• 検索結果がありません。

変調器から生じる不要 0 次光の低減

ドキュメント内 Instructions for use (ページ 68-71)

4.11 変調階調数依存性まとめ

4.4 変調器から生じる不要 0 次光の低減

4.4.1

不要

0

次光の原因と変調に与える影響

PSLMからは所望の変調を受けた光波に加えて変調とは無関係な光波が生じ,出力に混入するこ とで変調精度を低下させる[8,9].この変調とは無関係な光波は低空間周波数成分で構成され,焦点 面で光軸上に強い強度ピークを与えることから,0次光と呼ばれる.本論文では,二重位相ホログ ラムやDPM0次光に波面を再生するため,これらと区別するために波面変調に寄与しない0 光を特に不要0次光と称することとする.不要0次光が発生する主な原因としては,画素電極間の 間隙や表面ガラスなどの端面から生じる反射光や画素間の電極漏洩,そして変調の非線形性などが 挙げられる.通常,不要0次光が出力に与える影響を低減するためには,PSLMに表示する変調パ ターンの校正[10–13]や傾斜位相の付加による空間周波数シフトが行われる[14]PSLMの校正で は,事前に干渉や回折を利用してPSLMに表示する画像の輝度値に対して実際に光波に与えられた 位相変調量の応答を測定し,得られた応答から逆算することで所望の変調量に対する表示画像の輝 度値を得る方式が一般的である.校正の方法については,これまでに様々な手法が提案されている が,画素間の電界漏洩や変調の非線形性など,PSLMに表示する変調パターンに依存する要因が含 まれることもあり,PSLMの校正では不要0次光の完全な排除は難しい.また,校正には専用の光 学系を用意する必要がある場合が多く,動作環境の変化に対して動的に対応することが難しいこと も問題として挙げられる.一方,空間周波数シフトによる不要0次光対策では,不要0次光がフー リエ面において光軸上に強い強度ピークを生じることを利用し,変調パターンに傾斜位相を付与す ることで再生波面の空間周波数をシフトさせ,フーリエ面でフィルタリングを行うことで不要0 光を取り除く.この手法ではPSLMの校正よりも効果的に不要0次光を取り除くことが可能である が,空間フィルタリングにより再生波面を構成する空間周波数が制限されるだけでなく,空間キャ リア周波数が高くなるほど光利用効率の低下を引き起こす.空間モードは比較的低い空間周波数成 分によって構成されることから,空間フィルタの適用自体は問題にならないが,効率の低下は望ま しくない.

これらに対して,DPMでは,光波の干渉を利用した不要0次光の低減が可能である.その根拠と

しては,まず,DPM2台のSLMを用いるため,両方のPSLMからそれぞれ不要0次光が生じる ことにある.このとき,各PSLMには異なる変調パターンが表示されていることから,生じる不要 0次光もまた異なる波面を有している.しかし,不要0次光はフーリエ面で光軸上に集まることか ら,空間的に比較的緩やかな変化をする位相分布を有していることが分かる.そのため,両PSLM から生じる不要0次光同士が破壊的干渉を起こすようにPSLM間の光路長差を調節することで,出 力への不要0次光の影響を低減することができると考えられる.この方法では,PSLMに表示する パターンの校正や空間周波数シフトを要さずに,光学系の調整のみにより不要0次光の低減が可能 である.加えて,動作環境の変化により不要0次光の状態が変化した場合であっても,干渉状態を イメージセンサで観測するなどして光路長差を再調整することで動的な対応が可能である.

4.4.2

実験による検証

まず,DPMによる不要0次光の低減効果を図4.12に示す光学系により確認した.光源には波長

532 nmのレーザ光を用い,SMFから出射した光波を直径約1.2 mmにコリメートしてPSLM

照射した.PSLMには,図4.12中に示すような,0πの位相変調量が交互に配置されたチェッ カーボードパターンを表示する.このとき,理想的には全ての光波が1次光として回折して0次光 は生じないため,フーリエ面に光彩絞りを設置して不要0次光のみを抽出する.実験では,1台の PSLMから生じる不要0次光と干渉を生じているときとを比較するために,片方のPSLMへの光路 をシャッターで遮断し,1台のPSLMから生じる不要0次光の強度分布をCCDで取得した.その 後,両シャッターを開放し,両方のPSLMから生じる不要0次光を干渉させ,強度分布をCCD 観測しながらPSLM2を載せた移動ステージの光軸方向のアクチュエータを操作して干渉状態を変 化させた.CCDによって取得した不要0次光の強度分布と,強度値の総和から算出したパワーを図 4.13に示す.各PSLM単体から生じた不要0次光の強度分布およびそのパワーより,両SLMから ほぼ同程度の不要0次光が生じていることが分かる.また,干渉時の結果から,光路長差の調節に より干渉状態が明確に変化しており,光路長差の調整により不要0次光の量を低減することが可能 であることが分かる.ここで,PSLM1から生じた不要0次光と破壊的干渉を起こしているときの 不要0次光とでパワーを比較すると,PSLM1台のときと比べて約57%の不要0次光パワーの 低減が確認された.

4.4 変調器から生じる不要0次光の低減 57

4.12 デュアルフェーズモジュレーションにおける不要0次光の低減効 果を確認するための光学系.BSbeam splitterPSLMphase-type spatial light modulatorCCDcharge-coupled devic

4.13 干渉による不要0次光の強度分布の変化.各図右下に記載してい る数値は建設的な干渉を起こしているときを1とした場合の各画像の輝度 値の総和である

ドキュメント内 Instructions for use (ページ 68-71)