• 国際度量衡総会は、1999年の第21回総会において、「各国の研究所は、
将来的なキログラムの再定義を目指し、質量の単位を基礎定数または原子 定数と結び付けるための精密な実験を実施する努力を継続する」とする決 議7を採択した
• 近年、ワットバランスやシリコン原子の質量測定を含む方法によって、国 際キログラム原器の質量をプランク定数に結びつけることにおいて多くの 進展があった
• ジョセフソン効果および量子ホール効果、ならびにジョセフソン定数KJ
およびフォン・クリッツィング定数RKのSI値によって直接的または間接 的に実現されるすべてのSI電気単位の不確かさは、もしキログラムがh の厳密な数値と結び付けられ、アンペアが電気素量eとの厳密な数値と結 びつけられた場合、著しく低減される可能性がある
• ケルビンは、現在、水の固有特性によって定義されている。これは自然の 不変量ではあるが、実際には、使用される水の純度および同位体組成に依 存する
• ボルツマン定数kの厳密な値と結びつけるよう関連づけられるようにケル ビンを再定義することは可能である
• アボガドロ定数NAの厳密な値と結びつけられるようにモルを再定義する ことも可能である。これにより、キログラムがhの厳密な数値と結びつけ られるように定義された場合でも、モルの定義はキログラムの定義に依存 せず、物質量と質量の違いが明確になる
• 他の多くの重要な基礎定数およびエネルギー変換ファクターの値の不確か さは、もし、h、e、 k およびNAがSI単位で表された厳密な値を持つならば、
除去されるか、もしくは著しく低減されるだろう
• 2007年の第23回総会において、決議12が採択された。この決議におい ては、基礎定数を用いたキログラム、アンペア、ケルビン、モルの新定義 が採択されるよう、国家標準研究機関、国際度量衡局および国際度量衡委 員会ならびに諮問委員会が実行すべき作業がまとめられた
• この作業は順調に進んでいるが、2007年の第23回総会において採択され た決議12に記載された全ての要件が満たされたわけではない。このため、
国際度量衡委員会は、まだ最終提案を行う準備ができていない
• しかしながら、提案されるであろう事項の明確かつ詳細な説明は、現在、
提示されうる ことを考慮し、
次のようなSIの改定を提案する国際度量衡委員会の意向を留意する。
• 国際単位系(SI)を以下のような単位系とする
• セシウム133原子の基底状態の超微細準位の周期Δν(133Cs)hfsは、厳密 に9 192 631 770ヘルツ
• 真空中の光の速さcは、厳密に299 792 458メートル毎秒
• プランク定数hは、厳密に6.626 06X × 10−34ジュール秒* * 定数の表現において 現われるXは、決議の 時点でその数字が不明 であったことを意味して いる。
• 電気素量eは、厳密に 1.602 17X × 10−19クーロン
• ボルツマン定数 k は、厳密に1.380 6X × 10−23ジュール毎ケルビン • アボガドロ定数NAは、厳密に6.022 14X × 1023毎モル
• 周波数540 × 1012 Hzの単色放射の視感効果度 Kcdは、厳密に 683ルーメン毎ワット
上記において
(i)ヘルツ(Hz)、ジュール(J)、クーロン(C)、ルーメン(lm)、ワット(W) は、Hz = s−1、J = m2 kg s−2、C = s A、lm = cd m2 m−2 = cd srお よ び W = m2 kg s−3によって、それぞれ、秒(s)、メートル(m)、キログラム
(kg)、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)、カンデラ(cd)の各 単位と関連づけられている。
(ii)本決議案において記号「X」は、最新のCODATA調整にもとづく値 を用いることで、h、e、kおよびNAの数値に一つまたは二つ以上の数字 が加えられることを示す。
従って、SIは、今後も現在の七つの基本単位を持つことになる。特に、
• キログラムは今後も質量の単位として使用されるが、その大きさは、SI単 位m2 kg s−1(これはJ sに等しい)で表したときのプランク定数の数値を 厳密に6.626 06X × 10−34に定めることによって設定される
• アンペアは今後も電流の単位として使用されるが、その大きさは、SI単 位s A(これはCに等しい)で表したときの電気素量の数値を厳密に 1.602 17X × 10−19に定めることによって設定される
• ケルビンは今後も熱力学温度の単位として使用されるが、その大きさは、
SI単位m2 kg s−2 K−1(これはJ K−1に等しい)で表したときのボルツマン 定数の数値を厳密に1.380 6X × 10−23に定めることによって設定される
• モルは今後も、要素粒子(原子、分子、イオン、電子その他の粒子または それらの粒子の特定の集合体がありうる)の物質量の単位として使用され るが、その大きさは、SI単位mol−1で表したときのアボガドロ定数の数値 を厳密に6.022 14X × 1023に定めることによって設定される
国際度量衡総会はさらに以下の事項に留意する。
• キログラム、アンペア、ケルビン、モルの新しい定義は、定数を明示的に 定める形になる予定である。すなわち、十分に認知された基礎定数につい て厳密な値を明示的に定めることによって、単位が間接的に定義される
• 現行のメートルの定義は、真空中の光の速さの厳密な値に関連づけられ ている。これもまた、十分に認知された基礎定数である
• 現行の秒の定義は、セシウム原子の明確な特性の厳密な値に関連づけら れている。これもまた、自然の不変量である
• 現行のカンデラの定義は基礎定数に関連づけられていないが、自然の不 変量の厳密な値と関連づけられていると考えることができる
• 全ての基本単位が同様の文言で表されれば、国際単位系がより分かりやす くなるだろう
このため、国際度量衡委員会は、秒、メートル、カンデラの現行の定義を以 下のような全く同じ形式で再編成することを提案する。
• 秒(記号はs)は時間の単位である。その大きさは、温度0 Kで、静止状 態のセシウム133原子の基底状態の超微粒準位の周期の数値を、
SI単位s−1(これはHzに等しい)で表した場合、厳密に 9 192 631 770と定めることによって設定される
• メートル(記号はm)は長さの単位である。その大きさは、
SI単位m s−1で表したときの真空中の光の速さの数値を厳密に
299 792 458と定めることによって設定される
• カンデラ(記号はcd)は、一定方向における光度の単位である。その大 きさは、SI単位m−2 kg−1 s3 cd srまたはcd sr W−1(これはlm W−1に等しい)
このように、すべての七つの基本単位の定義が、上記の七つの定数から自然 に導きだされることになる。
結果として、SI改定の実施日において、
• 1889年から施行されている国際キログラム原器の質量にもとづくキログ ラムの定義(第1回国際度量衡総会(1889年)、第3回国際度量衡総会(1901 年))は、破棄される
• 国際度量衡委員会(1946年決議2)によって提案された定義にもとづき、
1948年から施行されているアンペアの定義(第9回国際度量衡総会(1948 年))は破棄される
• ジョセフソン効果と量子ホール効果を用いたボルトとオームの実現の確立 のための国際度量衡総会の要求(第18回国際度量衡総会(1987年)決議 6)にもとづいて国際度量衡委員会で採択されたジョセフソン定数KJ-90お よびフォン・クリッツィング定数RK-90の協定値(1988年勧告1および2) は破棄される
• 明示性の低い以前の定義(第10回国際度量衡局(1954年)決議3)にも
とづき、1967/68年から施行されているケルビンの定義(第13回国際度
量衡局(1967/68年)決議4)は破棄される
• 炭素12のモル質量が厳密に0.012 kg mol−1であるとする定義にもとづき、
1971年から施行されているモルの定義(第14回国際度量衡局(1971年)
決議3)は破棄される。
• それぞれ、第17回国際度量衡局(1983年 決議1)、第13回国際度量衡 局(1967/68年 決議1)、第16回国際度量衡局(1979年 決議3)で採択 されたメートル、秒、カンデラの現行の定義は破棄される
国際度量衡総会は
さらに、同日、以下の事項に留意する。
• 国際キログラム原器の質量m(K)は1 kgだが、その相対不確かさは、再定 義直前のhの推奨値のそれと等しい。またその値は、後日、実験的に決定 される
• 磁気定数(真空の透磁率)μ0は4π × 10−7 H m−1となるが、その相対不確 かさは、微細構造定数アルファの推奨値のそれと等しい。その値は、後日、
実験的に決定される
• 水の三重点の熱力学温度 TTPWは273.16 Kだが、その相対不確かさは再定 義直前のkの推奨値のそれと等しい。その値は、後日、実験的に決定され る
• 炭素12のモル質量 M(12C) は0.012 kg mol−1だが、その相対不確かさは、
再定義直前の NAhの推奨値のそれと等しい。その値は、後日、実験的に決 定される
国際度量衡総会は以下の事項を奨励する。
• 国家計量標準機関、国際度量衡局および学術機関の研究者が、定数h、e、 kおよびNAの決定に関する活動結果を、科学界、特に科学技術データ委
員会(CODATA)に対して知らせる取り組みを継続すること
• 国際度量衡局が、各国のキログラム原器のトレーサビリティを国際キログ ラム原器と関連づける取り組み、および、再定義された質量の単位の供給 を促進するための参照分銅群の開発を継続すること
また、以下の事項を要請する。