問題15 は,問題 10 を真に理解しているか を見るために具体例を構成させたものである.
正解率は,
group ○
Pp 8%→6% Pn 2%→2% (Pp∪Pn)c 8%→2% 全体 18%→10%
group ×
Pp 0→2%
Pn 8%→4% (Pp∪Pn)c 36%→16%
全体 44%→22%
group 無解答
Pp 8%→8% Pn 2%→6% (Pp∪Pn)c 28%→54%
全体 38%→68%
Pp gr. 6%,Pn gr. 2%,(Pp∪Pn)c gr. 2% , 全体で10%と,問題 10における正解率を下回 り,無解答層が大きく増加した.問題14でもみ られた無解答層の大幅増加の理由は,否定命題 の論理構成ができなかった学生が増えた結果に よるものと思われる.
4.4 一覧表
4.4.1 正解率一覧
問題 #6〜#15における各グループおよび 全体の正解率一覧表
group 6 11 7 12
Pp 2% 4% 10% 4%
Pn 0% 2% 4% 4%
(Pp∪Pn)c 0% 6% 8% 16% 全体 2% 12% 22% 24%
group 8 13 9 14
Pp 2% 2% 4% 2%
Pn 0% 2% 4% 2%
(Pp∪Pn)c 0% 6% 16% 6% 全体 2% 10% 24% 10%
group 10 15
Pp 8% 6%
Pn 2% 2%
(Pp∪Pn)c 8% 2% 全体 18% 10% 4.4.2 無解答率一覧
問題 #6〜#15における各グループおよび 全体の無解答率一覧表
group 6 11 7 12
Pp 0% 6% 6% 8%
Pn 0% 4% 2% 4%
(Pp∪Pn)c 30% 40% 28% 44% 全体 32% 50% 36% 56%
group 8 13 9 14
Pp 6% 8% 4% 6%
Pn 4% 6% 0% 6%
(Pp∪Pn)c 26% 46% 24% 44% 全体 36% 60% 28% 56%
group 10 15
Pp 8% 8%
Pn 2% 6%
(Pp∪Pn)c 28% 54% 全体 38% 68%
全体の無解答率に関しては,問題6,7,8,
9,10を,それぞれ,もう一度具体的に考え させた問題11,12,13,14,15のい ずれの場合においても,増加あるいは大幅な増 加となっている.それは,否定命題をつくれな い層が過半数近くあるいは過半数以上あること を示していると思われる.
5 補足
2006年度(現代)解析学受講生に対して,
2005年度行った調査問題の中から選んだ問 題+アルファーで基礎力試験を行った.今回は,
彼らの基礎学力の変化をみるために,同じ問題 を第1週目(以下αと記す)と最終週(以下ω と 記す)において実施した試験に出題した18.ここ では、両方の試験をうけた受講生23名に絞っ て,かれらの基礎力がどのように変化したのか を報告する.これ以降,受講生23名のそれぞ れに固有番号をつけて 1,2,3,· · ·,22,23 で表 すことにする.
5.1 調査問題
以下の通りである.
1. 「雨が降れば試験をする」とA先生がいっ た.ところがA先生は嘘をついた.A先 生はどういうことをしたのだろうか,それ を書きなさい.
2. 日本人の A 君が「日本人はみんな嘘つき だ」といった.彼の言ったことは本当だろ うか嘘だろうか.それを判定しなさい.
3. 実数には最大値および最小値がないことを 証明せよ.
4. 以下に答えよ.
(a) a, bは実数とする. a, b が異符号 であることを1つの式(等式または不 等式)を用いて表せ.
(b) a, b は実数とする.a, b のうちど ちらかは 0でない数であることを1 つの式(等式または不等式)を用いて 表せ.
18試験問題の解答・解説はしていない.2週目の講義に おいて,αにおける試験の結果が悪かったことは学生に伝 えておいた.
(c) a, bは実数とする.a=1, b=1で あるための必要十分条件を a+b と abを用いて表せ.
(d) 実数の部分集合Aが次の条件をみ たすとき,Aは有界であるという:あ る実数Cを選ぶと,Aのすべての数 aにたいして|a|5C が成り立つ.
このとき,集合A が有界ではない とはどういうことか説明せよ.
(e) 関数f(x)が,次の条件をみたすと き 関数f(x)は恒等的に0であるとい う:すべての実数xに対してf(x) = 0 となる.
このとき,関数 f(x) が恒等的に 0ではないとはどういうことか説明 せよ.
(f) 実数の部分集合Aが次の条件をみ たすとき,Aは最小値をもつという:
A のある実数 m を選ぶと,A のす べての数 a にたいして m 5a が成 り立つ.
このとき,集合Aが最小値をもた ないとはどういうことか説明せよ.
(g) 2次式ax2+bx+c(a6= 0)が次の 条件をみたすとき,2次式ax2+bx+c は実数解をもつと定義する: ある実 数xを選ぶと,ax2+bx+c= 0 が 成り立つ.
このとき,2次式 ax2+bx+c が 実数解をもたないとはどういうこと か説明せよ.
(h) 実数の部分集合 A, B が次の条件 をみたすとき,A > B であると定義 する:a > bがA のどの数aおよび B のどの数bにたいしても成り立つ.
このとき,A > B がなりたたない とはどういうことか説明せよ.
(i) 「ある実数C を選ぶと,Aのすべて の数 aにたいして|a|5C が成り立 つ」の否定命題をみたす部分集合 A が存在することを示せ.
(j) 「すべての実数 x に対して f(x) = 0 となる」の否定命題をみたす関数 f(x) が存在することを示せ.
(k) 「A のある実数 m を選ぶと,A の すべての数 a にたいして m 5 a が 成り立つ」の否定命題をみたす部分 集合 Aが存在することを示せ.
(l)「ある実数xを選ぶと,ax2+bx+c= 0が成り立つ」の否定命題をみたす 2 次式ax2 +bx+c (a6= 0) が存在す ることを示せ.
(m) 「a > b が A のどの数 a および B のどの数 b にたいしても成り立つ」
の否定命題をみたす実数の部分集合 A, B が存在することを示せ.
(n) 何故,0 でない数を 0 で割ることが できないのか,すなわち,任意の数 a6= 0に対して, 何故 a0 が存在しな いのか,その理由を述べよ
5. 以下の命題の真偽を判定せよ.
(a) あらゆる実数 θにたいし sin
(√ 2π 4 cosθ
)
= cos (√
2π 4 sinθ
) である.
(b) ある実数θ にたいし sin
(√ 2π 4 cosθ
)
= cos (√
2π 4 sinθ
) である.
(c) あらゆる実数 θにたいし tan(cosθ) = tan(sinθ) である.
(d) ある実数θ にたいし tan(cosθ) = tan(sinθ) である.
(e) あらゆる実数 θにたいし sin
(√ 2π 4 cosθ
)6= cos(√42π sinθ ) である.
(f) あらゆる実数 θにたいし tan(cosθ)6= tan(sinθ) である.
6. 以下に答えよ.
(a) 「すべての実数x にたいして
−15sinx51 である」の 否定命題を書け.
(b) 「tanx はすべての実数値をとる」
の否定命題を書け.
(c) 「あらゆる実数x にたいして cosx= 0 となる」
の否定命題を書け.
問題#1,問題#3,問題#4(a)〜(n)は20 05年度と,字句の一部の違いを除けば,同じ 問題である.
5.2 分析法
以下では,#1, #4(a),(b),(c), (e)〜(n)と
# 6の解答結果について記すことにしたい.
ωで正解または正解と見なされる解答をした 率を ω1,αで正解または正解と見なされる解答 をした率を α1,ωで誤答または誤答と見なされ る解答をした率を ω2, αで誤答または誤答と見 なされる解答をした率を α2,ωで無解答をした 率を ω3,αで無解答をした率を α3で表すとき,
∆T
α→ω≡ω1−α1, ∆F
α→ω≡α2−ω2, ∆N
α→ω≡α3−ω3
を順に,それぞれ,基礎力 up 度,向上度,停 滞度と定義する19.これらには,
∆T
α→ω=
∆F
α→ω+ ∆N
α→ω
の関係があり,
−100≤ ∆T
α→ω≤100,
−100≤ ∆F
α→ω≤100,−100≤ ∆N
α→ω≤100 である.
∆F
α→ω=a, ∆N
α→ω=b とすると,
(i) a >0, b >0の場合.a%の人が誤答から,
そして b %の人が無解答から脱した結果 新たに正解に達した人が a+b %増えた.
(ii) a >0, b <0の場合.
(1) a+b >0の場合.a%の人が誤答か ら脱した結果新たに正解に達した人 が a+b %増えた.しかし,無解答 者が −b%増えた.
(2) a+b <0 の場合.誤答者が a %増 え,無解答者が−b%増えた結果正解 に達しなかった人が新たに −(a+b)
%増えた.
(iii) a <0, b >0の場合.
(1) a+b >0 の場合.b %の人が無解答 から脱した結果新たに正解に達した 人が a+b %増えた.しかし,誤答 者が −a%増えた.
19(α1−100)2+(ω1−100)2+(α2−100)2+(ω2−100)26= 0の場合に限る.
(2) a+b < 0 の場合.無解答が b %増 え,誤答者が −a %増えた結果正解 に達しなかった人が 新たに−(a+b)
%増えた.
(iv) a < 0, b < 0 の場合.誤答者が −a %増 え,無解答が−b%増えた結果正解に達し なかった人が新たに −(a+b) %増えた.
ことを意味する.我々は,a+bの値が正数であ るときに,教育的効果があったと判断し,その 値が負数であるときには,教育的効果はなかっ たと判断する.
5.3 #1
4.1.1節と同じ意味の記号T, F1, F2, F3, F4
を用いる.
5.3.1 解答変化
簡単のため F1 = 1, F2 = 2, F3 = 3, F4 = 4, 無解答=nと表せば,各受講生は以下のように 解答した.但し,各表の第2行目はα,第3行 目はωにおける解答を示す.
1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 1 4 3 4 1 1 4 n
2 3 2 3 3 1 1 4 3
10 11 12 13 14 15 16 17 18
2 4 1 2 3 1 2 1 1
2 4 2 2 2 1 2 1 T
19 20 21 22 23
4 1 1 1 1
4 n 1 T T
5.3.2 分布表
週 T 型 F1型 F2型 α 0(0%) 12(52.2%) 3(13.0%) ω 3(13.0%) 5(21.7%) 7(30.4%)
週 F3型 F4型 無解答 α 2(8.7%) 5(21.7%) 1(4.3%) ω 4(17.4%) 3(13.0%) 1(4.3%)
5.3.3 考察
∆T
α→ω= 13.0%, ∆F
α→ω= 13.0%,∆N
α→ω= 0% である.この問題の結果で見る限り,教育的効 果はあった.
5.4 #4(a)〜(n)
この節では,記号1, 0, nは,1:正解または 正解とみなしたもの,0:誤答または誤答とみな したもの,n:無解答 を表すことにする.以下 における受講生の解答は正・誤の判定をした結 果で記してある.