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 簡易モニターで

SDB

をスクリーニングに診断すると きには,低めの判定基準(例えば3%

ODI

)で多数の疑 わしい病態を検出すべきであるが,一方,専門施設で標 準睡眠ポリグラフ検査(

PSG

)の最終診断が行われる場 合には,より厳格な判定(基準)が望まれる.しかし,

無呼吸(

apnea

)や低呼吸(

hypopnea

)などの呼吸イベ ントの判定には難解なケースがしばしばみられ,米国で もここ10年間のうちに3回の変遷があった.最初の基 準は

AASM

のシカゴクライテリア1と呼ばれて1999年 に発表され,次の改訂基準はメディケアクライテリア2 とも呼ばれ,前者は

research definition

,後者は

clinical definition

と み な さ れ て き た が, 最 新 の 改 訂 基 準 は,

AASM

が2007年に提唱したスコアリングルール(

AASM

マニュアル2007)4に付随したものである.

 以下に

AASM

マニュアル2007の呼吸イベント判定の 推奨ルール(

recommended

)と代替ルール(

alternative

) について述べるが,循環器領域における心機能をも巻き 込んだ複雑な呼吸イベントの判定は,現在の標準睡眠ポ リグラフ検査(

PSG

)のみでは限界があり,さらに専門 医療機関では夜間の連続

CO

2モニターや非侵襲的な胸腔

内圧(食道内圧)モニターの開発を待たねば十分に解決 ができない問題点が残されていることも理解すべきであ ろう.

① 呼吸イベントの基準

 循環器領域で遭遇する睡眠呼吸障害患者の年齢の範囲 は,ほとんどが成人の範囲に入ると考えてよいと考えら れるため,呼吸イベントの判定は,2007年の

AASM

の 成人の呼吸障害のルールに準拠してよいと考える.

1)技術的留意点(推奨)

(1)無呼吸は口鼻の温度センサーによる気流の消失で評 価.

(2)低呼吸は鼻の圧センサーで評価.

(3)呼吸努力の検出には,食道内圧かインダクタンスプ レチスモグラフセンサーを用いる.

(4)血中酸素の検出にはパルスオキシメータを用い,移 動平均時間は最長でも3秒の設定で用いることが望 ましい.

(*注:推奨センサーの信頼性がないときは,他のセ ンサーで代用できる.呼吸努力は横隔膜や肋間筋の筋 電図で代用.圧センサーは50%以下の振幅低下を評 価する場合は,平方根で変換した方が正しい.)

表 13  チ ェ ー ン ス ト ー ク ス 呼 吸 パ タ ー ン(Cheyne-Stokes breathing Pattern:CSR)の診断基準6)

A. 睡眠ポリグラフ検査で,睡眠1時間当たり少なくとも10 回以上中枢性無呼吸と低呼吸が認められ,その際,低呼 吸の1回換気量は漸増漸減パターンをとり,睡眠からの 頻回な覚醒と睡眠構築の乱れが随伴する

(注:この診断をするのに症状は必須ではないが,患者が,

日中の強い眠気,睡眠中頻回の覚醒・完全覚醒,不眠の 訴え,または呼吸困難による覚醒を訴えることは多い)

B. 心不全,脳卒中,腎疾患など重傷度の高い身体疾患に随 伴して呼吸障害が生じる

C. 障害が,他の現行の睡眠障害,身体疾患や神経疾患,薬剤,

または他の物質使用で説明できない

表 12  成人の中枢性睡眠時無呼吸(Central Sleep Apnea:

CSA)の診断基準6)

A.患者が以下の少なくとも1つを報告する

ⅰ.日中の強い眠気

ⅱ.睡眠中の頻回の中途覚醒・完全覚醒・または不眠の訴 え

ⅲ.呼吸困難による完全覚醒

B.睡眠ポリグラフ検査で睡眠1時間につき5回以上中枢性無

呼吸が確認される

C.障害が,他の現行の睡眠障害,身体疾患や神経疾患,薬剤,

または他の物質使用で説明できない 表 11  成人の閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)に関する ICSD-2

診断基準6)

AとBとD,またはCとDで基準が満たされる

A.以下のうち少なくとも1つ以上が該当する

ⅰ.患者が,覚醒中に不意に眠り込むこと,日中の眠気,

爽快感のない睡眠,疲労感,または不眠を訴える

ⅱ.患者が,呼吸停止,喘ぎ,または窒息感で覚醒する.

ⅲ.ベッドパートナーが,患者の睡眠中の大きないびき,

呼吸中断,またはその両方を報告する

B.PSG記録で以下のものが認められる

ⅰ.睡眠1時間当たり5回以上の呼吸イベント(無呼吸,

低 呼 吸, ま た は 呼 吸 努 力 関 連 覚 醒respiratory effort-related arousal:RERA)

ⅱ.各呼吸イベントのすべて,または一部における呼吸努 力のエビデンス(RERAは,食道内圧測定で認めるの が最も好ましい)

または

C.PSG記録で以下のものが認められる

ⅰ.睡眠1時間当たり15回以上の呼吸イベント(無呼吸,

低呼吸,またはRERA)

ⅱ.各呼吸イベントのすべて,または一部における呼吸努 力のエビデンス(RERAは,食道内圧測定で認めるの が最も好ましい)

D.異常が,他の現行の睡眠障害,身体疾患や神経疾患,薬物,

または他の物質使用で説明できない.

※ な お, 循 環 器 疾 患 のSDBで はOSAS以 外 に, 特 異 的 に CSAS,CSR,ならびにComplex SAS(複合性SAS:後記 参照)の合併が高頻度であるため,表12,13には成人の CSASとCSRに関するICSD-26)の診断基準を示す

2)イベント時間ルール(推奨)

(1)無呼吸,低呼吸の判定では,イベント区間は明らか に減少した最初の呼吸の底から,ほぼ基準値振幅に 戻った最初の呼吸の開始時までをとる(図26の横 線).

(2)基準値の呼吸振幅が簡単に決定できない場合(基礎

呼吸のばらつきが大きい),明らかに呼吸振幅の増加 が持続しているか,低酸素が起こっている場合には,

最低2%の酸素飽和度の改善を伴うときにはイベン トの終了と判断してよい.

図 24 いびきなどの症状のある循環器疾患患者での睡眠呼吸障害(SDB)診断アルゴリズム 周囲からの強いいびきや無呼吸の指摘

AHI<5

(+)

(−)

SDBがないか軽症 その他の睡眠障害の項目へ SHVSなど OSAS CSAS Cheyne-Stokes呼吸 AHI≧5

SDB随伴症状:EDSもしくは,睡眠中の窒息感やあえぎ,繰り返す覚醒,起床時の爽快感欠如,

日中の疲労感,集中力欠如のうち2つ以上を認める

AHIまたは3%ODIが5未満 かつESS<11

SOREMp,PLMS,RWA,PBDなど

その他の睡眠障害 SpO2<90%が

5分以上持続 漸増漸減呼吸パター

ンが10分以上持続 閉塞性が

50%以上 中枢性が

50%以上 AHIまたは3%ODIが5未満だが

SpO2<90%が5分以上持続 AHIまたは3%ODIが5以上 またはESS≧11 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)測定装置または簡易無呼吸診断装置による検査とEpworth sleepiness scale(ESS)

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)

図 25 いびきなどの症状のない循環器疾患患者での睡眠呼吸障害(SDB)診断アルゴリズム

AHI<5

(+)

(−)

SDBがないか軽症 その他の睡眠障害の項目へ SHVSなど OSA CSA Cheyne-Stokes呼吸 AHI≧5

治療抵抗性の高血圧,早朝高血圧,慢性心不全,心房細動,脳血管障害,腎不全など,睡眠呼吸障害の合併が強く疑われる患者

AHIまたは3%ODIが5未満 かつESS<11

SOREMp,PLMS,RWA,PBDなど

その他の睡眠障害 SpO2<90%が

5分以上持続 漸増漸減呼吸パター

ンが10分以上持続 閉塞性が50%以上 中枢性が

50%以上 AHIまたは3%ODIが5未満だが

SpO2<90%が5分以上持続 AHIまたは3%ODIが5以上

15未満およびESS<11 AHIまたは3%ODIが15以上 またはESS≧11 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)測定装置または簡易無呼吸診断装置による検査とEpworth sleepiness scale(ESS)

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)

3)無呼吸の判定(推奨)

① 判定基準

 以下のすべての基準を満たしたときに無呼吸と判定す る.

(1)温度センサーの最大振幅が基準値の90%以上の低 下.

(2)イベントの持続時間が最低10秒以上であること.

(3)イベントの最低90%以上が無呼吸の振幅基準を満た すこと*注

(*注:無呼吸の検出には酸素飽和度低下の基準は必 要としない.)

② 呼吸努力に基づいた成人での無呼吸分類

(1)無呼吸の基準に合致し,気流のない時間すべてに持 続性あるいは増加した吸気努力を伴っている場合,

呼吸イベントは「閉塞タイプ」と判定する.

(2)無呼吸の基準に合致し,気流のない時間すべてに吸 気努力の消失を伴っている場合,呼吸イベントは「中 枢タイプ」と判定する.

(3)無呼吸の基準に合致し,イベントの初期に吸気努力 の消失を伴い,その後に吸気努力の再開が伴ってい る場合,呼吸イベントは「混合タイプ」と判定する.

4)低呼吸の判定

 低呼吸の判定には,推奨のものと代替のものの2種類 の基準がある.どちらの基準で判定したかを記載するこ と.

① 判定基準(推奨)

 以下のすべての基準を満たした場合に低呼吸と判定す る.

(1)鼻圧センサー(あるいは他の代替低呼吸センサー)

の振幅が基準の30%以上低下.

(2)低下の時間が最低10秒以上.

(3)イベント前の酸素飽和度から4%以上の低下.

(4)イベント時間中,最低90%以上は低呼吸の振幅低下 基準を満たす.

② 判定基準(代替)

 以下のすべての基準を満たした場合に低呼吸と判定す る.

(1)鼻圧センサー(あるいは他の代替低呼吸センサー)

の振幅が基準の50%以上低下.

(2)低下の時間が最低10秒以上.

(3)イベント前の酸素飽和度から3%以上の低下あるい は(微小)覚醒を伴う.

(4)イベント時間中,最低90%以上は低呼吸の振幅低下 基準を満たす.

5)呼吸努力関連覚醒反応ルール──呼吸努力関連覚醒 反応(RERA)の判定(オプション)

(1)無呼吸や低呼吸の基準を満たさない,吸気努力の増 加あるいは鼻圧波形の平定化を伴った,最低10秒以 上持続するいくつかの呼吸が睡眠からの覚醒反応を 伴った場合*注

(*注:

RERA

の判定に関して,呼吸努力の変化を評 図 26 呼吸イベントの時間ルール

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