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大分類 D の特徴は、中分類に適用されている分類基準と営業職(分類表では「外交員」

という名称が用いられている)の区分法の 2 点にみられる。まず、分類基準については、い くつかの異なる分類基準が重層的に適用されて小分類項目が設定されている。最優先に適用 されている分類基準は「売買の対象」である。この基準にもとづいてモノ(有体的商品)と それ以外のものがそれぞれ中分類レベルで分かれている(図表 15)。中分類の下の小分類項 目は、モノの売買では販売の形態と仕事の種類が分類基準に用いられている。販売の形態で は店主・小売・卸売に分かれ、仕事の種類では営業職の項目が設定されている。モノ以外の 売買の仕事は、不動産・保険・証券など取り扱うものの分野ごとに小分類項目が設定されて いる。

次に営業職については、中分類レベルの項目がモノの売買とモノ以外の売買に分かれてい る関係で前者に商品を取り扱う営業職が、後者にサービスの営業職がそれぞれ小分類レベル で設定されている。不動産、保険、証券などの分野にも営業活動に従事する者はいるが、小 分類のみならず細分類レベルにもそれらの営業職の項目は設定されていない。営業職の仕事 は、それぞれの分野に設定された包括的な販売の仕事の中に含まれている。

営業職のうち商品を取り扱うものは、小売外交員(個人を対象にした営業職)と卸売外交 員(法人を対象にした営業職)に細分化されている。この他、モノを扱う営業職としては、

印刷や建設などの製造受注の営業活動に従事する営業職が設定されている。一方、サービス の営業職は、貯蓄、旅行、広告など提供するサービスの種類別に細分類項目が設定されてい る。

(2) 主な問題点

特に大きな問題は営業職の設定の仕方である。現行の体系では、営業職はその取り扱うも のによって複数の中分類項目の中の複数の小分類項目に小分類レベルあるいは細分類レベル の項目として分散的に設定されている。これは現行の体系が中分類レベルで商品販売と販売 類似に二分されているからである。この体系を前提にすると、営業職の問題は商品の営業職 をどのように細分化するのか、また商品以外のモノを扱う営業職をどのように項目立てする のかという 2 点に集約される。

2 番目の問題は日本標準職業分類との整合性の問題である。日本標準職業分類に準拠して

設定されている項目といえども必ずしも職務範囲が同一であるとは限らない。たとえば、再

生資源回収人の項目(小分類 326)は日本標準職業分類にも厚生労働省の職業分類にも設定

されている。しかし、その職務範囲をみると日本標準職業分類では再生資源卸売事業者の行

う回収作業だけが該当し、それ以外の事業者の行う再生資源の回収作業は大分類 I の労務の

職業に分類される。他方、厚生労働省の職業分類では回収を行う事業者を問わず再生資源の

回収作業に従事する者はすべてこの項目に該当する。このように分類項目として設定された

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職業は同一であるにもかかわらず、その職務範囲の異なるものがある。これに類似した問題 に、同一の職業が設定されているにもかかわらず、その位置づけが日本標準職業分類と厚生 労働省の職業分類では違っているものがある。このふたつの問題は大分類 D だけに関係す るのではなく、他の大分類にも関係するので、対応方向を明確に定める必要がある。

(3) 改訂素案

大分類 D の見直し結果の大要は図表 16 のとおりである。見直し作業は小分類項目ごとに 行われているが、その結果をとりまとめたものが図表 17 である。また、改訂素案の中から 分類項目だけを抜き出して新旧対照表の形にしたものが図表 18 である。

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図表 15 大分類 D「販売の職業」の構成(中・小分類項目)

小売店(コンビニ、ガソリンスタンド)

店主・支配人 卸売店

飲食店(食堂、喫茶店、酒場)

商品販売 販売員 販売店員(百貨店・スーパー、コンビニ、駅構内売店、ガソリンスタンド)、

小売店(衣服、書籍、自動車、医薬品・化粧品、電気機器)、実演販売など)

商品訪問・移動販売員(訪問販売、移動販売、露天販売)

再生資源回収・卸売人 (回収人、仲買人、卸売人(古紙、金属スクラップ、ガラスびん)

販売の職業 商品仕入・販売外交員 (商品仕入外交員、商品販売外交員(小売外交、卸売外交、新聞拡張員)、

製造受注外交員(印刷営業員))

不動産仲介・売買人

保険募集人 (保険代理店主、保険営業員)

販売類似 有価証券売買仲立人 (有価証券仲立人、金融仲立人)

質屋店主・店員

サービス外交員 (貯蓄、旅行、広告、会員勧誘など)

その他 (商品中立、保険仲立、宝くじ販売、サービス取次、競売など)

(注)括弧内は細分類項目

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図表16 大分類D「販売の職業」の細分類項目改訂素案の総括表

改訂案 該当項目 主な改訂内容

(現行分類番号)

小分類項目 分割 324 小売店販売員と卸売・商品実演販売員に分割した。

327 商品仕入営業員と商品販売営業員に分割した。

項目名の変更 326 「〜従事者」を「〜人」に変更した。

327 外交員を営業員に変更した。

332 募集人を「代理人、営業員」に変更した。

体系の見直し 335 サービス外交員の項目を営業職の雑多項目に変更した。

細分類項目 新設 261-11 事務に分類されているレジ係を販売の職業(小分類324)に移動した。

統合 326-20、-30 再生資源仲買人と再生資源卸売人を統合した。

334-10、20 店主と店員を統合した。

分割 331-10 不動産仲介人、不動産販売営業員、その他に3分割した。

333-10 有価証券募集・売買仲立人と証券営業員に分割した。

項目名の変更 323-21 食堂をレストランに変更した。

335-11 銀行・信用金庫の渉外係の項目として設定した。

体系の見直し 327 商品販売営業員は、取扱品目によって項目を細分化した。

332 保険の代理人と営業員に区分した。

特掲項目の細分類独立 求人の多い特掲項目を細分類レベルに設定した。

321-21、-22 コンビニエンスストア支配人、ガソリンスタンド支配人 323-21 食堂支配人

324-21〜26 衣服・身の回り品販売店員など 332-12 保険営業員

335-11〜15 貯蓄勧誘員など 雑多項目(-99)から細 339-99 中古商品査定・買取人 分類に引き上げた職業

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図表 17  大分類 D「販売の職業」の細分類項目に関する改訂素案 

           

現行(平成 11 年改訂)  新規求人数

合計 

集約・特掲

コード合計 改訂素案  主な改訂理由 

D  販売の職業  1,008,843             

32  商品販売の職業  886,840             

321  小売店主・支配人  19,176      321  小売店主・支配人     

321-10  小売店主  2,974  2,974   321-01  小売店主  ○求人 

321-20  小売店支配人  13,187    321-02  小売店支配人    求人の多い店主及び支配人については項目を設定する。店舗別の 

321-21  コンビニエンスストア支配人  806    321-03  コンビニエンスストア支配人    2 項目についても求人規模がある程度の水準に達しているので、 

321-22  ガソリンスタンド支配人  1,873 

15,866

  321-04  ガソリンスタンド支配人    同様に項目を設定する。 

      ○店主 

      (分類番号の対応)    店主は店舗の所有者である。当該小売事業の事業主であることか 

      321-01:321-10    ら、店主の求人がハローワークに申し込まれることは通常の場合 

      321-02:321-20    考えにくい。ハローワークインターネットで小売店主・卸売店主 

      321-03:321-21    ・支配人の求人職種をみると大半は店長・店長候補である。 

      321-04:321-22    したがって店長・店長候補が店主の項目に分類されているケース 

      が多々あることが推測される。しかし小分類項目名に「店主」が 

      含まれている関係で店主の項目は現在のまま維持する。 

      ○店長候補 

      321 及び 322 に位置づけられている求人の中で特に多いものは店長 

      候補である。それらの求人票に記載された仕事内容をみると、 

      店長と同様に経営管理の仕事が中心になっているものと、販売 

      業務が中心になっているものがある。前者は 321・322 の位置づけ 

      が適当だが、後者は 324 の販売店員に分類すべきであろう。した 

      がって「店長候補」の名称だけで一律に 321・322 に位置づける 

      のは適切ではない。 

322  卸売店主・支配人  541      322  卸売店主・支配人     

322-10  卸売店主  179  179   322-01  卸売店主  ○求人 

322-20  卸売店支配人  350  350   322-02  卸売点支配人    卸売店の店主・支配人の求人は、小売店のそれの 3%にすぎない。 

      求人件数は少ないが、小売店との対応関係で店主と支配人に 

      (分類番号の対応)    分けて項目を設定した。 

      322-01:322-10  ○店主 

      322-02:322-20    店主の求人が 180 件弱ある。この件数は、小売店店主のときと同様 

      に、卸売店店主の求人にも店長等の他の項目に分類されるべき 

      求人が位置づけられた結果だと考えられる。しかし小分類項目名 

      との関係で店主の項目を維持する。 

323  飲食店主・支配人  30,822      323  飲食店主・支配人     

323-10  飲食店主  10,468  10,468   323-01  飲食店主  ○求人 

323-20  飲食店支配人  16,456    323-02  飲食店支配人(レストランを除く)    求人の多い店主及び支配人の項目を設定する。同様に食堂支配人 

323-21  食堂支配人  3,068 

19,894

  323-03  レストラン支配人    (求人は約 3000 件)の項目を設定する。しかし「食堂」という名 

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