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地域の一体感を醸成する「北東北学」

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第6章  北東北学の目指すべき方向性

5  地域の一体感を醸成する「北東北学」

「北東北学」は、青森県、岩手県及び秋田県の北東北3県を対象とする地域学である。

北東北は、広いエリアの中に様々な特性を持った地域を内包している。「北東北学」は、

それらの多様性が北東北全体としてみた場合に地域の総合力となるように、地域の一体 感の醸成に寄与するものでなければならない。

「北東北学」への取組みを通じ、各地域の相互理解が深まり、交流・連携が生まれ、

地域としての一体感を醸成するとともに、北東北の地域アイデンティティの確立につな げていくことが重要である。

以上の点を踏まえれば、将来の北東北を担う児童・生徒を対象とした「学校副読本『北 東北学』の作成」や北東北地域の住民がインターネット上で情報交換が行えるような「北 東北学ホームページの創設」などの取組みが必要である。

 

【図表 6-5:地域の一体感を醸成する「北東北学」取組例】 

取      組      例 概      要

学校副読本「北東北学」の作成 将来地域を担っていく児童・生徒向けに学校副読本 として「北東北学」の冊子を作成する。

北東北学ホームページの創設

(再掲)

インターネットを活用し「北東北学」に関する情報 交換を行うことができるようにホームページを創 設する。

北東北学ワークショップの開催

(再掲)

北東北学を地域づくりに活かしていくための方策 等を各地域の人々が一緒に検討できる場として、ワ ークショップを開催する。

第2編  「北東北」の地域資源 

1  地域資源体系 

    北東北学を展開・構築していく上で、地域資源を掘り起こし、活用することが必要で ある。もちろん、その地域資源の特徴を十分に把握・分析できることが、北東北学を地 域づくりに活かしていく上で必要不可欠である。

北東北の潜在的な地域資源については、さまざまなとらえ方ができると考えられるが、

切り口の一つとしてその体系を示せば、次のような体系が想定できる。

【図表 2-1:地域資源体系図】 

 

      気象

[気温、日照時間、降水量、積雪]

      地勢・地形

[土地、山、河川、湖沼、海岸線、温泉、水]

      自然      動・植物

      資源      自然風景・保全地域

[自然公園、名勝、天然記念物、世界遺産]

      自然的生産物

[山の恵み、海の恵み]

      歴史

[歴史的資源としての文化、学術・技術、政治・思想]

      人文      生活文化

[ライフスタイル、共同体の精神、食文化]

資源      民俗・まつり・芸能

[まつり・民俗芸能、民話・伝説、民間信仰、民 謡、方言]

      人

[先人、県民性、住民]

      産業・経済

[農林水産業、商工業、地場産業・伝統産業、物流、産学官 連携・新規産業育成]

      都市機能

[医療・福祉施設、高等教育機関、文化・スポーツ・レジャー 施設]

      社会      社会基盤

[高速道路、新幹線、空港、港湾、域内交通(在来線等)、住

資源

      宅、生活環境、情報・通信、エネルギー]

      都市構造

[都市の成り立ち、人口の規模、産業活動]

      地域活動

[NPO、地域連携システム]

2  「北東北」における地域資源の例 

    北東北は、豊かな自然環境、風土に根ざした伝統文化、個性ある先人たち、そして現 実に北東北での生活を支える社会資本など多様な地域資源を有しており、その主なもの を示せば次のとおりである。

地域 資 源

(1)  自然資源 

北東北は、我が国有数の自然公園や世界自然遺産の白神山地を始めとする豊かな自然 環境を有するばかりではなく、日本列島の中で、最も季節の移り変わりがはっきりとし た地域といわれる。新緑が一斉に萌える春、さわやかな夏、紅葉の秋、白銀の冬など、

四季折々の風景に満ちあふれ、それがみずみずしい自然環境に一層の彩りを添えている。

このような自然景観とそこに生息する多様な生物相からみても、北東北の自然から受け る我々の恩恵ははかり知れないといえる。

例えば、北東北では「ブナの木一本が水田一反歩をうるおす」とか「ヒノキ(ヒバ)

の枝にアワビが生える」といったことわざが語り継がれてきた。これらの言葉は、この 地で土に触れ、日差しを受け、風を感じながら生きてきた先人たちが、自然と共生者で もあったことを示している。

 

ア  地理    ①  位置

      北東北は、東には南北両アメリカへとつながる太平洋を望み、西は日本海を挟んで ユーラシア大陸と隣り合い、北には太平洋と日本海が交差する津軽海峡が本州と北海 道との十字路に位置するなど、「インターブロック交流圏」として今後の発展が期待さ れている地域であるとされている。

      また、国内的には北海道から関東に至る東日本のほぼ中央部に位置し、本州北端と いうよりは、“東日本の中心”という見方がふさわしいといえる。

【図表 2-2:北東北の位置】 

資料)『北東北広域連携構想』(北東北地域連携推進会議) 

②  地形

      北東北は、東端が岩手県宮古市重茂(東経142度04分)、西端が青森県西津軽郡深 浦町久六島(東経139度30分)、南端が岩手県西磐郡花泉町永井(北緯38度44分)、

北端が青森県下北郡大間町弁天島(北緯41度33分)となっている。

このように北東北は、東西約 200㎞、南北約300 ㎞の広がりを持ち、面積はおよ そ36.5千㎢で、国土の1割弱を占めている圏土を有している。

      この広大な圏土の中央には、高い自然度を誇る奥羽山脈が脊梁として南北に貫き、

これをはさむようにして東に準平原状の北上高地、西に低山性の出羽山脈が縦走し、

さらに青森・秋田県境には世界自然遺産の白神山地が広がっている。

【図表 2-3:北東北の地形】 

資料)『北東北広域連携構想』(北東北地域連携推進会議)を基に作成  仙北平野 

イ  気候 

    北東北 3 県の県庁所在地(青森市、盛岡市、秋田市)の気候は、年平均気温を見る と 10℃前後と冷温な地域であり、月別平均気温で見ると最高(8 月)が 22.9〜24.4℃、

最低(1 月)が△0.4〜△2.5℃と寒暖の差が大きく、四季の移り変わりが明確な地域 であるといえる。 

    また、降雪の影響から青森市と秋田市で年間日照時間が少ないこと、青森市で積雪 10 ㎝以上の日数が多いことが特徴としてあげられる。 

 

【図表 2-4:気候】 

標高 年平均気温 平均不快日数 年間日照時間 年間降水量 積雪10cm以上

(m) (℃) 最高(8月) 最低(1月) (日) (h) (mm) の日数(日)

青森市 2.8 9.7 22.9 △ 1.8 7.7 1,695 1,360.4 105

盛岡市 155.2 9.8 23.2 △ 2.5 11.8 1,815 1,265.3 52 秋田市 6.3 11.1 24.4 △ 0.4 13.7 1,642 1,746.4 50 資料)国立天文台編『理科年表』

注)平均不快日数は、不快指数が80を超える日数の合計値である。日本では、不快指数が70以上で    一部の人が、77で半数の人が、85で全ての人が不快感を訴えるとされる。

区 分 月別平均気温(℃)

   

ウ  植生 

      北東北は、世界の温帯モンスーン地帯の中でも有数の落葉広葉樹林帯を有する地域 であり、全面積の75.2%を森林が占め、その42.4%に当たる1,125千㎢が天然林とな っている。

      特にブナ林の蓄積は全国の33.6%というシェアを持ち、地球規模での亜寒帯〜冷温 帯地域の豊かな自然の面影を色濃く残していることをうかがわせる。

      自然との共生が叫ばれるようになった現在、人類と「ブナ林」との新しい関係を構 築することは、深刻な環境問題に直面する現代人の大きな課題のひとつであり、“開発”

の道を北東北が歩むのかを問いかけているといえる。

     

こうしたブナ林を代表するものとして、平成5年、青森・秋田県境に広がる白神山

地のうち16,971㏊が鹿児島県の屋久島とともに、「原生的なブナ天然林の面積が世界

最大級であること、ブナ林内の生態系が世界的にみても貴重である」として日本初の 世界自然遺産に登録された。

     

白神山地には、標高1,000m 級の急峻で広大な山々の連なりの中に、世界最大級の 原生的なブナの自然林が残され、そこには多種多様な植物群落と、これを基盤とする 豊かな動物群が生息する高い完成度の生態系が形成されている。

      しかし、このようなブナ林は、かつては森吉山や奥羽山系の和賀岳周辺、そして北 上高地に広く形成されていましたが、近年の開発により、消失したことも忘れてはな らない。

【図表 2-5:植生分布】 

   

【図表 2-6:世界自然遺産】 

登録名 保 有 地 域 自 治 体

白神山地 青森県鰺ヶ沢町、深浦町、岩崎村、西目屋村、秋田県藤里町

資料)青森県・秋田県ホームページ

 

エ  自然公園 

      北東北には、十和田八幡平、陸中海岸という二つの国立公園に加え、下北半島、津 軽、早池峰、男鹿、鳥海、栗駒の六つの国定公園のほか、22の県立自然公園ある。こ れらの自然公園はトータルで約310千㏊と、北東北の1割弱にも達している。

     

しかし、それまで津軽国定公園の一部にすぎなかった白神山地が世界自然遺産に登 録され、また、シラカバ林の広がる平庭高原に多くの人々が集い始めたように、いま だその価値が知られていない自然環境も少なくないと考えられる。その意味でも残さ れた自然環境を保護していくことは、北東北に住む我々のみならず、地球的な課題で あるといえる。

【図表 2-7:自然公園】 

区 分 青森県 岩手県 秋田県

国立公園 十和田八幡平 陸中海岸 十和田八幡平

十和田八幡平

国定公園 津軽 栗駒 鳥海

下北半島 早池峰 栗駒

男鹿

県立自然公園 浅虫夏泊 久慈平庭 田沢湖抱返り

大鰐碇ヶ関温泉郷 外山早坂高原 きみまち坂藤里峡

種差海岸階上岳 花巻温泉郷 八森岩館

名久井岳 湯田温泉郷 森吉山

芦野池沼群 折爪馬仙峡 太平山

岩木高原 五葉山 田代岳

黒石温泉郷 室根高原 真木真昼

赤石渓流暗門の滝

資料)『東奥年鑑』(東奥日報社)、『岩手年鑑』(岩手日報社)、『秋田魁年鑑』(秋田魁新報社)

 

オ  名勝 

      北東北では、特別名勝及び天然記念物として、青森県と秋田県にまたがる十和田湖 および奥入瀬渓流、特別名勝として岩手県の毛越寺庭園、名勝及び天然記念物として 青森県の仏宇多、岩手県の厳美渓と碁石海岸が国から指定されている。さらに、名勝 として、種差海岸、高田松原、奈曽の白瀑谷などの自然の景勝地のほか、盛美園など 歴史的な庭園など国から9件の指定を受けている。

      また、県の名勝、名勝及び天然記念物として、合わせて7件指定されている。

 

【図表 2-8:特別名勝・名勝】 

青森県 岩手県 秋田県

特別名勝及び天然記 念物

十和田湖および 奥入瀬渓流

十和田湖および 奥入瀬渓流

特別名勝 毛越寺庭園

仏宇多(仏ヶ浦) 厳美渓 碁石海岸

種差海岸 猊鼻渓 奈曽の白瀑谷

盛美園 高田松原 檜木内川堤(サクラ)

清籐氏書院庭園 珊琥島 池田氏庭園

瑞楽園

成田家庭園 浄土ヶ浜

貞昌寺庭園 船越海岸

青松島 法体の滝および甌穴

小又峡 資料)『東奥年鑑』(東奥日報社)、『岩手年鑑』(岩手日報社)、『秋田魁年鑑』(秋田魁新報社)

区     分

県指定

名勝及び天然記念物 名勝及び天然記念物 国指定

名勝

名勝

 

カ  山岳 

      北東北は、数多くの名山を抱えている。例えば、北海道までの雄大な景色を一望す る岩木山、16連山にアオモリトドマツの純林を抱く八甲田連峰、火山の標本地ともい われ、大火山高原に大小の湖沼や湿原を点在させる八幡平、特別天然記念物「焼き走 り溶岩流」を擁する岩手山、修験の霊地として信仰を集める早池峰山、そして日本海 から直接そびえ立つ孤峰、鳥海山などがあげられる。

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