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問いへの答え

ドキュメント内 修論本文_Final_2014Dec9 (ページ 76-79)

5 まとめと考察

 この章では、まず、4章で得られた結果をまとめながら、1章で示した本研究の問 いに答える。次に、結果に対する考察を述べる。次に、1章で示した学習者の質問に 対し、結果と考察をもとに意見を述べる。次に、本研究の日本語教育への応用につ いて述べる。最後に、今後の課題を述べる。

5.1.2 〈問い2〉への答え ̶ 自己PRの対象

 〈問い2〉は、「自己PRの対象」はどのような対象かであった。データを文単位で 次の7つの「自己PRの対象」に分類して傾向を述べた。 1. 性格、2. 主観的能力、3. 

客観的能力、4. 考え方、5. 行動、6. 複合、7. なし、である。得られた傾向を下に 示す。

〈傾向3〉  「自己PRの対象」の出現傾向は、T、Jデータ間で異なっていた。Tデ ータは、行動 29.3%>主観的能力 15.7%>考え方 14.5%、であった。

一方Jデータは、考え方 27.1%>行動 19.4%>主観的能力 6.3%・客 観的能力 6.3%であった。

〈傾向4〉  出現割合の差が大きかった「自己PRの対象」は、「主観的能力」と「考 え方」であった。Tデータでは「主観的能力」がJデータの約2.5倍現 れた。Jデータでは「考え方」がTデータの約2倍現れた。

 本研究の仮説は、高い頻度で現れる「自己PRの話題」はタイ人学習者と日本人大 学生とでは異なる、というものであった。上の傾向から、本研究の仮説は支持され た。T、J間で「自己PRの対象」の出現傾向が異なった要因は5.2.1項で考察する。

5.1.3 〈問い3〉への答え ̶ 多用された語

 〈問い3〉は、「多用された語」はどのようなものかであった。データから多用さ れた名詞、動詞、イ・ナ形容詞を選んで傾向を述べた。本研究では、約2割以上の人

(約5人に1人以上)に用いられた語を「多用された語」と定めた。また、T、Jデ ータ間で使用者割合の差が約3倍ある語を「特徴的に現れた語」と定めた。得られた 傾向を下に示す。

〈傾向5〉  多用された語は、約半数がT、Jデータ間で共通していなかった。多用 された語の数は、Tデータでは36語であった(名詞21語、動詞12語、

イ・ナ形容詞3語)。このうちTデータだけで多用された語は18語であっ た。一方、Jデータで多用された語は39語であった(名詞25語、動詞 12語、イ・ナ形容詞2語)。このうちJデータだけで多用された語は21 語であった。

〈傾向6〉  Tデータで特徴的に現れた語は15語で、「経験/日本(語・人)/高校

/自信/時間/責任(感)/留学/タイ語/我慢/分かる/行く/任さ れる・任せてもらう/入る/いろいろ/さまざま」であった。一方、J

データは13語で、「結果/達成/行動/相手/成長/企業/目標/ゼミ

/友人/考える/学ぶ/得る/感じる」であった。

〈傾向7〉  各「多用された語」を含む文の最多「自己PRの対象」の出現傾向は、

データ全体の「自己PRの対象」の出現傾向とほぼ一致していた。

 本研究の仮説は、「多用される語」はタイ人学習者と日本人大学生とでは異なる、

というものであった。上の傾向から、本研究の仮説は支持された。Tデータで特定 の語が多用された要因は5.2.2項、5.2.3項で考察する。

5.1.4 〈問い4〉への答え ̶ 可能表現の使われ方

 〈問い4〉は、「可能表現の使われ方」はどのようなものかであった。データから 可能表現を選び、次の2つの「可能の意味」に分類して傾向を述べた。1. 実現した こと(実現系)、2. 潜在的に可能なこと(潜在系)、である。得られた傾向を下に示 す。

〈傾向8〉  可能表現の出現回数は、Jデータの方が多く、Tデータの約1.3倍現れ た。しかし意味別で見ると、潜在的に可能という意味(潜在系)はTデ ータの方が多く、Jデータの約2倍現れた。一方、実現したという意味

(実現系)はJデータの方が多く、Tデータの約2倍現れた。また実現 系は、Tデータでは潜在系の約1.4倍現れたのに対し、Jデータでは約 4.5倍現れた。

〈傾向9〉  形式「動詞連体形+ことができる」の潜在系はTデータで多かった。J データではほとんど現れないないが(2万字換算で1.3回)、Tデータで は実現系に対して約半分現れた(同9.5回)。

〈傾向10〉 可能表現を含む文の「自己PRの対象」は、Tデータでは主に「主観的 能力」であった。一方、Jデータでは主に「考え方」であった。

〈傾向11〉 形式「動詞連体形+ことができる」が多く現れた「自己PRの対象」

は、Tデータでは、可能の意味が潜在系の「主観的能力」であり、10 例あった。一方、Jデータでは、実現系「客観的能力」10例、および 実現系「考え方」9例であった。

〈傾向12〉 形式「動詞連体形+ことができる」の文末について、Tデータは、「自 己PRの対象」が「主観的能力」であった14例のうち9例で、表現「…こ とができます」または「…ことができるようになりました」が現れた。

そして潜在的に可能なことを表していた。一方、Jデータは、「自己PR の対象」が「考え方」であった9例のうち7例で、表現「…ことができ ることを学びました/を知りました/と考えています」または「…こと ができました」が現れた。そして一回的な動作の実現を表していた。

 本研究の仮説は、タイ人学習者は日本人大学生に比べて可能表現を多く用いる、

というものであった。上の傾向から、本研究の仮説は支持されなかった。

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