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UV‑B TREATMENT

Fig.1 Anthocyanin content of each p一ant with pl gene or pl and inhibitory

genes under different UVIB treatment.

‑20‑

イネの出穂前後におけるUV‑Bの影響と修復機構の解析

東邦大・医 高柳進之輔、 東北大・遺生研 日出間純、熊谷 忠

は じ め に

オゾンホールの形成に伴い増加する紫外線(UV‑B)の生物に対する影響について、農 作物ではあまり調べられていないのが現状である。ここではアジア地域で広く栽培されて

いるイネを対象に紫外線の影響を評価するため、紫外線によるDNAの損傷と修復能に関 する解析を行っている。今回は日本ならびにインドで栽培されているイネ(4種)につい て紫外線照射量とDNA損傷量の関係を他の植物と比較̲しながら考察する。

研 究 経 過

実験に使用したイネは、インドでの栽培種であるサージャンキ(OryzasativaL var.

surjumkhi)とsc‑6 (Oryza saliva L. var. Marich‑bali)ならびに日本の栽培種である農 林1号(oryza satI'va L. var. Norin 1)とササニシキ(oryza saliva LI Var・ SasanI‑shiki)

の4種である。これらについては、紫外線照射によりDNA損傷すなわちcyclobutyl pyrimidine (CPD)が線量依存的に形成されることや光回復ならびに除去修復能のある ことをアルカリゲル電気泳動法や画像解析を用いて定量的に明らかにしてきた(1,2) 0

今回は更にこれらの品種ならびに報告されている他の植物との比較を行った。

研 究 結 果 及 び 考 察

植物の子葉に紫外線(UV‑B)を異なる線量で照射し、形成されたcpD量をアルカリゲ ル電気泳動法と画像解析法で求めた。これらの値を単位KJ (キロジュール)当たり、単 位Mb (メガベース)当たりに形成されるCPD量に換算した(CPD/Mb/KJ/m2)のが表

である。

表 UvB照射によるイネのDNA損傷と他の植物との比較

植物名 妊 傚ル.b H トヨ( トエィ ニモ" 文献 

イネ(OryzasativaL.var.Surjumkhi)  R縱sィ モB縱b (2) 

イネ(OryzasativaL.var.Marich‑batI')  B x モ" " (2) 

イネ(oryzasativaL.var.Norin7) 団塗 モ"紊 (1) 

イネ(oryzasatI'VaL.var.SasanI'Shiki) 迭纉 モ" B (1) 

アルファルファ(MedicagosatJ'Va)  R ( モB經 (3) 

アラビドプシス(ArabidopsI'Sthaliana) 鼎R (4) 

まず、イネを比較してみると、インドの栽培種であるサージャンキとsc‑6では約14‑

16CPD/Mb/KJ/m2で、国産の農林1号とササニシキでは6‑7CPD/Mb/KJ/m2であった。

これらの結果は、国産の方が形成されるCPD量が少なく、紫外線に強いことを表してい

‑21‑

る。これらの内、インドのサージャンキと国産の農林1号は一般に紫外線感受性であるこ とが知られている。このサージャンキと紫外線抵抗性のSC‑6に形成されるCPD量は、多 少紫外線抵抗性の方が値は小さいが、ほとんど同じといえる。同様のことが、国産の紫外 線感受性の農林1号と盛外線抵抗性のササニシキとの間にもいえることがわかった。

では、紫外線感受性と抵抗性の差はどこにあるのかという疑問がわいてくる。これにつ いては昨年の報告(1,2)で明らかにしたようにDNA損傷の修復能にあるといえる。即 ち、紫外線抵抗性のイネは光回復や除去修復能が高いので、形成されたDNA損傷(CPD )を直ぐに修復してしまうが、感受性の品種では修復に比較的長時間を要し、 cpDが蓄 積してしまうものと考えられる。結果として、紫外線感受性株は細胞の生理的活動の不活 性化により生育の阻害、生産量の低下あるい葉枯れ等の現象を招くことになると推測され

る。

国産のイネに比べ、アルファルファ(3)やアラビドプシス(4)等の双子葉植物で は、単位当たりのDNA損傷量がそれぞれ35、 45CPD/Mb/KJ/m2であり、ササニシキに比 べ4‑6倍に相当する。これらの双子葉植物はイネよりも紫外線に対してDNA損傷を受けや すいことを示しているが、今後、さらに光回復や除去修復能がイネと比べて強いのか弱い のか比較す一る必要がある.

参考文献

( l ) Jun Hidema, Tadshi Kumagai, John C.Sutheland, and Betsy M. Sutheland (1997): ultraviolet B‑Sensitive Rice CuJtivar Deficient in Cyclobutyl Pyrimidine

Dimer Repair. Plant Physl0暮. 113:39‑44

(2)高柳進之輔、日出間 純、熊谷 忠(1997) :イネの各生育段階における紫外線 (Uv‑B)の影響と評価、共同利用研究報告(平成8年度)

( 3 ) Quaite,F.EIsie, Betsy M, Sutherland, and John C. SutherLand(1992): Quantitation of pyrimidine dimers in DNA fro9m UVB‑irradiated a[falfa(Medocago stI.Va L.) seedlings, Appli. Theore. Electropho. 2:171‑175

( 4 ) Britt, A.B., J.‑J. Chen, D. Wykoff, and D. Mjtchell(1993): A UV‑Sensitive Mutant

of ArabidopsI's Defective in the Repair of Pyrimidine‑Pyromidionone(6‑4) Dimers, Science 261:1571‑1574

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ミズタマカビ胞子嚢柄の遠心重力場における反応 (整理番号973008) 京都大・農学研究科  三原 等 東北大・辻生研    大瀧 保

堀江直司

1. はじめに:

ミズタマカビ(PHobolous)はヒゲカピ(Phycomyces)と同様、接合菌類のケ カビ目に属する糸状菌であるが、その胞子嚢柄は長さ約2mmと1 0cm以上にもな るヒゲカどの胞子嚢柄と比較して極めて小型である。しかし,ミズタマカどの胞 子嚢柄は胞子嚢直下が肥大し.成熟すると胞子嚢を空中に噴射するなどの特徴を 持つと同時に、ヒゲカどの胞子嚢柄と同様,光に対して敏感に反応することから

古来多くの研究に使用されてきた(Duller 1934. 8abbury 1959・ Page 1962・

page and Cu‖y 1966. Kubo and Nihata 1988・ 1989)。すなわち・ミズタマカど

の胞子嚢柄は一方向から照射される光(青色光)に対して正の屈性を示し、光の 方に向かって胞子嚢を噴射する。我々は(Ootaki et all 1993)このカどの胞子

妻柄がヒゲカどの胞子嚢柄と同様.ある発生段階には回転運動を示すことを発見 した。また,ヒゲカどの胞子嚢柄は重力刺激にも反応し,水平に横たえられると、

やがて上方に立ち上がってくる。しかしミズタマカどの胞子嚢柄においては、胞 子嚢柄が培地から立ち上がってくることから単に負の重力屈性を示すであろうと 推測されてきた(Page 1962)が、未だ詳細な解析もなされておらず、不明な点 が多かった。

本研究においては、このミズタマカビ胞子嚢柄の重力反応を遠心力を利用して 明かにし、かつ定量的に解析することを目的とする。ヒゲカどの胞子嚢柄では・

光屈性を解析する場合、重力屈性も常に同時に起こるため、光屈性の精密な解析 のためには重力屈性反応をも十分に考慮する必要がある。もしミズタマカども重 力刺激に反応する場合には、光屈性を解析する場合やはり考慮すべき重要な要因 と・なろう。これらの菌類においては、光受容体も、また重力刺激受容体も未だ同 定されていない。これらを明らかにするためにも、光屈性と重力屈性を明確にし・

さらに両菌類間で比較検討する必要がある。

2. 材料と方法:

ミズタマカピ(Pilobolus crystalLimus Yiggers Tode)の野生型(I.FO8561)

の菌糸を,図1Aに示すような容器の中央掛こ‑直削こなるように接種し,さら に細いスリッ小を持つ薄いプラスチック板で覆い、胞子嚢柄はスリットを通して のみ生育するようにする。この

容器をさらに透明なプラスチッ ク板で半ドーム状に覆い、遠心 中に変形しないように硬い針金 で固定する(図1A)。これを 光の下で数日間培養し、真っ直 ぐな胞子嚢柄が出現した時点で, 若い胞子嚢柄を取り除き、胞子 嚢を形成した胞子嚢柄だけを残 し、容器全体をアルミフォイル で包んで遮光した後,回転して いる円盤の上に設覆し、胞子嚢 柄に一方向から遠心力がかかる ようにした(図1B)。胞子嚢

柄に与える遠心力の強さは、円 ●■・・‑ r ‑ミ

0      0 6      3

(aaLEiap) oa一BuvBu!puog

( 19ヱ)

0  5 10 ‑5 20 25 30 Arc Leng†n ら (mm)

盤の回転数および円盤上における容器の位 置を変えることによって調節した。

遠心力に対する胞子葉柄の屈曲角度は、

ミズタマカどの胞子嚢柄が完全に成熟した 胞子嚢を空中に噴射し、それが透明なプラ スチックのドームの内壁に付着させること を利用して測定した。すなわち,プラスチ ックのドームを取り外して平板とし、それ をコピー機で拡大し、天頂線(o)と付者 した胞子嚢の痕跡(p)の間の距離(arcs) を拡大図の上で測定し(図1C, D)、そ れから胞子嚢柄の屈曲角度(♂)を計算し た。この場合、胞子嚢柄は平均で約1.5mm の高さを持つため、補正を行なった。弧の 長さ(S) 、胞子嚢柄の高さ(h)および屈曲角度(♂)との理論的関係は図2 示した通りとなる。一方、胞子嚢形成前の若い胞子嚢柄の屈曲角度は,プラスチ ックのドームを除去後,側方から胞子嚢柄の写真を撮り.それを拡大して測定し

た。

3̲ 研究結果:

成熟した胞子嚢柄を有する胞子 葉柄は、遠心力に対して負の屈性 を示し、遠心機の中心(球心端) に向かって胞子嚢を噴射すること が明らかになった(図3)。この 場合、胞子嚢の実際に受ける力と 方向(F)は、水平方向に与えら れた遠心力(f)と垂直にかかる 地球の重力(g)との合成となら り(図3、挿入図)、もし、胞子 葉柄がこの(F)と反対の方向に 屈曲するとすれば、その理論的屈 曲角度は図3に示した通りとなる。

しかしながら、実際に測定された 屈曲角度は、特に高い遠心力の飯 域において、理論値からかなり低 いものであった(図3)。

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(aaJBap)o a]6uv Bu!puag q一       60       0

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(Bx)」pa^!auJad aJOudo!BuDJOds a3JOj

旧  8   6   4   2   0

(1豆15)

一方、胞子蕪を形成する以前の若い胞子 妻柄においては.遠心力の方向に影響を受 けずに上方に向かって伸長していた。それ ら胞子葉柄の垂直軸とのなす屈曲角度は表

1に示す通りである。

これらの結果は、胞子葉柄を横たえた場 合の重力屈性反応においても確かめられた。

すなわち、若いstage」の胞子嚢柄を横たえ、

その発生段階を通して屈曲反応を観察する

‑24‑

と、初期の段階では重力屈性を示さず、胞子嚢が成熟し、胞子妻下妻(subsporan giÅl vesicle)の下の柄の部分での伸長が始まって初めて上方への(負の)重力 屈性が観察された(図4)。そ

の場合の胞子嚢柄の生長と屈曲 の関係は、図5に示す通りである。

4.考察:

本研究において、ミズタマカ どの胞子葉柄の重力反応は、胞 子嚢柄の発生段階によって異な ることが明らかになった。一般 に、重力反応は光反応に比較し て緩慢であるために、自然重力 に対する反応だけでは結果が明 瞭でない場合も有り得る。本研 究では、遠心力を利用してより 強い力を与え、その反応を観察

したが.自然重力下での反応と 同じく胞子妻の成熟した発生段 階後期の胞子嚢柄だけが屈性を

示した。

しかし、この屈曲角度は理論 的に期待される角度に比較して かなり低いものであった。本研 究においては、胞子嚢は直線的 にプラスチックドームの内壁に

1

2

1

3

4

飛期し、付着するものとして計

算したが、高速で回転する回転 い旬4‑) 9 座標軸上においては、コリオリ

の力などが働き、胞子嚢柄の屈曲に方向の「ずれj (aiming error)が生ずる可能 性がある。もし、この方向の「ずれ」が十分に大きくなると、胞子嚢柄の飛期が 放物線を描くようになったり、屈曲そのものが影響を受ける場合も予測される。

ここにおいて.胞子嚢が約6Eeet飛期するという過去のデータ(BuHer 1934:

Page 1962)を基に計算すると、本実験条件の下ではコリオリの力による胞子妻柄

(aaJBap)oa)6uv 6U!puag

60

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の「ずれ」は約1mm程度の僅 かなものであり、本実験で 得られた屈曲角度の減少を 説明するには不十分である。

胞子嚢柄の屈曲角度に影響 すると思われるその他の物 理的要因としては、遠心中 にかかる胞子嚢柄への「反

り返り」 (stretch)や容器内

の空気の流れなどが考えら れるが、ここでは計算のた めのパラメータが明確でな く、その影響も明かではな

い。

ドキュメント内 共同利用研究報告 平成6年度~平成9年度 (ページ 146-175)

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