画家の魂・パレットとその作品―ピカソ・ダリから近代日本の巨匠まで―
展示は外国人作家 6 名を含む計 50 名のパレットと、各作家 1 点(一部小品の場合は 2 点)の作品 を併置し、パレット上の色遣いと実際の作品の対比などを通じて、作家の創作の真髄に触れていただ
くことを目的とした。展示冒頭には林武・梅原龍三郎の画材を参考に展示し、外国作家は 1 階展示室 中央に別建てとして展示を行った。
○観覧者の傾向と反応
観覧者総数は 6,544 人で、大人 6,148 人中の有料観覧者は 1,831 人(約 29.8%)であった。中学生 以下は 396 人(約 6.1%)であった。年初の閑散期を考慮すれば、入館状況は比較的良好であったと いえよう。全体には朝日新聞の鑑賞券(販売店での販促用招待券)や利用市内を中心とした招待券利 用者が多かったことがうかがわれ、有料率は低めとなった。子どもの来館者は少なく、内容的に大人 向きの展覧会だったともいえる。
アンケート結果(回収枚数 367 枚、回収枚数 5.6%)によると、年齢構成では 40 代以上が 7 割以上 を占め、概して来館者の年齢層は高い。男女比では女性が約 6 割と多いが、展示室では熟年夫婦が連 れ立って観覧されている光景をよく見掛けた。
そのほかアンケートをみると、来館回数では、初めての来館者は 25%強とそこそこ見られ、本展覧 会を目的に来館された方が一定数あったことがうかがわれる。「他の巡回先の情報を知っており、近 隣でそれが開催されたので見に来た」という方もおられた。
来館者の反応は概して好評で、複数回にわたり来館され「友人にも勧めたい」という感想をいただ
くことも少なからずあった。ある年齢層以上で日本近代洋画に造詣のある方々、あるいは自身で絵を
描かれる方々には特に好印象を受けていただいたようである。アンケートでも「興味・関心を持ったか」
の問いに「はい」の回答が多く寄せられている。当館では少ない、有名作家を含む比較的オーソドッ クスな作品が多い展覧会だったことも、熟年層以上の美術ファンに好評を得た理由かと思われる。「関 心のある分野」についても洋画・日本画をあげられる方が多く、瓦ややきもの、絵本展、あるいはア ールブリュットや平和系の展覧会への来館者とは志向の違いがうかがわれる。
○関連行事等について
今回のパレットおよび作品は、日動画廊によって収集されたものである。関連行事として、同画廊 の社長であり笠間日動美術館長の長谷川德七氏と、同副社長・同副館長である長谷川智恵子両氏によ る講演会を開催した。お二人が直接交流のあった諸作家についてのさまざまな思い出やご経験をお話 しいただき、画家のありのままの姿を知る良い機会となり、会場が満員となる盛況となった
ワークショップとしては、イラストレーターの Michiyo さんによる「バレンタインに贈るかわいい マスコットをつくっちゃおう!」という創作系のワークショップと、テルミンの音楽ワークショップ、
恒例のちいさなワークショップでは「自分の旗・世界の旗をつくろう」を開催した。マスコットづく りは小学校高学年以上、「バレンタイン」に限定した点が参加者に敬遠されたためか、やや参加者が 少なかった。参加者の反応は良好であったが、男性を含む幅広い層が参加できるような組み立てにす るほうが、集客的には期待できそうだ。
久々のイベントとして、バックヤードツアーを行った。午前・午後それぞれ 10 人ほどの参加者とと もに通常見られない美術館の裏側を解説付きで回った。参加者の反応は前回にひきつづき良好で、機 械室などの通常見ることのない部分に興味津々な様子であった。今後も機会を見て行っていきたい。
このほか、ギャラリートーク、ロビーコンサート(2 回)を開催した。ギャラリートークは 37 名の参 加でやや込み合い、展示の人気の高さを示すものとなった。
○まとめ
冬場としては好調な 6,500 人以上の観覧者があり、絵本など 40-50 代以上の女性層に人気の高い展 覧会が、全体の観覧者数としては伸びるという、これまでの傾向を裏付ける結果となった。今回の展 示では特に来館者の反応が良く、パレットの使い方や作品の内容、作家への興味など、展示室内で質 問やご意見をいただく機会が多かった印象がある。
近年はいわゆる「大家」の作品を並べた展覧会は少なくなりつつあり、かわら美術館ではもともと
瓦やものづくり、福祉などのテーマ性からあまり取り上げてこなかったジャンルであるが、アンケー
トでも「有名作家の作品」の要望はコンスタントにあり、需要は多いように思える。これは公募展が
一定の人気を維持する中京圏の特徴かもしれない。これまでも山下清展や魯山人展など、概して著名
な作家の展覧会は人気を得ているが、今後も当館のテーマ性と観覧者の要望のバランスを考慮しなが
ら展覧会の構成を考えていく必要があるだろう。
(6) 特別展アンケート結果概要
○アンケート回答者のプロフィール
① 男女比率
特別展の観覧者は、女性が6割強と女性の方が多い結果となった。特に「ブラティスラヴァ」展で は圧倒的に女性が多い。土の物語展でやや男性の割合が高い結果となっている。
② 年代別
「パレット」展、「ボーダレス」展で50 代以上が多かった。「鬼と妖怪の造形」展と「ブラティス ラヴァ」展では 40 代以下が 6 割前後と、若い世代の多さが目立つ。
③ 居住地域
どの展覧会でも高浜市以外の県内在住者が多く、およそ 8 割であり、市内在住者の割合は 1 割程度 である。「ボーダレス」展で他展と比べて県外在住者が多いのは、岐阜・三重の出展作家の関係者か。
86 793 131
104 129 33.7%
134 1332 388
126 217 61.9%
13 98 22 25
21 4.4%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
男 女 無回答
5 65 21 22 19 3.0%
13 165
56 23 24 7.8%
18 180
74 15 22 9.1%
29 336
71 20 22
14.5%
38 513
116 43
46
22.2%
56
503 84 33
50
21.4%
43 269
80 48
110
13.1%
19 98
18 29
57 4.5%
12 96 21 22
17 4.3%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
10歳未満 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 無回答
11 230 48
27 33 9.7%
181 1756 438 189
299 79.4%
28 129
32 17
16 6.3%
13 104
23 22
18 4.7%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
高浜市内 県内 県外 無回答
④ 交通手段
交通手段は、平均で 8 割近くが車となっている。
⑤ 来館回数
初めての来館者は「ボーダレス」展と「鬼と妖怪の造形」展で多かった。「パレット」展では、リ ピーターが多い。
⑥ 前回の来館時期
来館2回目以上の来館者に、来館時期について尋ねたところ、「ブラティスラヴァ」展、「土の物語」
展、「パレット」展で半年以内の回答が多かった。絵本や絵画、陶芸という恒例のテーマでリピータ ーが多い印象である。
5 72 16 12 10 3.1%
9 81 15
11 15 3.5%
164 1900 403
194 294
81.4%
47 155 102
30 52 10.0%
3 12
1 1 0.5%2
5 35
4 7
5 1.5%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
徒歩 自転車 車 電車 バス その他
95 908 173
83 99
39.5%
56 513 127 52 83
23.4%
39 364 93 55 77
16.7%
13 138 63 18 42
7.2%
25 284 83 44 65
13.2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
初めて 2~3回 4~6回 7~9回 10回以上
25 197
117 47 69 18.5%
25 257
64 42 64 18.8%
26 331
86 22
61 24.1%
27 260
51 39
27 18.4%
25 253
45 24 47 17.6%
11 32
5 5
4 2.6%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
3月以内 4~6月前 7月~1年以内 1~2年 2年以上前 無回答
⑦ 来館しなかった理由
初めて来館と答えた方にこれまで来館しなかった理由を尋ねたところ、「遠方在住」と特に「ボー ダレス」展での「存在・場所知らず」の多さが目立った。これまで継続してきたテーマを地域に密着 した内容で行ったことで、かわら美術館がより広く浸透する結果となったのではないか。
⑧ 展覧会を何で知ったか
展覧会情報を何によって知ったかの問いに「人に聞いて」という回答が多く、口コミで広まった様 子がわかる。特に「ブラティスラヴァ」展ではチラシと口コミの割合が平均より高く、チラシによる 広報効果が見て取れる。
○ 展覧会の評価
① 展覧内容について興味・関心を持ったか
展覧会の内容について、興味関心を持ったかの問いに、平均で約 7.5 割が興味を示したと回答した。
「土の物語」展は現代美術への興味からか評価が割れている印象である。
40 237
75 41 48 18.1%
48 357
65 31 38 24.2%
8 104
37 8 14 7.7%
16 207
43 17 25 13.7%
0 24
6 5 4 1.5%
3 23
5 3 10 1.6%
14 262
37 19 30 16.1%
5 32
10 6 4 2.4%
4 271
8 3 7 14.6%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
遠方在住 存在・場所知らず 時間なし 開催情報不足 観光名所なし
施設魅力なし 興味ある展覧会なし その他 無回答
25 198 45 24 23 7.7%
31 260
84 26 54 10.8%
2 121 20 8
14 4.1%
3 25
12 10
5 1.2%
17 284
70 19
30 10.7%
25 314 23 13
49 10.4%
42 208 21 27
62 7.8%
0 50 10 1
2 1.7%
67 561 172 77
92 23.1%
4 118 4 7
5 3.6%
3 141 64 8
22 6.0%
7 113 21 11
6 4.1%
27 147 61 48
54 6.8%
13 50
4 23
5 1.9%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
ポスター チラシ 市広報 DM 学校 新聞記事 新聞広告
雑誌 人に聞いて TV・ラジオ HP 通りかかり その他 無回答
197 1645
417 147
302 75.4%
18 409
98 59
33 17.5%
4 112
21 20
15 4.6%
2 13
1 9
2 0.5%
2 12
1 13
7 0.5%
10 31
3 7
8 1.5%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ボーダレス・アート・コレクション展 鬼と妖怪の造形展 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 土の物語展 パレット展 特別展平均
はい 概ねはい どちらとも 概ねいいえ いいえ 無回答