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主
1 8 6 6 年以降インドの観測点について平均した年降水量の長期間時系列(曲線A)
。2‑3 年周期を除いては有意な周期性はなしはっきりした傾向もない(曲線 B.
C)
01931‑1960 年の期間は他の期聞に比べ非常に湿潤であった( 62)
。第
15図
/
は人間文化で容易に克服され得る。しかし,人類にとって気候による天罰では一番と言われてきた ものは干ばつ,すなわち数か月あるいは数か年にわたって降水量が通常の量に比べて不足している 乙とである。とれは最も進歩した国ですら現在なお適用している事柄で,との事実から除かれるの は世界のほんのわずかの部分でしかない。
上に概略説明したように,干ばつは乾燥あるいは半乾燥気候の地域と同様に降雨量が一般に少な い地域では特 iζ共通している現象であるが,一方では干ばつはどとの地域でも起乙り得るというと とである。経済的観点から最も重要とみられる干ばつは農業を経済基盤とする地域に対して最大の 影響を与えるものである。例えば,
1 9 3 0
年代と1950
年代の干ばつは北米の小麦作付け地域に大き な被害を与えた。オーストラリアの乾燥田園地得でたびたび起きた干ばつもやはり同じ状況を呈し た。乙れらは食糧輸出固に打撃を与えた大事件であった。一方,普通は大部分の食糧を自給自足し ている自給農業地域に干ばつがあると,それもまた大きな影響を与える。サヘルの干ばつはとの性 質を備えたものであり,同様な干ばつが過去にインドや中国の人口減少を招いている(44 )。1970
年代に入ってからは, 気候が経済 iζ突然与えた衝撃のうちで干ばつは最大の立役者であっ た。ソビエト連邦の穀倉地帯は数回も悪影響を被ったし,中国でも同じであった。一方,北米は相 当長い期間厳しい干ばつに見舞われたととがなく,穀物が目ざましく増産された。しかし,1970
年代になってからは時として良い年もあったが,再び干ばつがやってきた。オーストラリアでは入 れ替わり型で,ある地域では厳しい干ばつであり,一方他の地域では記録的な降雨であったりした。1975‑76
年に北西ヨーロッバを襲った干ばつは局地的には過去300
年に類を見ないものであった。との時は降雨量は多かったが,短くて終った。
1 9 7 2
年北部インドのほとんどの地域に干ばつが広 まったが,今世紀初頭の 10年間に見られたほどの高い発生率までには及ばなかった(45 )。記録が不完全であると当然ではあるが とれら最近の現象について事柄を的確に述べるととが出 来ない。ほとんどの解析では次のような見解を表明する傾向が強い。すなわち,
1970
年代の干ば つは猛烈ではあったが,以前にも経験したととがあるという点から言うならば,気候的には並であ り,恐らく将来再び起きるζとも考えられる。しかし,期間,激しさ,範囲のどれをとっても以前 と同程度か越えるものである。何が新しい事態かというならば,人口増加に伴い質量共に高くなっ てきている世界の食糧需給 K干ばつが打撃を加えているという乙とである。食糧の需給K影響を及 ぼすような干ばつは情報伝達手段の進歩により以前に比べてはるかに早く別の所に知られるように なってきている。干ばつの衝撃を和らげるために何かをしなければならない,またそれはききんが 避けられると判断出来るのか,あるいは大地の破壊が避けられると判断されるのか,などいろいろ の立場を素早くとるととが可能になってくる。とれらに加えて人工降雨への努力あるいは干ばつを 予見するための方策が広められるようになるであろう。雨や雪の降り過ぎもまた,土地の浸食, ζう7
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穀物被害,ダムや交通機関の破壊など重大な経.済的被害を与えるζとがある。だが,最近とのような豪雨の頻度が増加してきたという証拠資料は
、 〆
ない。しかし
1 9 7 0
年代は何か著しい極値が出現してきている。1 9 7 2
年に干ばつが最高潮に達し た後,クイーンズランドでは連続三季節にわたって異常降雨があり,中部オーストラリアにある普 通は乾いているエーア湖で過去I
万年の間到達した乙とのない水準面にまで水面を上昇させた例が ある。長びく干ばつや過多の降雨量は大気大循環の異常性からきている。例えば,基本的には中緯度低気 気圧あるいは西アフリカの不安定線のような降水現象を起とさせるじょう乱がないとか,活動が弱 いなどの理由による。とのような異常性は周期的に起ζる,例えばアメリカ西部や大平原地方では
2 0
年ごとに再発すると言われている。しかし記録を丹念に調べた結果では,との見解を確認出来 るようなものはなかった。同様に夏のモンスーンによる雨量記録を労をいとわず調べてみると( 6 2 ).
真に周期性(第
1 5
図参照)と言われるほどのものは見付け出せない。しかし,厳しい干ばつ現象の 起とる頻度が減少しているという事実は認められた( 4 4 . )
。知り得る限りでは,大雨期や大干ばつ はある厳密な周期で起きているのではなし何か特有な再現期聞を持っているらしい。6 . 5
サヘル地方の干ばつ1968‑73
年に起きたサヘル地方の干ばつほど他のいかなる出来事にもまして気候の変動性とい うものが実在し,それが人聞にとってどんな重大さを持っているのかについて広く一般の注意を呼 び起とさせたものはなかった。1 9 6 0
年代以前からサヘル地方の六共和国では雨量が次第に減少し てきて.1968‑73
年の期聞に干ばつ現象が持つ非情過酷な影響は最高潮に達した。そのため羊,牛の群れは飢死させられ,数知れない牧農者や耕作者が死亡し,土地や自然生育の植物,特に苗木 lと大きな被害を出した。 ζの現象は同時にエチオピア,ソマリア,タンザニア,ケニヤへと広がっ ていった
( 4 6 )
01974‑75
年には若干の地方で雨はあったが,大部分の地域では依然干ばつは続き,1 9 7 7
年には西アフリカを再び襲った。とれらアフリカ諸国ζ与えた経済的, l
社会的彰響は全く徹底 的なものであった。乙の干ばつは必然的にある一連の問題を持ち出させる機会を与えるとととなっ た。干ばつを起とさせる作用は長続きするものなのか?多量の雨は再び降るようになるだろうか?荒廃した土地を再び使用すべきであろうか?あるいは,人口を新しい場所に移動させ,被害のあっ た土地を使用しないよう計画を立てるべきであろうか?降水現象の促進,あるいは土地利用の変更 など気候を良い方向へ回復させるのに役立つ方策があるのだろうか
o ?
1 9 7 7
年砂漠化に関する国連会議で,とれらの疑問に解答を与えるように計画が練られた。乙れ に伴って大掛かりな気候学的研究が着手されつつあり,その結果が解答を導き出す手掛かりに役立 っと期待されている。そ乙で,次の諸点について一致がみられている。
(al サヘルの大部分に影響を於ぼした
1 9 6 8
ー7 3
年の干ばつでは乾燥が最高潮に達したのは1 9 5 0
年代末から1 9 6 0
年代初めにまでさかのぼった時期である。( b l
サヘルの干ばつは長期・猛烈・広大という特徴を持っていたにもかかわらず,予見されなか、 丸
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'110第 16図 1907
年以後サヘル地域にある一群の観測所について平均し た年降水量の変動と長期傾向(1 5
)。った(第
1 6
図)。同様な干ばつは1 9 1
昨代初めから1 9 2
昨代末にかけて,また1 9 4 0年代に長期
間ザヘルで経験されていた(15 )。
ζのように繰り返えされてはきたが,現象それ自身の中に 内包されている特定の時間間隔があって,それに基づいて再現しているというようなととでは ないと思われる。( c )
干ばつが続いている間,大量の家畜を飼育し続けたり,あるいは乾燥した土地を耕作し続け たりして,結局その土地では人間や動物の集団を養うことが出来なくさせてしまう。とのよう な乙とから砂漠化が連鎖的に進行していった(すなわち非生産的土地状態の拡大)。その後の 研究で次のような結果が得られている。干ばつそれ自身は大循環の異常が長く続いたととに起 因するが,とれは単に亜熱帯高圧帯の南偏によるというだけの理由でなく,もっと全般的な大 循環の様相に根ざしている(4
7)。との干ばつは水蒸気の不足によるというような単純なもの ではない。事実,干ばつの起きた土地の高さでは高気圧帯は通常の位置よりも少し北寄りで,しかも降水可能な水蒸気量は平年以上であった
( 4 8 )
。それでは何が水蒸気を水滴化させなか ったのか?との地方では時に雨を降らせる原因は普通にはじょう乱系である。先の疑問に対す る解答の主役は正にζのじょう乱という訳であった。砂漠化が進行して植物が消失していくと,アルピドー(太陽放射の反射率)は大きくなるであろ う。 ζれに相当する高いアルピドーが組み込まれている大循環の力学モデルを走らせると次の結果
が出てくる。砂漠地域上では空気の下降が増大するようになり,順次干ばつ傾向が強くなっていく,
つまり正のフィードパック効果として作用するようになる
( 4 9
,50)
。乙の数値実験が示した点,言 い換えると降水現象を発達し続けさせるために供給出来る水分の量は局所的には限界があるという 点で,一度干ばつが起きると丁度干ばつが干ばつを生み出していくというととになってしまうだろ う。事実,中期完新世代以来亜熱帯に位置する準乾燥地域で乾燥化が進行しているのは広大な範囲 にわたって上述のゆっくりとした砂漠化作用の表れであろうと指摘されている。サヘル地域の降水量に関し時系列の統計解析をした結果では, ランダムとみられる程度以上の有 意水準で干ばつそのものに長期化する傾向が示されている。 ζれは先に注目した持続性,すなわち 大気の記憶力(紹介者注:大気が以前に記録した事柄をどの程度思い出し,再現する能力があるか) の問題である。同様に持続性の問題では異常降雨が世界の多くの地域に影響を与えている。干ばつ
にしろ,異常降雨にしろ,その強さと共に持続期間も経済i
ζ
及ぼす影響という点では非常に重要で あろう。それにもかかわらず,入手可能な限りの証拠資料では次の見方を裏付けている。激烈で被 害の多く出たサヘルの干ばつは気候の変動性の部類lζ
属し,その後もずっと乾燥状態へと移行し続 けるというような真の変動を表すものではなかった。今までのとζろ上述の見解を否定するに足る 十分確定な考えは出ていない。第2
節で述べたように,近来われわれ人類の経済に衝撃を与えた気 候状態は永続的な変化というよりはむしろ変動性に基づくものであるとしてよい。たとえ現在の気 候が永久に続くと確言出来るとしても,最近アフリカ諸国が直面した苦難に類する事件に十分対処し得る準備を整えておく乙とは今なお必要であろう。
6 . 6
強制力による異常今まで議論してきた変動性はほとんど気候系に本来備わっている内部自然発生的な種類のもので あった。乙れはわれわれがそう信じているととかも知れない。それはさておき,変動の時間スケー ルが非常に長い場合に限って話すととにして,外的作用で強制されて起とる気候異常があるにちが
¥
/
いないと言い得る明白な証拠が残されている。外力の強制作用による変動を示す最新の記録には .... つの特徴がみられる。
その記録の中で最もはっきりしているものは過去一世紀の聞に都市の気温が上昇してきたととで,
とれはいろいろの面で重要な意味を含んでいる。その大部分は動力消費に伴うエネルギー放出およ び住居,車,工場での熱放出が原因となっている。乙れらの作用は明白な事実であり,明らかに強 制となり得るものである。さらに 都市から出る直接的熱放射や粒子による間接的放射効果は小規 模スケールの降水現象に影響しているととが認められている。とのような気候への強制作用はスケ ールという観点から言えば,地球的規模というよりは極めて狭い範囲の局所的あるいは地域的現象 と言える。
気候の平衡状態を大きく乱す潜在力があって,その乱れが広く行きわたり,かつ明りように現れ るものに大爆発する火山噴火の作用がある。