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の高い試料の順位数は8となり,各試料ごとに8成分の順 位数の和を取り,mで割って各試料の平均順位数を得た.
図3から9つの各パターンに近い河川を選ぶと,パター ン1H:津和野川,パターン1M:米代川,パターン1L:
芦田川,パターン2H:北上川,釜無川,江の川,パター ン2M:日野川,養老川,パターン2L:市川,木曾川,芦 田川,パターン3H:天竜川,パターン3M:夏井川,パタ ーン3L:荒川(越後),玉川となる.それらの河川につい て,対象とした8成分についての流下に伴う濃度変化はす でに図1に示した.すなわち,図1でみられる下流に伴う 河川水中の陰陽イオンの濃度変化は,平均順位数として整 理すると図3のように表現できたことになる.図3から各 河川について9つのパターンに分類した結果を表2に示し た.全体的にパターン1が多い.東北地方で1Mの河川が 多い.気温が低くかつ上流域ほど森林などの自然が豊かな 表われと思われる.
表1に示した採水地点がそれぞれの河川のある採水地点 A,B, Cである.3地点以上の場合は複数の3地点があ
ると捉えてもよく,またB地点が複数あると捉えてもよ
い.
最後に調査した河川で,平均川頁位数からみた9パターン に最も近い河川,パターン1H:津和野川,パターン1M:
米代川,パターン1Ll芦田川,パターン2H:釜無川・富 士川,パターン2M:養老川,パターン2L:芦田川,パタ ーン3H:天竜川,パターン3M:夏井川,パターン3L:
荒川(越後)について,イオン濃度変化の内容・意味を個 々に考察してみた.
パターン1H:津和野川について
津和野川は上流より津和野駅前,青野山駅前,日原(宝 泉橋)の3地点で採水した.図3に示したが上流側の津和 野駅前より下流の日原で平均順位数は高いが,その中間の 青野山駅前で最も高い.青野山駅前と津和野駅前の間でさ らにイオン濃度の高い鉱泉の湧出・流入が確認でき,その 要因として指摘できる(西山,2004).
パターン1M:米代川について
米代川では上流から湯瀬,花輪,扇田,鷹巣の4地点で 採水した.図3に見るように,平均順位数はこの地点順に 増し,典型的なパターン1Mとなった.図1に個々の成分
184 西 山 勉
濃度を示したが,NH、とSO4などは一部下流で減ずるが,概ね下流に向けて濃度は増加 している.上流部の湯瀬には温泉があるがその影響より,花輪一扇田間では大湯温泉,大 滝温泉などがある.扇田では鹿角市と花輪盆地,さらに鷹巣では大館市と大館盆地が上流 にあり,イオン濃度は順次高まった.このように湯瀬から鷹巣にかけては,イオン濃度を 増加させるかつての鉱山活動の因子なども随時加わり,下流に向けarmが増加する典型 的なパターンユMとなったことが分かる.
パターン1L:芦田川について
芦田川は上流から下流へ三川の田谷と平岩,河佐,府中,戸手の5箇所で採水した.図 3に示したが,平均順位数は田谷から河佐に向け下がり,河佐が最低となりその下流で上 がり,戸手で最高値となる典型的なパターン1Lを示した.田谷から平岩でarmが減ず るのは,その中間で北側から芦田川に流入する支流矢多田川が芦田川よりK,Mg, Cl,
NO,, SO、濃度の低いことによろう.河佐でさらにarmが減ずるのは,その上流に当た る八田原ダムに南から宇津戸川が流入しダム水を希釈することによろう.府中,戸手へと 芦田川が下流するに従いarmが増すのは,府中市の市街地を通ることで,生活排水など 人為的な影響が加わるからだと考えられる.
パターン2H:釜無川・富士川について
釜無川・富士川は上流より下流へ信濃境,穴山,韮崎,市川大門,波高島,内船,芝川 にて採水した(西山,1998).信濃境から市川大門までが釜無川であり,その流れは笛吹 川と合流し,富士川となってさらに下流する.富士川での採水は波高島から芝川までであ る.この釜無川と富士川をひとつの河川としてarmをみると,中ほどの波高島で最高値 となりその下流,上流両側で下がっている(図3).イオン濃度でみるとNa, K, NH、,
Cl, NO,で,釜無川の信濃境から市川大門まで徐々に増加し,富士川の波高島で最高とな り,それ以降下流で減少する(図1).波高島での濃度の増加は市川大門で合流する笛吹 川に因ろう.笛吹川は甲府市を流域とし,NH、, NO,などの濃度が高く,生活排水など人 為的な影響を強く受けていよう、韮崎は甲府盆地の入り口に,そして波高島は甲府盆地の 出口に当たる.すなわち甲府盆地内を流れる間に,滞留水などの盆地内水を受け入れて市 川大門までarmを上げ,さらに都市部の影響もある笛吹川が加わり,盆地の出口の波高 島では最高のarmとなった.その後盆地を出た富士川は盆地外の流域から希釈水が加わ
り,内船,芝川へとarmを下げたと解釈できる.
パターン2M:養老川について
房総半島を流れる養老川は養老渓谷,里見,上総牛久3地点の平均順位数が1996年11 月試料ではパターン2Mを示した(図3).イオン濃度をみるとNa, NH4,は上流に向け 濃度を増し,逆にMg, SO、は上流に向け濃度を減じている(図1).このようにイオンに よって濃度の増減する傾向が上流と下流で異なったことがパターン2Mをもたらした.房 総半島を流れる養老川と夷隅川の24試料(この3試料を含む)因子分析の結果を通じて,
西山(1999)はMg, F, K, SO、, Caで特徴付けられる因子を土壌・岩石の風化に, Cl,
Br, Naで特徴付けられる因子を海水による寄与, NO,で特徴付けられる因子を人為的因 子をそれぞれ抽出した.養老川では太平洋に近い上流部で海水因子が強く,岩石風化によ
日本の本州を流れる河川の下流に伴う河川水中の陰陽イオン濃度の変化とその整理分類について 185
る因子は下流側で強く働き,その両者が均衡してパターン2Mが現れたと思われる.また 半島固有の海水の影響が上流下流の全流域にあり,そのことが養老川に2Mパターンをも たらすとも考えられる.
パターン2L:市川について
市川では上流から生野,寺前,甘地,仁豊野の4地点で採水した.図3の如く,上流の 生野より下流の仁豊野で平均順位数は高いが,その途中の寺前で最低のarmを示した.
採水時,生野より寺前で流量は増していた.この生野と寺前の中間の長谷で,北西から支 流犬見川が市川に流入する.犬見川はホタルの舞う清流といわれ,また揚水発電を行う大 河内水力発電所と関係する太田ダムと長谷ダムがある.この支流犬見川が生野のイオン濃 度の高い水(西山,2002)を希釈したと,パターン2Lから推測する.
パターン3H:天竜川について
天竜Jllは諏訪湖を水源とする河川である.平均順位数は諏訪湖の上諏訪より諏訪湖の出 口に近い辰野で高く,それから下流の伊那,天竜峡,中部天竜では順次値を減じた(図3).
それは辰野周辺では生活排水など人為的影響,そしてさらに流下すると,逆に自然味豊か な支流からの流入水による希釈効果が働くからだろう.その結果が天竜川にパターン3H を見せた.なお,中部天竜から西鹿島でarmは若干上昇した.これは西鹿島での生活排 水などの人為的影響によろう,
パターン3M:夏井川について
夏井川では上流から下流側へ小野新町,川前,小川郷と3箇所での分析結果(西山,
1993)から,夏井川がパターン3Mとなる(図3).図1で見られるように,ほとんどの種 のイオン濃度が上流の小野新町から流下に向け減じている.1990年に春夏秋冬と季節を 変えての調査で,小野新町におけるNO、濃度は6.58,4.15,4.31,5.02 ppmであり,下流 側の小川郷の4.14,2.19,2.46,3.58ppmよりいずれも高かった.この時期の小野新町の 夏井川は平館橋から見るとゴミなどで汚れ,水生植物も繁茂し,またNO3濃度も高く,生 活排水など人為的影響が強かったようだ.小野新町には温泉もあり,それもイオン濃度を 高める要因となろう.下流に伴い流域からの流水が希釈しarmを減少させた.なお,
2003年1月に調査したときは小野新町での夏井川は改修整備されていて,armも低まっ
た(図3).
パターン3L:荒川(越後)について
荒川(越後)では上流から下流へ,羽前沼沢(横川),小国,越後下関,坂町の4箇所 にて西山(1993)のデータを用いて平均順位数を求めた.図3に示したが,パターン3L を得た.羽前沼沢(横川)の上流部では緑色凝灰岩が分布し,また針葉樹林帯となってい ることはSO4濃度が高いことと関係するのではと指摘した(西山,1993).羽前沼沢のイ オン濃度の高い河川水は,飯豊山を水源とする支流などからの流入で,荒川は羽前下関に 向けて希釈されて,羽前下関にてarmが最低となる.羽前下関は温泉地であり温泉水の 混入・新潟平野北部へ出たことでの人為的な影響,地下水の関与などが下流の坂町で armを高めたのだろう.