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第2節 型式学的内容
土器の型式学的な検討をすすめるにあたって、器形、口縁部場面形態、ロ綾部端面の装飾、口縁形態、内外面の装飾、器面 調整、胎土、器厚、使用痕の9つの属性について観察を行い、それぞれの内容について検討したまた、観察したデータは表
(付表1 ‑3)にして提示した。
・器形
器形全体をうかがえる資料はわずかであるが、本土器群の器形は、全て底部が尖底あるいは丸底となる深鉢であると推定で きるoただし、器形を確実にできる資料はきわめて少ないoそのため、口綾部断面に着目し、やや外反するか、直立または外 開きになるかで2類型に大別する。さらに、口縁部の反りのはじまる位置や胴部の膨らみの有無によって3類型に細別した(図
26)。
A類 口縁部が直立または外開きになるもの
AA l類 口縁部から底部まで顕著な屈曲を持たず、休部から口縁部にかけて直線的に立ちあがる。
B類 口縁部が外反するものもの
B l類 底部から休部にかけては顕著な屈曲を持たず、口綾部がやや外反する。
B 2類 休部中半が軽く膨らみ、口縁部がやや外反する。
器形が判別できる資料は、細片や一部の休部破片を除いた106点であるo出土土器群全体では、口縁瓢がやや外反するB類 が3分の2を占め、主体となる(表5).カキ層直下混土貝層を除く各層では、出土土器群全体と同様の傾向を示丸カキ層直 下混土貝層では、資料点数が少ないため十分な検討はできないが、口縁が直立または外開きになるA類が多く注目される。
・ロ縁部端面形態
口縁部の端面は、仕上げの段階でナデや指によるおさえによって調整される。口縁部端面の形態は、 6類型に分類した(図
27)0
A類 口縁部端面が丸く調整される。
B類 口縁部端面が平坦に調整される。
C類 口縁部端面が先端に向かって細くなるように調整される。
D類 口縁部端面の内側が削ぎ落とされたように調整される。
E類 口縁普醐お面の外側が削ぎ落とされたように調整される。
F類 口縁部端面が平坦に調整され、外面に突き出たような形のもの。
口縁部端面形態が判別できる資料は、休部、底普破片を除いた102点である。出土土器群全体を見ると、先端が丸く調整さ れるA類が半数を占め、平坦に調整されるB類、先端が細くなるC類が同程度存在する(表6)。層位別の出現頻度をみると、
カキ層下混土貝層や出土層位が不明な土器においても同様な傾向を示丸他の層では資料数が少なく、検討できない.
・ロ縁部装飾
口縁部の装飾は、平坦口縁、小波状口縁、大波状口縁、突起の5類型に大別され、さらに、口唇部の装飾手法と施文工具に よって13類型に細別される(図28)。
A類 平坦口縁のもの
Al類 平坦口縁で、口唇部がナデによって調整される。
A2類 平坦口縁で、口唇部に口縁に対して平行に押圧縄文を施す。一 A3類 平坦口縁で、口唇部に口縁に直交する方向で条痕を施す。
A4類 平坦口縁で、口唇部に先端が丸い工具で刺突を施す。
A 5類 平坦口縁で、口唇部外面に多裁竹管で垂直に刻みを施す。
B類 口唇部に刻みが施され、小波状口縁となるもの
ArT2口汀
Fig.26 Variation of pottery profile from Nashikibata Shell Midden
表5 層位別の器形の出現頻度
Tab.5 Frequency of pottery profile from Nashikibata Shell Midden
層位\器形 A1 " B B2 俘xヌb 3区横群下黒色土層 3 釘
(割合) R R 5.0% 剴 R カキ層上黒色土層 1 3 澱
(割合) 2 R 6.7% 0.0% R カキ層直下混土貝層 釘 1 1 澱
(割合) 田b縒R 6.7% 6.7% R カキ層下混土貝層 迭 2 9 澱 4 B
(割合) 繧R 8.3% 2.1% R R 16.7% R キサゴ層(キサゴ層下) 1 迭
(割合) R R 20.0% 鼎 R R 出土層位不明 38 1 田
(割合) "繧R 2.3% .6% R 出土土器群全体 2 2 53 唐 9 b
(割合) R 1.9% 0.0% 途絣R 8.5% R
̲ ; ≡ 二 二童 === ≡ ; =言
図27 梨木畑貝塚出土土器の口綾部端面形態
Fig.27 Variation of pottery rim profile from Nashikibata Shell Midden 表6 口綾部端面形態の出現頻度
Tab.5 Frequency of pottery rim profile from Nashikibata Shell Midden
層位\口綾部端面形態 B D 燃 ド 俘xヌb
3区横群下黒色土層 (割合) R R
カキ層上黒色土層 釘 1 澱
(割合) 田b縒R 16.7% b縒R 剴 R カキ層直下混土貝層 1 1 1 澱
(割合) 鉄 R 16.7% 6.7% 6.7% R カキ層下混土具層 2 4 迭 3 R
(割合) 鉄" R 16.0% R 12.0% 剴 R キサゴ層 1 釘
(割合) 都R R 25.0% 劔 R 出土層位不明 R ll 湯 10 鉄
(割合) 鼎2 R 19.0% R絣R 17.2% 迭 R R 出土土器群全体 鉄 18 R 14 1 "
(割合) 鉄 R 17.6% B縒R 13.7% 纈R 1.0% R
B l類 先端の断面形が丸い工具で、口唇部に刻みを施す。
B 2類 縄文原体で、口唇部に刻みを施す。
B 3類 多戟竹管状の工具で、口唇部に口縁に直交する方向で刻みを施す。
B 4類 先端が細い工具で、口唇部に口縁に直交する方向で刻みを施す B 5類 指頭で、口唇部に口縁に直交する方向で刻みを施す。
B 6類 貝殻の月鰯豪で、口唇部に口縁に直交する方向で刻みを施す。
C類 大波状口縁また闇象やかな波状「]縁のもの D類 口縁部に5単位程度の突起が貼付けられるもの
口縁部装飾が判別できる資料は、器面の状態が悪く装飾が判別できない資料や休部破月を除いた101点である。出土土着謝羊 全体をみると、平坦口縁のものと小波状口縁のものでほぼすべてを占め、平坦口縁のものが主体となることがわかる(表7)0 また、口縁部に装飾が施されないA l類が39点で、口縁部装飾が施されるものが約6割ある。装飾に使用される工具(親文 原体が23例と最も多く、平坦口縁に押圧を施すものが6例、刻みを施し小波状口縁となるものが17例ある。断面が丸い工具 や多戟竹管状の工具がともに竹管が材料であると想定すれば、竹管で装飾が施されるものは17例ある。層位的な出現頻度を みると、カキ層直下混土貝層や出土層位が不明な土器では、概ね出土土器群全体と同様な傾向を示すといえるが、カキ層下混 土貝層では装飾が施される土器の割合がやや高く、反対に出土層位が不明な土器では装飾が施されない土器の割合がやや高い。
口縁部装飾と器形の相関をみると、口縁部が直立または外開きになる土器では、平坦口縁のものが約3分の2を占める(表 8)。口唇部装飾は無文のA l類が10例ともっとも多いが、口唇部に縄文原体の押圧で文様を施すA4類の割合が高いことが 注目される。口縁部がやや外反する土器では平坦口縁のものが34例、小波状口縁のものが31例とほぼ半数ずつ存在する。平 坦口縁の土器では、口唇部装飾が無文のA l類が27例と8割を占める。小波状口縁の土器では、縄文原体による刻みが施さ れるB 2類が14例、断面形が丸い工具で刻みが施されるB l類が8例、多戟竹管状の工具で刻みが施されるB 3類が6例と、
ともに全体に占める割合が高い。
口縁部装飾と口縁部端面形態の相関を見ると、口綾部端面が外削ぎ状に調整されるE類を除く5類型で、口端面に装飾が施 されないA l類の割合が最も高くなる(表9)o E類は、平坦口縁の場合も小波状口縁の場合も、装飾を施す工具I鴻文原体で ある。大波状口縁のC類は、口縁部端面が内削ぎ状に調整されるD類に限られる。
・土器外面の装飾・施文要素
( 1 )口縁部文様帯の有無と文様帯の地文
口縁部文様帯に条痕や擦痕が施され、体部の縄文と明確に区別される区画帯を持つものと区画帯を持たず、口縁部文様帯の 地文が休部の縄文と区別されないものがあり、 3類型に大別され、 I類を条痕が施される方向で2つに細別した
Ⅰ類 地文が条痕の区画帯を持つもの I a類 横位に施されるもの.
I b類 斜位に施されるもの
Ⅱ類 地文が擦痕の区画帯を持つもの
Ⅲ類 区画帯を持たないもの
出土土器群全体をみると、口縁部文様帯を持たず外面の全面に縄文が施文されるⅢ類が55%を占め、次いで口縁部に文様帯 を持ち区画帯を持つⅡ類が39%となる(図29)。全面に縄文を施文した後に口綾部に文様を描くⅡ類はわずか5 %に過ぎない。
層位的な出現頻度をみると、各層とも全体と概ね同じような傾向を示す。カキ層下混土貝層より上位の各層ではⅢ類が存在し ないことは注目される。ただし、出土層位が不明な土器の中に2点含まれるので、存在しなかったとは必ずしもいえない。
(2)口縁部文様帯の施文要素
口縁部文様帯の施文要素は、次の7類型に分類される。
1類 押圧縄文
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A2類 A3類 A4類
A類平坦口縁
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図28 梨木畑貝塚出土土器のロ縁部装飾類型
Fig.28 Variation of decorated rim of pottery from Nashikibata Shell Midden
表7 口縁部装飾の出現頒度
Tab.7FrequencyofdecoratedrimofpotteryfromNashikibataShellMidden
層位\口綾部装飾 A2 2 A4 R A B2 2 B4 R B6 C 韮 合計 3区僕群下黒色土層 (割合) 32 R 1 33.3% 1 33.3% 3 100%
カキ層上黒色土層 (割合) b縒R 1 16.7% 2 33.3% b縒R b縒R 6 100%
カキ層直下混土貝 (割合) C R # R 1 20.0% # R 5 100%
カキ層下混土具層 途 1 1 5 25 (割合) ゅ R 4.0% 唐 R 4.0% 剴 " R 20.0% " R 剴ゅ R 釘 R 100%
キサゴ層 (割合) #R R #R R #R R 1 25.0% 4 100%
出土層位不明 r 5 1 途 9 1 2 58
(割合) 鼎b綯R 8.6% 縒R 縒R 1.7% " R 15.5% 紕R 1.7% 縒R 縒R 3.4% 00%
出土土器群全体 6 迭 2 2 17 途 2 1 釘 2 101 (割合) ゅbR 5.9% 迭 R 2.0% R 2.0% R 16.8% 澱纈R 2.0% R 1.0% 釘 R 2.0% R 100%
表8 出土土器の器形と口縁部装飾の相関
Fig8Relationshipbetweenpotteryprofilean 囘decorationofliDfromNashikibataSh 坊ニトメ idden
器形\口綾部装飾 $ 4 D T BIB2B3B4B5B6B D 俘xヌb
A C# " 22122
Å1 冤l 剴"
B ## 710411 1 鉄
B1 1111 剴
B2 31 剴
合計 scS##" 101772114 1 涛
表9 出土土器の口縁部端面形態と口縁部装飾の相関
Fig.9Relationshipbetweenprofi1eofri 劔冦anddeco 决ation 柳fニ fromNash 冓kibataShe 冤lMid 芳V
端面\ロ綾部装飾 A2 2 A4 R A B2 2 B4 R B6 C 韮 合計
A R 2 1 1 澱 ll 釘 2 1 51
B 澱 2 1 4 18
C 湯 15
D 途 1 1 2 14
E 2 1 3 F 1
合計 6 迭 2 2 17 途 2 1 釘 2 101
3区横群下黒色土層
カキ層上黒色土層 カキ層直下混土臭層
カキ層下混土貝層
キサゴ層
出土層位不明
出土土器群全体
l 剪 lI■■■‑■
二.:.2:,:. 2
・ll
l l 剪 免ツ
l 剪 l
∴10:〜:.315
i
:.1. B
l 剿ツ
・:.二35:.:..:.245
l l 鳴 ツ
・:.:52∴‑ 674
ll
0% 10‰ 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
類 類 類
‑ Ⅱ Ⅲ Ej q) EZ)
図29出土土器の口綾部文様帯の有無
Fig.29 Design on lip of pottery from Nashikibata Shell Midden
表10 出土土器の口綾部文様帯の施文要素の層位別出現頻度
Tab.10FrequencyofdesignonlipofpotteryfromNashikibataShellMidden
層位\施文要素 1b 2+3 釘 /5 澱 7 剄㈹v 3区楳群下黒色土層 2
カキ層上黒色土層 1 2 3 カキ層直下混土貝層 1 2
カキ層下混土貝層 釘 3 13
キサゴ層 1 2
出土層位不明 迭 1 迭 6 37 出土土器群全体 2 2 唐 1 1 ll 59