第 4 章 当事者と家族
4.3. 当事者らの自己呈示
4.3.2. 周囲の反応
では、この当事者らの自己開示に対して、周囲の人々からはどのような反応を受け取る傾 向にあったのだろうか。当事者ら発言から、自己開示に対して、周囲からの反応には、①無 関心傾向、②困惑傾向の2パターン存在していたことが明らかになった。
4.3.2.1. 無関心傾向の遭遇
当事者のうち、2名は、相互行為において周囲から特に特有の反応を示されたことがない と述べた。彼らは、家族について話す機会がないという点と周囲の反応に対して、そもそも 家族構成に興味はないとする考え方が共通して現れていた。
S:んーなんかそこまで、「あ、聞いてごめんね」みたいなことにはならないし。
「あーそうなんだー」みたいのが多かった気がする。そんな話したことないしね。
*:まず話題にあがらない?
S:そそそ。まず話題にならないからね。別に相手の家庭環境なんて正直興味ない からねみんなハハ、と思う。
J:うーん、実際に話したことないから(・・・)まだわからないんだよね。
*:そもそも話さない理由は?
J:話す機会がないからかな(・・)あ、でも話したことあるなフフ、「えぇ?」っ
て驚かれただけだね。でも。
*:驚かれただけ?
42
J:そう。「いがーい」って方フフフ。別に興味なしってねハハハハ。
4.3.2.2. 困惑傾向の遭遇
一方で、当事者の6名中4名は、自己開示によって周囲から困惑傾向を示されたと発言 した。ただ、彼らが周囲から困惑傾向を示された際に思うことは、共通して「何も感じない、
思わない」であった。
A:いや、まぁ困られたことはある、あのー、「いやうち父親いないから」って言 った時に「え、あー、うーーーん((困惑気味の声真似))」みたいなハハハ、別に 何も、何も感じないけどねフフ。
K:反応はー、なんかでもやっぱり大体は「え、大変だね」みたいな、ま、大変っ ていうかあんまり個人的には大変じゃないんですけどフフ。多分なんか普通の皆 にとっての離婚のイメージってなんか大変でーみたいな、辛くてーみたいなフフ って感じなんだろうなって感じなんで、ま、結構皆、「え、深刻っ」みたいな「え、
シリアスな話っ」みたいな感じになりがちなのかなーって感じですねハハハハ。
T:まー、「あ、まじか」、みたいな、なんか「仲わりぃんか」みたいな、「いや全
然?」みたいなフフフ、のはあるけど。
*:その時の気持ちは?
T:「ま、そうだよなー」ぐらい、うん。寧ろ「まじ?うちもなんだよー」みたいな ことはあったけどフフ(笑)。そういうパターンもあったけど、んー、まあ困るっ てほどー、困ってるわけではないー、かもしんないけど、ま、「なんかごめーん」
みたいな。そんなに、そんなにおもーくるしい雰囲気になったことはないけど。
「あ、ごめーん」つって。まぁ俺の方もね、「全然全然」ってそういうのだったか ら。そういう空気も横ふく風((耳の横を指さし、流れていくことを表現))でその まんまスッと現われたと思ったらスーッとフフフフ、流れるハハ(笑)
43
Y: その時の反応次第だったけどやっぱり、「あ、ごめんね」っていう雰囲気はわ かる。伝わってる。
*:そのときの気持ちは?
Y:えー、うーん(・・)いや、別にハハなんとも思わないかな。仕方ないよなー って感じ。
一方で、当事者の中には、これらの周囲の反応よりも、周囲の意識に違和感を覚えること があるという発言をする者たちがいた。彼らは、周囲に呈示していないことを勘繰られる感 覚が違和感だとしていた。
A:んー(・・・)んまぁ、そうだね。あのー、離婚とかは気にしてはないと思う んだよね。ただあの「うち父親いないんだよね」て言った時に、最初ーみんな多分 思ってるのは、なんか、なんかで死んだ、そーゆー悲しいことがあったって、なの かなってことを思うかな、相手は。「あーもしかしたらそれ俺の親死んだとか思っ てない?普通に離婚だからアハハ」みたいな感じ。
K:まなんか多分(・・)個人、自分は感じてないけどーなんか周りからのイメー ジがちょっと変わるのかな?自分に対するなんか脳天気なやつだと思ってたけど 闇を抱えているのかもしれないみたいなフフ。多分そういうイメージ、が、なんか ちょっと抱かれがちなのかもしれないからそういう面はデメリットなのかなーっ て思う。実際とは違うのにーって。
Y:気を使わせるっていう懸念があること、実際そうなるかはわからないけど、勝 手にこっちがそう思ってるだけかもしれないけども、そう思う、こと、かな。寧ろ 変に勘繰られる。死んだの?みたいなフフ、その方がよっぽど嫌だよね。いや違い ますよ?ってハハハハ(笑)カミングアウトするよりも難しい。
44