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( 図 3)。

ドキュメント内 バイオ16-1-表1-4 .indd (ページ 39-56)

病害虫関係者だけでなく,農 政 部 内の関係 各課及び 栽培や土 壌 肥 料の 研究室が 構

成員 となることで,IPM を県の 施策上の 共 通 課 題として 意志 の統一が 図ら れ る こ

と 及び 農 業 経 営 全 体の 視 点に基 づ い たI P M 技術 の実 証 試 験の 展 開と I P M実 践

指標 の策定 が可能になること 等が利点 である。

当 体 制に よ り,「 I P Mは病害虫関係者 に 偏った 一 方 的な技 術 持 論」から 脱却 す る こ と が可能 となる 。実はこのことが,これからのIPM の視点 に最も 必要なこと かもしれない 。

また,IPM 研究会という ,県の農 業 政 策に 裏付け さ れ た組織 の存在により ,現 場 の普 及 指 導 員 が 迷う こ と な く I P Mの 推 進に取 り組 み や す い と い う 面も期 待 で きる 。

なお,IPM 技術の実 証 試 験の 企画や設計 ,試験の実施及 び実績 の検討,あるい は IPM実 践 指 標の 策定等に 関する実質的 な活動 については,病害虫担当の農業専 門普及指導員( 専技)をチ ー ム長とした IPM企 画 推 進チーム が担 い,課題に応 じ て 必要な機関及 び専門家 の参加 を依頼 することとなっている。

市町村,農業団体 農薬メーカー 農業者 等 鹿 児 島 県 I P M 研 究 会

会 長:県農政部食の安全推進課長

構成員:県農政部農政課,経営技術課,農産園芸課

県農業開発総合センターの農業専門普及指導員,各研究室長

(企画調整部,園芸作物部,生産環境部,茶業部,果樹部)

事務局:県農政部食の安全推進課

県 I P M 企 画 推 進 チ ー ム

チーム長:病害虫担当農業専門普及指導員

チーム員: 県庁各課,農業開発総合センター各研究室 地域振興局・支庁の農政普及課

県経済連,大学,関係団体 等

課題に応じて参集

連携

市町村,農業団体 農薬メーカー 農業者 等 市町村,農業団体 農薬メーカー 農業者 等 鹿 児 島 県 I P M 研 究 会

鹿 児 島 県 I P M 研 究 会

会 長:県農政部食の安全推進課長

構成員:県農政部農政課,経営技術課,農産園芸課

県農業開発総合センターの農業専門普及指導員,各研究室長

(企画調整部,園芸作物部,生産環境部,茶業部,果樹部)

事務局:県農政部食の安全推進課

県 I P M 企 画 推 進 チ ー ム 県 I P M 企 画 推 進 チ ー ム

チーム長:病害虫担当農業専門普及指導員

チーム員: 県庁各課,農業開発総合センター各研究室 地域振興局・支庁の農政普及課

県経済連,大学,関係団体 等

課題に応じて参集 課題に応じて参集

連携

図 3 鹿 児 島 県IPM研 究 会の組 織 体 制

(6 ) I P Mの普及に 必要な条件

I P Mの普及 に不 可 欠な条件 と し て揺る ぎ な い も の は,「 地域を 牽引する 指 導 者

( 仕掛け 人)」の 存在で あ る。 この役割 を担 う の は,農 業 改 良 普 及 指 導 員,JAの 営農指導員 ,市町村の 職員又は 農業者の 誰でも構わ な い が,情報量 が豊富 で な お か つ 科学的根拠に基づいた 客観的 な情報 を提供で き る者 が適任 で あ る と 考え ら れ る 。

但し,いずれ の場合でも ,地域の関係者 が統一 した意識 を持ち ,一体的 に取 り組

む 必要がある 。

IPMに 関しては ,技術マニュアルを 提示するだけで普及 させることは,極めて 難 しい。何故なら ,技術の導 入 以 前に,従来 の病害虫防除に対 する考え 方を大きく 変 え な く て は な ら な い か ら で あ る。以前 で あ れ ば,「 特 効 薬を明確 に答え られる指 導員 =優秀 な指導員 」であったかもしれない。しかし ,現在 は,この考 え方が通用 する 作物又 は地域は 少ないだろう。言い換えれば ,病害虫 の薬剤抵抗性発達 により , 既 存の 登 録 農 薬だ け で 安 定 的に 農 産 物の 生 産が可 能な 作 物は少 な く な っ て い る の が 現状である 。

今後, 各 地 域の指導員 に求 め ら れ る も の は,「本当 に防除 が必要 か否かを ,農業 者 に考え さ せ る勇気 」と「農薬 に代 替 可 能な技術 を提案 できる ノウハウ」で あ る と 考 え ら れ る。

それぞれの病害虫 に対する 農薬の効果 を把握し ,的確 に指導 する知識 でさえ高度 で あ る が,これに 加えて ,更に農薬 に代 替 可 能な技術 や天敵への 影響の 程度まで 習 得 した上で 指導し,且つこれまで 農薬に大 きく依存して 病害虫防除を行 っ て き た農 業者 の意識 を変えることは,並大抵 のことではない 。場合 によっては,大きな反発 を 浴びることもあり 得る。しかし,信念 を持ち な が ら,以上の ことを実践 できる 指 導者抜 き に し て, I P Mの普及 を図る こ と は難しいと 思われる 。

先に紹介 した県IPM 研究会 に と っ て,地域の牽引役 となる IPM指導者 を育成 することも 大きな役割 である 。試験研究機関による 実 証 試 験への参画 ,又は専門的 知識 を有する 人材の 現地への 派遣等を 通じて,県全体 で人材の 育成を図 る必要があ る 。

そのための活動の 一環として ,研修会やシンポジウム( 写真 1)等 を定期的 に開 催 することも必要 であろうし, さ ら に,「鹿 児 島 県 I P Mネ ッ ト ワ ー ク」 を現在整 備中 である 。こ こ で は,IPM に係る情報 を,電子メール を利用 してタイム リーに 指導機関及 び農業者 等へ提供 し な が ら,情報 の共有と 意志の疎通 を図ることがねら い で あ る。

(7 ) I P Mは農産物差別化の 手段になり 得るか?

私 的 経 験に基づけば ,IPMを 導入した 農 業 者 又は 組織が技術 の次に 求め る こ と は ,自 らが農産物 を生産 する過程 でこだわったその取組 を市場関係者及 び消費者 へ 伝 えたいというIPM のPR である。

客観的 に見 ても,GAP 等による 第 3 者認証 も今後 は農 業 生 産の上での 基 本 的 要 素になる 。また,品種 の充実化及 び栽 培 技 術の向上等 に よ っ て,ある特定 の時期に , 同 一 作 物が, 定品質で且 つ定 量 確 保された 場合には ,農産物 に対する 「付 加 価 値」

が, 今後より 一層必要になってくる だろう 。

ここで 言う 付 加 価 値とは ,価格 が高くなることではなく(勿論 ,これが 理想では あるが ) , 「買 い手から 選んでもらえること」である 。農産物の 流通に お い て差 別 化 を図 るた め に は,何らかの 手段が 必要である 。

こ の た め,当 該 事 業においては,IPM を市場関係者や消費者 まで幅広 くPR す

る取組 を計画 し て お り,IPM を当県農産物の一 つの背景(ストーリー)として 位 置付 けていきたい。

このPR の効果は 現時点では 未知数 である。しかし ,県内の 農業者を 支援する 立 場 として,考 えられるあらゆる可能性に 対して挑戦 し て い く必要が あ る し,長期的 視点 に基づいた 提案 を絶えずし 続けることは,行政の 責務の一 つではないだろうか。

写真

1

九州農政局 と鹿 児 島 県の共催 によるIPM シンポジウム

※県内外 から約

300

人が 参加した .

右の写真 は会場ロビー に設置 したIPM 関 連 資 材の展示 ブース

柿元 一樹 氏

平成

10

年 :鹿児島大学農学部卒業 同 年 : 鹿児島県庁入庁

平成

10

年~平成

17

年度 :県 試 験 研究機関 で害虫及び 天敵の生態 ,管理 に係る研究 に従事

平成

18

2

月:九州大学大学院生物的防除研究施設にて 博士号取得

平成

18

年 ~平成

22

年度 :普及指導員として 茶や 施 設 野 菜の 普 及 指 導に従事

平成

23

年 ~現在:農 政 部 食の安全推進課にて 行政職 として植 物 防 疫や

IPM

の事業 に 従事

※鹿 児 島 県では 平成

24

年度 から県単独新規事業 として「

IPM

技術普及推進事業」を 立ち 上げ,現在 は主に 事業の執行 や本年

3

月に設立 された「 鹿 児 島 県

IPM

研究会 」 の運営 に携わっている 。

プロフィール

図 3 タバコカスミカメ導入イメージ

岡 山 県 岡 山 農 業 普 及 指 導 セ ン タ ー 石 倉 聡

1 は じ め に

岡 山 県 岡 山 市 で は 、 133戸 、 25.5ha で 促 成 な す 栽 培 が 行 わ れ て い る 。 近 年 、 薬 剤 感 受 性 が 低 下 し た ミ ナ ミ キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ ( 以 下 ア ザ ミ ウ マ ) の 被 害 が 深 刻 と な っ て い る 。

そ の 対 策 と し て 平 成 22 年 度 に 高 知 県 の 事 例 を 参 考 に 土 着 天 敵 の タ バ コ カ ス ミ カ メ を ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ ( 以

下 ス ワ ル ス キ ー ) と 併 用 し て 試 験 的 に 導 入 し た と こ ろ 、 栽 培 期 間 を 通 じ て 防 除 効 果 が 高 か っ た こ と か ら 、 平 成 2 3 年 度 は 1 2戸 が 、 今 年 度 は 5 7戸 が 導 入 し 、 急 速 に 産 地 に 拡 が り つ つ あ る 。 な お 、 ス ワ ル ス キ ー の み の 利 用 で も 秋 期 ま で 安 定 し て ア ザ ミ ウ マ を 抑 制 で き る こ と か ら 、 今 年 度 の 天 敵 導 入 農 家 は 8 0 戸 で 産 地 の 6 割 に 達 し て い る 。

今 回 は 、 タ バ コ カ ス ミ カ メ の 誘 引 方 法 と 導 入 結 果を 中 心 に 紹 介 す る 。

2 タ バ コ カ ス ミ カ メ に つ い て

タ バ コ カ ス ミ カ メ( 図 2 )は 、体 長 3

~ 3.5㎜ の カ ス ミ カ メ ム シ 科 の 昆 虫 で 、 世 界 中 に 分 布 し て お り 、 海 外 で は 、 天 敵 製 剤 と し て 販 売 さ れ て い る 。

ア ザ ミ ウ マ 、 コ ナ ジ ラ ミ 等 を 捕 食 す る が 、 雑 食 性 で 、 な す の 生 長 点 を 吸 汁 す る 。

3 タ バ コ カ ス ミ カ メ の誘 引 に つ い て タ バ コ カ ス ミ カ メ の 誘 引 に は ゴ マ を 用 い る 。 播 種 は 6 月 上 旬 、 7 月 中 旬 、

土着天敵タバコカスミカメを利用した促成なすのアザミウマ対策

図 2 タバコカスミカメ成虫

8 月 上 旬 の 3 回 に 分 け て 露 地 畑 に 播 く ( 図 3 )。 ゴ マ の 生 育 期 間 は 3 か 月 程 度 な の で 、 早 め に タ バ コ カ ス ミ カ メ を 誘 引 し 、 な す の 定 植 後 ま で 増 加 さ せ る に は 段 階 的 に 播 く 必 要 が あ る 。

7 月 末 か ら 8 月 上 旬 頃 、 最 初 に 播 種 し た ゴ マ の 生 長 点 に 寄 生 が 見 ら れ 、 そ の 後 徐 々 に 増 加 し な が ら 7 月 播 種 、 8 月 播 種 の ゴ マ へ 順 次 移 動 す る 。 ゴ マ を 播 い て お く だ け で も 誘 引 は で き る が 、 ゴ マ の 生 育 状 況 や 降 雨 に よ り 寄 生 量 が 増 減 す る の で 、 少 々 心 許 な い 。

早 期 に 増 や す た め に は 、 な す 栽 培 が 終 了 す る 7 月 上 旬 に 、 前 作 に タ バ コ カ ス ミ カ メ を 利 用 し た な す ハ ウ ス か ら 、 葉 ご と タ バ コ カ ス ミ カ メ を 持 ち 出 し 、 6 月 初 旬 に 播 種 し た ゴ マ の 株 元 へ 置 い て お く と 良 い 。

タ バ コ カ ス ミ カ メ の な す ハ ウ ス へ の 導 入 は 、 な す の 定 植 2 週 間 か ら 1 ヶ 月 後 の 間 に 、 ゴ マ を 上 か ら 40 ㎝ 程 度 で 切 っ て ハ ウ ス へ 持 ち 込 み 、 な す 4 株 お き に 株 元 へ 置 く ( 図 4 ) 。

な お 、 タ バ コ カ ス ミ カ メ の 吸 汁 に よ る な す へ の 影 響 は 、 な す の 生 育 が 進 ん で い る 段 階 で は 、 葉 が 奇 形 に な る 程 度 だ が 、 定 植 直 後 の 段 階 で 、 生 長 点 に 幼 虫 が 多 数 寄 生 す る と 、 ひ ど い 場 合 は 心 止 ま り 状 態 ( 図 5 ) と な る た め 、 ゴ マ 1 株 に 100 頭 以 上 寄 生 す る よ う な 密 度 が 高 い 場 合 は 、導 入 数 を 減 ら す か 、導 入 を 遅 ら せ る 、 ま た は 、 ゴ マ を な す の 上 で 振 り 、 成 虫 の み 移 動 さ せ る 。

ゴ マ を 栽 培 す る ポ イ ン ト は 、 栽 植 密 度 は 条 間 4 5㎝ × 株 間 2 5㎝ 程 度 と し 、 雑 草 防 止 に 黒 マ ル チ を 張 る 。 一 穴 に 3 粒 程 度 播 種 し 、 間 引 き は し な い 。 施 肥 は 1 a あ た り 窒 素 成 分で 0.8㎏ 程 度 と す る が 、肥 料 切 れ す る と 、斑 点 細 菌 病 が 発 生 し て 早 く 落 葉 し 、 タ バ コ カ ス ミ カ メ の 寄 生 数 が 少 な く な る の で 、 必 要 に 応 じ て 追 肥 す る 。 問 題 と な る 害 虫 は シ モ フ リ ス ズ メ の 幼 虫 で 、 体 長 1 0㎝ 以 上 と な り 、 激 し く 食 害 す る た め、 こ ま め に捕 殺 す る 。

図 4 タバコカスミカメの放飼方法は、

ゴマをなすの株元に置く。

図 5 タバコカスミカメ幼虫の吸汁による 心止まり状態。

ドキュメント内 バイオ16-1-表1-4 .indd (ページ 39-56)

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