払い となっている。

C社社社社 のヒアリング内容のヒアリング内容のヒアリング内容のヒアリング内容

事故が発生すると、保険会社の査定人が事故現場へ派遣され、損傷した部品の査定が行 われる。

査定結果を受け、ユーザーは新品との差額を支払い、保険会社から新品が提供される。

損傷した部品は中古部品市場に流通している。

ただし、部品交換による修理費用が高くなる場合には、ディーラーによって廃車手続き が行われたのち、車両ごと部品市場に流通している。

中国における自動車保険制度は、日本と同様に強制保険(自賠責保険)と商業保険(任 意保険)の2種類で構成されている。中国では一括請求制度がないために、消費者は手続 きが容易な方法として同じ損保会社へ加入する傾向にある。

現状では、統一約款及び統一保険料率が適用されることから、各損保会社は差別化を図 ることが困難であり、リビルト部品を推奨するような保険プランを提供することは難しい 状況にある。

保険制度の詳細は下記の通りである。

商業保険 (任意保険)

◆0 6年より商業保険についても、普通保険約款(A、

B、C約款※)・ 特約の一部が保険協会約款に統一さ れ、同約款以外の販売は禁止されている。

※A約款: PICC他大多数の損保会社   B約款: 平安財産他一部損保会社   C約款:CPICのみ

◆「 第三者賠償責任保険約款」 と「 車両保険約款」 が 核となり、「 搭乗者賠償責任保険」 や「 車両盗難保険」

の保険約款によって構成されている。

◆A、B、C約款はいずれも補償の範囲は類似し、保 険料率は同一料率。

◆各地域(直轄市、省、自治区)により、保険料率差が ある。

◆基本保険料率に、過去保険事故歴、年平均走行距 離、運転区域、性別、年齢など1 4 項目によって調整係 数が設けられている。

◆強制保険同様に、自動車本体に紐づいている。

【 商品】 【 料率】

強制保険 (自賠責保険)

◆当該自動車の被保険者及び同乗者以外の者の死 亡、傷害、財物損害について、責任限度額(以下参 照)の範囲内で補償する。

◆車両種別(用途・ 車種)と座席数、重量に基づいて4 2 車種に分類し た保険料率が定められている。

◆基本的に全国一律の料率体系(トラクタ ーのみ地域 性料率)。

◆交通事故履歴によって、最大3割の保険料率割増 引がある。当該割増引は、自動車本体に紐づいてい る。

※北京市は飲酒運転違反割増(最大60 % 割増)を導 入。上海市は交通違反割増を導入。

被保険者が有責 被保険者が無責

死亡・ 後遺障害

110,000元 ( 1,650,000円)

11,000元 ( 165,000円)

医療費用

10,000元 ( 150,000円)

1,000元 ( 15,000円) 財産の補償

(対物補償)

2,000元 ( 30,000円)

200元 ( 3,000円)

(3)解体業者

使用済み自動車の解体作業を行う解体業者も、コア部品の発生源のひとつである。解 体業者の作業場では、修理業者などの部品需要者が頻繁に現場を訪れては必要な部品を 探すということが日常的に行われている。そのため、解体業者は価値が高いと思われる 部品を含む使用済み自動車は、解体されずに在庫として部品取りに供されている。

(4)輸入

現地のリビルト企業では、リビルト部品の海外販売先と提携してコア部品の回収ルー トを確立し、部品を輸入している企業もある。

図表 31 使用済みコア部品の流通

(資料)ヒアリングをもとに作成

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