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大規模農家主導型 A 茶葉専業合作社の組織と事業

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 43-48)

第 3 章 合作社における組織と制度の実態

第 3 節 大規模農家主導型 A 茶葉専業合作社の組織と事業

A茶葉専業合作社は安渓県竜ケン郷に位置している。A合作社は大規模農家29人によ り,2008年7月に創立された。創立当時,合作社は社員59戸を有し,総面積2500 km²の 茶葉加工場,1800ムーの生産基地も持っていた。2008年末,A合作社の年間産額は650 万元に達し,2009年に1300万元を超えた。2010年,A合作社は茶園面積を3900ムーに 拡大し,社員が108戸になった。

現在,A合作社は社員158戸を有する。社員の出資は現金のみならず,茶園,技術,機 械,最低限が労働力である。出資金の総額は2000万元,茶園の総面積は5900ムーであ り,そのうち,有機茶園の面積が320ムーである。そして,有機茶園は「国家農業部無公 害商品認証」の検査を通過し,A合作社が「経営林権証」を持つ。A合作社は台湾有機農 業研究基金会,福建省農業科学院と連携し,「閩台茶葉安全生産管理」と「トレーサビリ ティシステム」を開発した。経営方式は五つの「統一」になっている。それは,「統一管 理,統一農資,統一技術,統一生産,統一ブランド」である。作業の仕方と効果を総括す ると,「専門分業,規模発展,精耕細作,公司運営,効益保障,質量追遡」になる。過去 5年において,「全国首批農民専業合作社示範社」,「福建省名牌農産品」と「福建著名 商標」など,様々な栄誉賞を受賞した。

2.組織運営

1)入社資格,社員の権利と義務

入社資格は,①民事行為のある能力を持つこと。②合作社の定款を承認し,合作社の指 導を受けて茶生産を行うことである。このような資格を持つ農民は申請書を理事会に提出 し,社員大会で審議のうえ,入会可否を判定される。

社員権利としては,①社員大会に参加権,表決権,選挙権と被選挙権を持つこと。②合 作社が提供するサービスと生産設備を利用できること。③合作社の定款と社員大会の決議

にしたがって剰余金を配分できること。④合作社の定款,社員名簿,社員大会記録と理事 会決議を閲覧できること。⑤合作社の日常運営に対しアドバイス,質疑できること。⑥臨 時社員大会を提議できること。⑦合作社の定款にしたがって,自由に退社できることであ る。

社員の義務としては,①合作社の定款,規定を守り,社員大会の決議を実行すること。

②合作社の定款にしたがって出資すること。③積極的に合作社の各事業を参加し,指導を 受け,定められた品質基準と生産技術規定にしたがって生産を行うこと。④合作社と社員 の共同利益を損害しないこと。⑤合作社の損失を負担することである。

2)組織構造

協同組合の組合員総会にあたる社員大会は,最高の権力機構であり,合作社の重大事項 と事業項目を決定する。社員大会は年に1回を理事会によって主催され,事業報告などが 行われる。社員の出席者数は三分の二を超えなければならない。決議は一人一票制で行わ れ,出席者の過半数で決定される。定款上このようになっているが,ヒアリングの際,実 際社員総会の開催回数,開催状況等,理事長がはっきり説明しなかった。

合作社は理事会を設置している。理事会は社員に対し責任を負う。理事数は7人,任期 は5年である。任期満了後,再任することができる。そして,理事会は理事長と副理事長 を1名ずつ指定し,理事長は法人を代表する。さらに,理事会と幹事会のメンバーの過失 によって,合作社の損失が出た場合,全額賠償をしなければならない。

小組が7組編成され,1組に約20人の社員がいる。組長は理事である。現在は,ブラ ンド化を図る統一栽培・加工のために農民の新規加入を制限している。組織構造を図示す るとこのようになっている。

(出所)聞き取り調査より筆者作成

図 1.A 合作社の組織構造

3)財務管理

A合作社は法律,行政法定と政府管理部門の規定にしたがって,財務と会計制度を備え ている。独立的財務管理と会計が行われ,厳格に国家農業部が制定した農民専業合作社財 務制度と会計制度を参照しながら,生産経営と管理の過程に発生した費用を精算する。会 計年度終了の時点で,理事長が定款を参照しながら,合作社の年度業務報告書,剰余金配 分方案,損失処理方案と財務会計報告書を作成し,理事会の承認をもらい,社員大会で審 議する。A合作社は社員に「社員証書」を発行し,同時に社員の出資金額を決定する。

3.事業内容

1)主要な事業

農薬などの生産資材は共同購入している。新品種,新技術などの導入も統一で行ってい る。生産基地にある加工場で荒茶を統一加工し,さらに製品加工を合作社の工場で行って いる。製品は,「印象举源」というブランドで統一販売し,製品価格は表8のように,そ の中の最大のブランド,「A・NT」は300~6000元/500gと高価格で販売している。販売 は,直営店2店舗が安渓県にあり,全国からこのブランドを販売する加盟店を募集し,現

社員⼤会 理事会

技術担当

⽣産担当 販売担当 管理担当

小組

小組 小組

小組

在43店舗が加盟し,全国でこのブランドを販売している。この過程において,茶葉生産 の指導に基づき農民自身が生産等を記録し,トレーサビリティシステムを作っている。

2)加盟店舗へのサービス

A合作社の加盟店舗方式はフランチャイズ方式である。具体的に次のようになってい る。

①加盟前

まず,A合作社本部は加盟商に店舗づくりや販売方法等のモデルを提供する。加盟商は無 料でA合作社の統一の広告宣伝と媒体広告を使用することができる。本部は不定期に大型 展覧会とセール活動を実施する。このことによって,A合作社のブランド知名度が高めら れるとともに,市場シェアも拡大される。次に,本部は経営計画を設定し,加盟商と話し 合いながら,専門店の出店先を確定する。さらに,無料で加盟商に店舗の外装と内装,専 門知識,経営管理,顧客管理と物流管理などの店内全般業務に対し指導する。

②加盟後

A合作社は現代的物流管理システムを持っている。このことによって,本部は全国各地 の加盟店舗に物流管理と配達サービスを統一提供する。セール商品に対し,各加盟商の需 要と売り上げの状況に応じて配達する。加盟商の状況を把握しながら,市場の需要を配慮 している。安渓県だけではなく,異なった地域の市場需要に応じて,新商品の開発にも力 を注いでいる。

表 7.A 茶葉のグラム当たり価格

ブランド 価格 (500g/元)

普通品

A ・QT 300 300 A ・ NT300 300

中級品

A・QT600 600

A・NT600 600 A ・ QT1000 1000 A ・ NT1000 1000

高級品

A・QT1600 1600 A・NT1600 1600 A・QT2600 2600 A ・NT 2600 2600

特級品

A ・ QT6000 6000 A・NT6000 6000

(資料)A 合作社の資料を参考に筆者作成

4.安全システムの導入

事業内容において特徴なのはトレーサビリティシステムである。この中に公開している 記録内容は,生産時間,茶の名前と種類,生産基地,加工数量,包装の情報である。消費 者は携帯電話で,外包装にある QR コードを読み取り,インターネットで茶の情報を調べ ることが出来る。このトレーサビリティシステムを通して,基地の茶葉生産過程と商品安 全を全部調べ,「身分証明書」のある茶であることが確かめられる。

4 節.企業主導型 B 茶葉専業合作社の組織と事業

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