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地方自治 地方自治

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(地方自治の本旨)

第91条の2 地方自治は、住民の参画

(新設)

を基本として、住民に身近な行政を自主 的、自立的かつ総合的に実施することを 旨として行う。

2 住民は、その属する地方自治体の役 務の提供をひとしく受ける権利を有し、

その負担を公正に分任する義務を負う。

(地方自治体の種類等)

第91条の3 地方自治体は、基礎地方

(新設)

自治体及びこれを包括し、補完する広域 地方自治体とする。

2 地方自治体の組織及び運営に関する

第92条 地方公共団体の組織及び運営

基本的事項は、地方自治の本旨に基づい

に関する事項は、地方自治の本旨に基い

て、法律で定める。

て、法律でこれを定める。

(国及び地方自治体の相互の協力)

第92条 国及び地方自治体は、地方自

(新設)

治の本旨に基づき、適切な役割分担を踏 まえて、 相互に協力しなければならない。

第95条 削除

第95条 一の地方公共団体のみに適用 される特別法は、法律の定めるところに より、その地方公共団体の住民の投票に おいてその過半数の同意を得なければ、

国会は、これを制定することができない。

「小さな政府」を支える新自由主義的支配体制を地域社会に確立し、「軍事大 国」・ 「有事体制」を支える自治体つくりを狙う地方自治制度「改正」

1 第91条の2の意味内容と問題点

 第91条の2(地方自治の本旨)は新設規定である。現行日本国憲法には地 方自治の本旨に関する定義規定はおかれていないが、一般にはそれは団体自治と住民 自治の2つの要素からなり、前者は国から独立した地方公共団体が自己の責任で地域

の事務を処理すること、後者は、地域の住民が地域的な行政需要を自己の意思に基づ き自己の責任で充足することであると説明されてきており(田中二郎『新版行政法(中 巻・全訂第2版)73頁』、今日においてもこの解釈(通説)が広く定着している。

新憲法草案第91条の2第1項の文言は、現行地方自治法第1条の2第1項「地方 公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的か つ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と、同第2項「国は(中略)地方公 共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自 立性が十分発揮されるようにしなければならない」から引用されているものであり、

一見すると現行日本国憲法下の住民自治・団体自治を承継したものとも理解できそう である。しかしながら仔細に検討してみるならば、上記新憲法草案の文言は、現行日 本国憲法における地方自治の本旨に関する通説の認識と微妙に異なっている。

1つは、住民を地方自治の主体、いわば地方自治の「主権者」とする位置づけから、

「参画」者の位置に留めている点である。通説でいう「住民自治」が自治の主体(主 権者)は「住民」であるという思想が込められているのに対し、改憲案では、自治行 政への「参画」(参加)というニュウアンスが強調されている。ここには地方自治の 主体者(住民自治)観念の後退がみられるといえよう。現行憲法の「地方自治の本旨」

には住民自治を築いてきたわが国の歴史とその中で育まれてきた住民との近接性・密 着性が重要な要素として包含されていたが、改憲案ではそれが切り捨てられていると の印象を与える。

2つは、地方自治を実施する主体(地方公共団体)の国に対する「独立性」という 側面が希薄化する規定の仕方となっている点である。改憲案は、「自主的」とか「自 立的」とかの文言を使用しているが、それは自治行政を実施する際の「基本原則」と いう文脈の中で使用され、国家と地方自治体という対抗関係の中で地方自治体の「独 立性」を直接的に示すものとはなっていない。通説でいう「団体自治」の観念の中に は、わが国における地方自治の歴史を踏まえて、国家に対する地方自治体の「独立性」

の観念が色濃く染み込んでいただけに、地方自治の捉え方の変化を示すものといえよ う。

現行憲法は、「地方自治の本旨」を具体的に明記していないものの、上記のとおり、

「団体自治」として、「国家に対する組織としての地方自治体の独立性」と「住民自 治」として、「地方自治の主体(主権者)が住民であること」を確認し制度的に保障 するものと解されてきているだけに、本条項は問題を含むものといえよう。

 第2項は、住民の権利と義務を定めている。この規定は現行地方自治法第10 条第2項「住民は(中略)その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受け る権利を有し、その負担を分任する義務を負う」を引用したものである。一見すると、

当然のことを定めているようにみえる。しかし、ここには重要な問題が伏在している。

1つは、住民の権利を「地方公共団体の役務の提供を等しく受ける権利」として規 定している点である。地方自治の本質が「住民自治」にあるとすれば、地方自治の主 体(主権者)である住民には、単に地方公共団体から「役務の提供を受ける権利」だ

けでなく、主体者として「役務」以外の様々な要求を行なう権利、例えば、住民投票 を求める権利、住民監査請求を行なう権利等積極的に自治体活動に参加・関与し、こ れを監督する権利等があるはずである。上記文言には、この思想が含まれていない。

また、「役務を受ける権利」は必ずしも「既存の提供役務」だけでなく「あるべき 役務」の提供を求める権利を含むものと解釈されるべきものであるが、上記文言では、

前者の役務に限定される解釈のおそれも払拭できず、問題を残す条項となっている。

2つは、憲法が地方自治体と住民との間の義務を定めている点である。

近代立憲主義憲法の思想・原理に照らすと、憲法は、国民の人権を保障するために、

基本的人権を定め、統治機構(3権分立だけでなく地方自治制度も含めて)を定める ものとされている。地方自治体も一つの権力機関であることを考えると、憲法におけ る地方自治の定めも、この思想・原理に基づいて規定されるべきものである。

ところが、新憲法草案は、住民の権利だけでなく、「負担を公正に分任する義務」

を規定する。確かに、現行憲法第30条は国民の「納税の義務」を定める。そして行 政による役務提供を受ける権利を有する住民が、それに相応する形でその負担の分任 を義務付けられるのも「当然のこと」のように見える。

しかし、ここには簡単には見過ごし得ない重要な問題がある。それは「負担分任原 則」の持つ意味内容である。「負担分任原則」とは、現行地方自治法第223条〜2 29条の地方税・分担金(受益者負担金)・使用料・手数料などの賦課徴収にかかわ るさまざまな原則のうちの一つであるとされてきた。例えば地方所得税に関する応能 原則(所得に比例して支払う、住民税の累進課税制など)・応益原則(公共サービス から得る利益に応じて支払う)などがその例であるが、これらに対し「負担分任原則」

とは、住民は地域共同体の一員であるから、幅広い住民が地域共同体の財政をそれぞ れ負担するべきであるという考え方であり、地方所得税について、課税最低限を引き 下げる(低所得者にも課税する)ことや均等割(所得に関わりなく払わなければなら ない「人頭税」を正当化する論理、さらには税以外の受益者負担を正当化する論理と して機能してきたものである(佐藤進ほか編『地方財政読本』第2版(東洋経済新報 社1981年)170頁)。決して権利に対応する「公平な義務の分担」という概念 とイコールではないのである。さらにはここでの負担は必ずしも税務負担その他の使 用料・手数料負担義務に限定されるものとは限らない。新憲法草案91条の2第1項 に言う「住民の参画」とも相まって、より幅の広い住民の、金銭的、時間的、体力的 な負担をも含む余地は十分にあると言える。このような住民の負担を過度に要求する ことを容認する「負担の公正分任義務」という文言をあえて憲法上に規定することは、

重大な疑義があると言わなければならない。

 以上において検討してきた点、さらには新憲法草案憲法前文(「帰属する国や 社会を愛情と責任感と気概を持って自ら支える責務の共有」)、人権規定の変質(新憲 法草案第12条「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ」)などを 総合して解釈するならば、新憲法草案(第91条の2)における「地方自治の本旨」

は、現行日本国憲法におけるそれに比して(住民自治・団体自治の形式は一応維持し

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