• 検索結果がありません。

土壌における肥料の拡散現象測定

ドキュメント内 On Site Monitoring Technology (ページ 86-91)

第 3 章 畑土壌用 EC センサアレイ

3.5 土壌における肥料の拡散現象測定

78

79

変化は,ECセンサチップAよりECセンサチップCの方が大きかった。肥料拡散は,土壌 中の肥料濃度の差に起因しているため[17],肥料の拡散量が違うことを測定できたと考えられ る。測定開始後8日後のECwは,ECセンサチップAからEまで,115.0, 139.2, 175.5, 218.7,

256.6 mS/m であった。4日後から8日後までの時間経過は,測定10分後から4日後までと

ほぼ同じである。しかし,ECセンサチップAはECw増加量が増え,ECセンサチップCは ECw増加量が減じた。この約4日間の時間経過によるECw増加量の変化は,時間経過に伴う 肥料拡散によってECwと同様に土壌中の肥料分布および肥料濃度勾配が変化したため生じた と考えられる。また,採取土壌においても増加および減少の傾向がみられている。上記した ECw分布の変化から,モデル土壌に設置したECセンサアレイが,ミリメータスケールのECw

分布および時間変化を測定することで,土壌中の肥料拡散を非破壊的オンサイト測定できる ことを示すことができた。

図3.10 土壌肥料拡散によるEC分布の測定イメージ

(EC センサチップアレイは容器外から見えない) EC センサチップアレイを

容器底に配置

2 種類の土壌を センサ CD 間に配置

蓋やフィルムで密閉

80

図3.11 2種のECwが異なる土壌の肥料拡散によるECw分布変化

△□◇○× : それぞれのセンサ上部の採取土壌ECw

81

3.5.2 固形肥料の土壌への溶解現象ならびに肥料溶解に起因す

る肥料拡散の測定

固形肥料の土壌への溶解現象ならびに肥料溶解に起因する肥料拡散の測定方法

3.5.1節では,ECセンサアレイの特徴を生かした,ミリメータスケールの現象である肥料

拡散を測定できた。さらに,ミリメータスケールにおける肥料の濃度および分布に影響を与 える,土壌中における固形肥料の溶解や,固形肥料近傍の肥料分布の時間変化を測定する。

ECセンサアレイが,速効性肥料である固形肥料 (硫化アンモニウム) の少量施肥されたモ デル土壌の固形肥料近傍を,6日間継続的に測定した (図3.12) 。測定対象である固形肥料が 溶解する前のモデル土壌ECwは,100 mS/mである。施肥した固形肥料は硫化アンモニウム

0.07gであり,施肥した固形肥料が全量溶けたとき,土壌全体で均一化したECwは300 mS/m

となる。固形肥料および EC センサアレイ,モデル土壌を容器に設置する際,測定直前まで フィルムで固形肥料を包むことによって,固形肥料が溶解しないようにモデル土壌に対して 接触しないようにした。固形肥料は,EC センサチップA の近傍に設置した。温度ならびに ECwの測定は10分に1度行った。なお,測定期間中の温度変化は,気温が23.6から25.6 °C, 土壌の温度は24.2から25.5 °Cであった。また,ECセンサアレイによって測定したECwを 比較検討するため,採取した土壌の EC 測定を行った。モデル土壌を計測開始 0,1,2,3, 5日後に採取,採取した土壌の土壌溶液が抽出され,抽出した土壌溶液のEC測定を行った。

採取した土壌は,固形肥料からセンサ B,D と同等の距離の土壌および,肥料から離れてお り肥料拡散の影響を受けないところの土壌である。モデル土壌の採取のため容器の前面には 開閉が可能な穴を開けている。

固形肥料の土壌への溶解現象ならびに肥料溶解に起因する肥料拡散の測定結果

測定によって得られたECwを図3.13に示す。測定開始後10分のECwは,ECセンサチッ プAからEまで,106.1, 100.1, 102.0, 102.1, 99.1 mS/mであった。測定開始1日後は,361.2, 297.5, 180.0, 119.8, 96.4 mS/m,5日後は,230.4, 184.9, 164.5, 141.1, 116.2 mS/m であった。

それぞれのECセンサチップにおいて,ECwの増加やECwの増加後の減少を確認できた。ま た,肥料に近いほどECwの増加が大きい傾向があった。ここまでに述べたECwの増加やECw

の増加後の減少などECw分布の変化は,肥料の溶解および拡散を土壌に挿入したECセンサ アレイでオンサイト測定できることを示唆している。また,センサB, Dと等距離の採取した 土壌のECwは,1日後267.5, 114.8 mS/m,5日後185.6, 128.9 mS/mであった。採取土壌の ECw変化も EC センサアレイと同様に増加後の減少が生じている。固形肥料から離れたところ の土壌では,ECwの変化はあまり見られなかった。ECセンサアレイで測定したECw分布と採 取した土壌のECw変化が同様の傾向を示すことから,EC センサアレイが,ECw分布の時間 変化を測定することで,土壌中の固形肥料の溶解および肥料拡散を非破壊的にオンサイト測 定できることを示すことができた。

82

図3.13 固形肥料溶解に伴う肥料拡散によるECw分布変化

△□ : センサB, Dと同距離の採取土壌ECw

◇ : 肥料から離れた地点のECw

図3.12 硫化アンモニウム溶解によるEC分布変化の測定イメージ

センサ前方土壌を

採取するための穴(通常蓋有)

EC センサチップアレイを容器底に配置

固形肥料をチップ A 横に配置

(EC センサチップアレイは容器外から見えない) 土壌を配置

蓋やフィルムで密閉

③ ④

83

ドキュメント内 On Site Monitoring Technology (ページ 86-91)