第 3 章 変形性地盤において外防水止水板を用いた 監査廊構造
3.3.2 外防水止水構造の開発 外防水止水構造の開発
3.3.2 外防水止水構造の開発
上記の問題に対し以下の止水構造が検討された。
① ずれと開きにより生じる解放空間を更に外側からくるんでしまい,その止水構造に より,変形を閉合空間に吸収する止水装置が必要である。これを外防水止水板と称す る事とした。
② 外防水止水板の外周には止水板本体の塑性変形をバックアップする緩衝用バック アップゴム(B=500 t=25mm)を配置し,外防水止水板が水圧によりコンクリート継目に めり込む場合,変形を和らげる事とする。
図-12 外防水止水構造説明図
③ 施工は,図-13 に示すように,側面と底盤では岩盤面の凹凸を吸収するため一次 コンクリートを先行施工。そこにバックアップゴムと外防水止水板をセットし本体コンクリ ートを打設する工法とした。
図-13 外防水止水構造詳細図
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なお,外防水止水板と,バックアップゴムは2種類のゴム構造であるが,二種のゴムの 接続面は,ゴムより軟質で,滑りやすいアスファルトウレタンゴムで接着した。これらの性 能4)は表-2 に示すとおりである。
表-2 外防水止水構造材料性能一覧 資材 バックアップゴム アスファルトウ
レタンゴム
外防水
止水板 備考
硬度 50 40 60-70 硬度 JISK 6301 伸び率 350以上 420以上 350以上 % 引張強度 15,000以上 2,200 15,000以上 kN/m2
付着強度 800 kN/m2
この結果変位の大きな左岸アバット部5箇所の継目は図-14 に示す構造が採用され た。
図-14 外防水止水板を有する継目断面図
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3 .4 外防水止水構造の性能確認 外防水止水構造の性能確認
本ダムで計画した止水構造は,特殊構造となるため,止水性能,施工性確認等が必 要と思われ,種々の試験による性能確認が行われた。
3 .4 .1 耐圧試験 耐圧試験
完成後の作用水圧に対する性能確認を図-15 に示す装置で止水性能確認をおこな った。試験の実施内容は以下のとおり。
① 試験装置は1m×1m×0.6mの供試体2ピースを作成, 2ピースのブロック接触面 が監査廊継目を表す。ピースには円筒形に加工した止水板をセットしている。
② その接触面には,ずれ45mm,開き15mmの空隙をセットする。セットは,止水板 をセットした状態で内圧をかけると二つのコンクリートは浮き上がり,簡単に移動が できる。移動が,設定値のずれ45mm,開き15mmの状態でそれ以上にずれ開き が大きくならないように,H綱とアンカーボルトで移動を拘束した。
③ この状態で,貯水時に作用する水圧0.6Mpを一定期間作用させ,内部圧力の減 少(監査廊への漏水)が無いことを確認した。
図-15 耐圧試験供試体概要図
作用水圧
監査廊継目
外防水止水板
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3 .4 .2 施工確認試験 施工確認試験
本止水構造の施工箇所は斜面傾斜部での施工となる。これに対し止水板は凹凸が 複数箇所あり,コンクリート打設時のバイブレータのかけ過ぎが行われると,コンクリート 中から分離したエアーが溜まりやすい構造となっていることを室内打設試験で確認して いた。これを現場へ伝えるために,現地において,横断面は監査廊の原寸大とし,継目 を含む1m区間コンクリートブロックを打設,施工が正確に行われるための施工確認試 験が実施された。施工確認試験では,下部よりコンクリートが打設され,頂部の施工で はバイブレータ施工後に止水板を中央部へ向けてめくり上げ,分離したエアーを排除し た後,追加コンクリートを打設し,最後に人力で止水板をコンクリートに叩き込む事で凹 凸内にコンクリートを貫入させる事が現場レベルで確認された。写真-1 は,試験後にコ ンクリートブロックをコンクリートカッターで切断,止水板凹凸部へのコンクリート充填が確 実に行われている事を確認した。
写真-1 打設試験切断後の供試体
ここにエアー溜まりが生じやすい。
ここにエアー溜まりが生じやすい。
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3 .4 .3転圧試験 転圧試験
本止水装置には,50mmのバックアップゴムを変形に対応する補助構造をとってい る。その構造は変形性が大きいゴム構造のため盛土荷重による締固め効果と遮水性の 確保が十分可能かという問題が懸念された。これに対し,現地に監査廊天端を模擬し たコンクリート床盤を打設,写真-2,3 に示すような外防水止水盤を設置した状態で実際 にコンタクトクレイ,コア材の盛土,転圧を行い,バックアップゴムを含む外防水止水装 置直上の現場密度試験及び周辺透水試験を実施した。その結果,転圧効果や止水板 周辺の透水性への影響が無いことを確認した。
図-16 現場盛立試験断面図
写真-2 外防水止水板上を模擬し た施工面と透水試験装置
写真-3 コンクリート天端上を 模擬した施工面と透水試験装
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具体的な試験は以下のように行っている。
① コンクリート床版 t =1.0m を打設。
② 監査廊ジョイントとその上に外防水止水板を模擬した部分を設置。
③ コンクリート天端と,外防水止水板模擬地点に,循環式間隙水圧計のポーラ ストーンを各々3カ所設置。
④ 盛土施工と同様,コンタクトクレイ,細粒コア,標準コアをタンパー,90kg級 振動コンパクター,20t級振動タンピングローラーで転圧。
⑤ 転圧施工中に,試験点上で現場密度を測定。
⑥ 転圧後,循環式間隙水圧計のポーラスストーン周辺を飽和させる。
⑦ 循環式間隙水圧計の送水側とリターン側に一定の水位差を与え,定水位透 水試験状態のなかでの送水量を計測した。
⑧ 試験は,飽和状態をH0としてこれに送水,リターン側の水位差を +9.8kPa, + 14.7kPa +19.6kPaの3段階の圧力差で実施した。
試験の結果を表-3 に示す。
以上の試験の結果,外防水止水板上のコア材には,転圧障害が生じていないこと, コンクリート天端と外防水止水板上の透水性に相違が無いことを確認した。これ らの種々の確認試験により,新たに導入する,外防水止水板の止水性能と,盛土への 影響が無いことを確認し,施工を行う事とした。
写真-4 外防水止水板を模擬し
た施工面への盛土作業 写真-5 循環式間隙水圧計を用 いた透水試験
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表-3 外防水止水板接触面比較透水試験結果
3 .5 設置と監視計画 設置と監視計画 3 .5 .1 監視計画 監視計画
設置後の監視は,設置断面の監査廊上下流に電気式間隙水圧計を2 断面配置し,継 目断面のコア材内部で,上下流の発生間隙水圧を経過観察する事とした。
写真-6 一時コンクリートに施工される外防水止水板
3 .5 .2 経過観察結果 経過観察結果
Aダムではその後,施工が開始され盛土施工が行われたが,変形予測地点の継目 には概ね予測どおりの開き,ずれが発生した。最大開きは,監査廊内部から確認した幅 で7mmとなった。これより扇状に開くと想定される外周部の継目の開きは10mmと想定 され,当初予測と同じ開きと判断された。その後ダム完成後貯水が開始されたが,内部 観察では,継目からの漏水跡や,遊離石灰は確認されていない。また,監査廊天端の
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上下流に設置した電気式間隙水圧計の観測値では間隙水圧計測値に異常は認めら れなかった。その後,電気式間隙水圧計の寿命がきたため,監査廊縦断方向に設置し ている水量水圧計の挙動と監査廊内部からの開いた継目の観察を行っている。観察の 結果,止水機能は正常であり,この止水構造の適性を確認した。
3 .6 まとめ : まとめ :
今回開発した外防水止水装置は,建設時代にその建設地点特有の問題に対してな された工夫の一つである。今,約15年の経過年数を経てその安全性は一定の評価が 可能となったと考えている。昨今,かんがい排水事業で新たなダム建設の機会は減少 し,ストックマネージメント事業により,施設機能の長寿命化が計られる時代となった。今 後の管理では,建設時代の各ダム特有の重要な情報は時代を超えて伝える必要があ ると考える。今回取りまとめた外防水止水構造施工箇所等のように,厳しい条件に対す る対応を行った箇所に対しては,長期にわたり注意深い監視・管理が必要と考えてい る。
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引 用 文 献
1) 農林水産省農村振興局整備部設計課監修 土地改良事業計画設計基準 設計 ダム 技術書【フィルダム】PⅡ-149[参考](a)
2) 同上PⅡ-150イ 監査廊を考慮した解析(ジョイント要素)
3) 同上PⅡ-150(4) 継目構造及び止水処理
4) ASTM D412によるゴム及びエラストマーの引張試験
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