提案手法における多様化・集中化の制御がどのように探索性能に影響を与えるのかを検 証するため,KP,TSP,FSSPに提案手法を適用して数値実験を行った。なお,提案手法 を以下に示す2つの手法に分けて比較を行った。
• Method1:多様化・集中化の制御を行わない(gbestに近づく操作のみを行う)
• Method2:多様化・集中化の制御を行う
数値実験に用いたパラメータは探索点数mは全ての問題で統一して20とし,TmaxはKP(1000 bit)では1000,TSP(152 cities)では2000,FSSP(50 jobs 5 machines)では500とした。
御を行わない場合に比べて,制御を行う場合の方がより最適性の高い解を安定して得られ ている。この結果から,多様化・集中化を意識した探索を行うことが,最適性の高い解を 得るために重要であることが分かる。
図 6.1,6.2,6.3に提案手法における各探索点とgbest間の平均距離Daveの推移を示す。
これらの図は多様化・集中化の制御の様子を示しており,平均距離がどのように推移して いるかで,多様化・集中化のバランスを定性的に把握できる。制御を行わない場合は,探索 途中で平均距離が収束しており,それ以降は探索点の移動はほとんどなくなる。したがっ て,長期間に渡って最適性の高い解を発見する探索を行うことは期待できない。一方,制 御を行っている場合は,平均距離の推移はおおよそ目標値に追従しており,任意に設定し た最大反復回数付近で平均距離は収束している。このことから,各探索点の距離による多 様化・集中化の制御は適切に行われており,任意の最大反復回数に合せた多様化・集中化 のバランス調整が実現できていることが分かる。なお,TSPでは平均距離が0にならず,
途中で収束しているが,これは探索点が局所解から抜け出させなくなっているため起きて いると考えられる。本論文では,TSPにおいてgbestの部品を追加して近傍を生成する際 に,既に探索点に含まれているgbestの部品が排除される可能性を考慮していない。gbest の部品を追加すると同時に別のgbestの部品が排除される場合,同じ解を行き来するだけ になり局所解から抜け出せなくなる可能性がある。したがって,近傍生成時に既に探索点 に含まれているgbestの部品を排除しない近傍を選ぶことでTSPにおいても目標値を追従 することが可能である考えられる。
また,本論文では目標値を線形に下降させていたが,より適切な目標値の設定が存在す る可能性もある。しかし,あまりに急峻な目標値を設定すると,その目標値に合せるため に一回の移動で複数の部品を変更する必要がでてくることも考えられるため,そのような 場合には近傍の生成方法を変更することも検討しなくてはならない。
第6章 数値実験による検証 33
表6.1: 多様化・集中化の制御に関する数値実験結果
Problem Method1 Method2 GOS
Mean 20532.79 (1.76%) 20634.66∗(1.27%)
KP Best 20576 (1.55%) 20683∗ (1.04%) 20900 1000 bit Worst 20439 (2.21%) 20581∗ (1.53%)
std 25.95 20.88∗
Mean 75656.49 (2.70%) 73916.64∗(0.32%)
TSP Best 74163 (0.65%) 73682∗ (0.00%) 73682 152 cities Worst 77399 (5.04%) 74318∗ (0.86%)
(pr152) std 647.14 143.17∗
Mean 2739.8 (0.58) 2725.7∗ (0.06%)
FSSP Best 2724∗(0.00%) 2724∗ (0.00%) 2724 50 jobs 5 machines Worst 2774 (1.84%) 2735∗ (0.40%)
(ta031) std 11.68 2.64∗
0 200 400 600 800 1000
0 100 200 300 400 500
Iteration
Distance
Method1 Metho2 Target
図6.1: 平均距離の推移(KP 1000 bit)
0 500 1000 1500 2000 0
50
Iteration
Distance
図6.2: 平均距離の推移(TSP pr152)
0 100 200 300 400 500
0 100 200 300 400 500 600 700 800
Iteration
Distance
Method1 Method2 Target
図6.3: 平均距離の推移(FSSP ta031)
第6章 数値実験による検証 35