第9章 取組みの柱
2 取組みの柱
本計画では、平成 3 7 年までに、地域の実情に応じた「いわき市地域包括ケアシステム」の 構築を進めることを目的としており、第4章で掲げたいわき市地域包括ケアシステム実現のた めの 8 つの取組みの柱に基づき、これまで進めてきた取組み内容を整理し、今後の方向性、具 体的な施策内容を示します。
医療と介護 の連携強化
高齢者の 社会参画の
促進
生活支援 サービス の強化
介護予防・日 常生活支援 総合事業の
推進 介護人材の
確保と育成 認知症対策
の推進 地域ケア 会議の充実
サービス 基盤の整備
地域包括ケアシステム 実現のための
取組みの柱
いわき市地域包括ケアシステムの実現
いわき市地域包括ケアシステムの構築手法
(1)医療と介護の連携強化
①現状と課題
医療と介護の両方を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最 後まで続けるには、医療と介護が一体的に提供される必要があり、医療機関と介護サービス 事業者等の連携強化の重要性が一層高まっています。
このような中、平成 2 6 年 2 月から 3 月にかけて実施した介護支援専門員調査において、
「介護と医療の連携はうまく取れているか」とのアンケートを行った結果、「うまくできて いる」が 3 .9 %、「ある程度できている」が 4 4 .9 % 、「あまり出来ているとは思わない」が 4 1 .6 %であり、「できている」と「できていない」という意見がほぼ半々の状況でした。
現状の医療と介護の連携については、医療関係者や介護支援専門員の個人の努力や、職務 を通して培った経験・多職種との人脈、あるいは、既存の連携体制(医療機関に関係する居 宅)などによるところも大きいと考えられます。
しかし、個人によって差が生じるのではなく、市全域において、均一レベルの医療と介護 の連携体制が取られなければならず、そのためには、医療・介護職などの意識・情報の共有、
連携体制の仕組みづくりを推進し、さらなる連携強化を図る必要があります。
②地域包括支援センターによる「地域包括ネットワークづくり」の取組み状況
・医師会との連携
医師会と連携し、医師会主催による在宅医療出前講座を開催しています。
・医師、介護支援専門員、開業医、総合病院メディカルソーシャルワーカーとの連携
「連携の集い」「ケアマネ交流会」等において、顔の見える関係をつくり、連携強化を図 るとともに、課題や情報の共有を図っています。
・医療機関・薬局等に、地域包括支援センターの役割・機能について周知を行い、連携強 化を図っています。
・地域ケア会議において、役割の認識を深め、連携体制の構築を図っています。
③医療と介護の連携強化のための基本的な方向性について
先般、成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の 介護支援専門員調査
対象 302 人
回収 179 件(59. 3%)
整備等に関する法律」により、介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業の中に、居宅に 関する医療機関と介護サービス事業者などの連携を推進することを目的とし、新たに在宅医 療・介護連携推進事業が創設されることとなりました。
本市においては、地域包括支援センター、市医師会との連携による在宅医療出前講座等の 取組みや、医師や介護支援専門員など関係者との顔の見える関係づくり、連携強化を継続す るとともに、課題・情報の共有を行いながら、医療と介護の連携強化を図ります。
具体的な取組み例
○ 地域の医療・介護サービス資源の把握
○ 在宅医療・介護連携の課題抽出と対応の協議
○ 在宅医療・介護連携に関する相談受付等
○ 在宅医療・介護サービスの情報共有の支援
○ 在宅医療・介護関係者の研修
○ 2 4 時間 3 6 5 日の在宅医療・介護サービス提供体制の構築
○ 地域住民への普及啓発
(2)高齢者の社会参画の促進
①現状と課題
市では、高齢者の社会参画の促進のための取組みとして、老人クラブやシルバー人材セン ターへの補助を行い、また高齢者福祉専門指導員の設置やシルバーにこにこ学園の開催など、
生涯学習の推進を図ってきました。
しかし、新規加入者の減などにより、解散に至る老人クラブが多く、結果として老人クラ ブ数及び会員数が減少しているほか、シルバー人材センターも会員数が減少傾向にあり、地 域の企業等のニーズの発掘や人材のマッチングを強化するなど、高齢者の働く場を確保する 必要があります。また、生涯学習分野においては、重複している取組みについて見直し(廃 止)、統合するなどの整理が必要となります。
そのほかに、人口減少・少子高齢化社会という背景があることから、見守りやサロンなど の事業において、高齢者だけを対象とするのではなく、子どもも同様に対象とするなど高齢 者施策と子育て施策との連携を図る必要があります。
②高齢者の社会参画促進のための基本的な方向性について
これまでの高齢者の社会参画に向けた取組みとしては、老人クラブやシルバー人材センタ ーへの支援、生涯学習の推進を中心に実施してきたところですが、生涯学習分野の取組みに ついては、重複しているものについて理することとし、介護予防を通した社会参画(介護予 防と社会参画の連動)に重点的に取組み、健康寿命の延伸を図ります。
・老人クラブへの支援
高齢者が生きがいを持って社会参加することは、健康維持、介護予防につながることが 期待されることから、引き続き支援する。
・シルバー人材センターへの支援
地域の企業等のニーズの発掘や人材のマッチングを強化する必要があるという課題が あること、また、高齢者が生きがいを持って社会参画することは、健康維持、介護予防に つながることが期待されることから、引き続き支援する。
・介護予防活動及び地域福祉活動を通した社会参画
高齢者の社会参画に関する取組みは、「参加」によって、生きがいにつながるとともに、
うつや閉じこもりの防止など介護予防にもなるという観点から、「元気高齢者の介護予防 活動及び地域福祉活動を通した社会参画」に特化する。
・高齢者の雇用・就労分野の取組みの整理
就業意欲の高い高齢者も多いことから、高齢者の希望に沿った就業に結びつくよう、事 業所に対し、各種制度等の周知による高齢者雇用への理解促進を図るとともに、求職者に 対しては、求人情報等の提供を行うなど、マッチング強化のための方策を検討する。
・子育て施策との連携、「集まれる場」、「交流の場」の創出
見守りやサロンなどの取組みにあたり、既存の公民館や集会所を活用し、活動拠点とす ることで、地域ごとに、高齢者や子どもが「集まれる場」、「交流の場」を創出することな ど、高齢者施策と子育て施策との連動について検討する。
・社会参画のきっかけづくり
高齢者がボランティア活動を行った際に、ポイントを付与することで、地域貢献・社会 参画を奨励・支援し、高齢者自身の健康づくりと介護予防を推進する「ボランティアポイ ント制度」の導入について検討する。
具体的な取組み例
○ 老人クラブにおける友愛訪問などの促進
○ 新たな就業機会の確保・拡大に向けた事業のシルバー人材センターへの委託 ○ 生涯学習分野の事業の統合
○ ボランティアポイント制度の導入
○ シルバーリハビリ体操や見守り活動とボランティアポイント制度の連動
(3)生活支援サービスの強化
①現状と課題
高齢化が進行し、一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が増加する中、高齢者の生活の質を 向上させ、不安感や孤独感の解消を図り、住み慣れた地域で安心して生活ができるよう、高 齢者のニーズや地域課題を踏まえたうえで、既存サービスの充実を図ることはもとより、ボ ランティアをはじめとする多様な主体による生活支援サービスや地域資源の創出など、新た な取組みについて検討を進める必要があります。
現在、市では生活支援サービスとして配食サービス、訪問理美容サービス、寝具乾燥消毒 サービスなどを提供しています。また、ボランティア活動等により、あんしん見守りネット ワーク、地域におけるサロン活動なども行われています。
なお、平成 2 6 年 2 月から 3 月にかけて実施した介護支援専門員調査において、介護支 援専門員が必要と考える生活支援サービスについてのアンケートを行ったところ、次のよう な結果となりました。(調査対象 3 0 2 人、回収 1 7 9 件(5 9 .3 %))
○ 公共交通機関の利用が難しい高齢者の外出を支援するサービス。(6 7 .0 %)
○ ひとり暮らし高齢者等の見守り・安否確認のサービス。(6 2 .0 %)
○ お店へのアクセスが難しい地域における移動販売サービス。(4 6 .9 %)
○ 食事や食材を配達するサービス(4 1 .3 %)
○ 掃除や炊事など日常的な家事の援助サービス(3 4 .6 %)
また、同調査から、寝具乾燥消毒サービスや徘徊高齢者家族支援サービス、いきいきデイク ラブなどのフォーマルサービスの認知度が低いこと、高齢者自身の大きな悩み事は外出手段の 確保であり、外出目的としては、買い物・通院が多いことなどが明らかとなっています。
既存の生活支援サービスの課題としては、市民や介護関係者への認知度が低く、制度を知ら ないがために利用すべき人が利用していない場合があること、サービスの利用回数の上限や自 己負担額などの関係から、本人や家族が必要とするサービスが十分に提供されていない場合が あること、生活支援サービスを実施する事業者、特に中山間地域に対応できる事業者が少ない ため、サービス提供体制が弱い地域があることなどが挙げられます。
また、住民主体の生活支援については、高齢者を支える地域づくりの意識醸成を図る場が少 なく、意識の醸成に時間を要するうえ、住民主体の生活支援活動を促進し、ボランティア等の 養成やサービス開発などを行う体制が不十分であることなどから、広く普及しておらず、地域 における見守り支援などのサービスに差が生じています。
○ 生活支援コーディネーターと協議体の設置
生活支援サービスの体制整備にあたっては、住民主体の活動やNPO、社会福祉法人、社 会福祉協議会、民間企業などの多様な主体による多様なサービスの提供体制を構築する必要 があることから、先般の法改正により、包括的支援事業の生活支援体制整備事業を活用して
「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」や「協議体」を設置し、体制整備に 係る取組みが行えることとなりました。