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各企業において共通するシナリオ

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3  富士山噴火の企業活動への影響

3.4  各企業において共通するシナリオ

問 15-1、問 16-1、問 17-1、問 18-1、問 19-1〜6 の自由回答をまとめると、上記でまとめた短期 的な影響としての製造工程上の影響、交通の影響のほかにも中期的、長期的な影響への懸念も挙げ られた。

中期的な影響として、①受注生産の場合、そもそも取引先から発注されない可能性がある。また、

②発注先企業と取引慣行がある場合でも、発注企業側のリスク回避のため、噴火の後、発注数減、

もしくは、発注自体がなされない可能性がある。

長期的な影響として、①発注企業の海外や他地域のメーカーへの受注シフトへの懸念が挙げられ る。②大手メーカーではない中小企業の場合、カンバン方式、長期的取引慣行の崩壊による企業活 動の停滞、停止への懸念がある。大手企業の製造拠点の場合は、製造拠点の変更が挙げられる。噴 火が収まった後、 「転注されてしまった後、弊社が復旧した際に、注文先を弊社へもどしていただけ るか心配」 (問 19-2)と回答した企業もあった。商品・原材料の安定的供給のため、発注先の他地域 へのシフトや製造拠点の変更は多少なりともあると思われる。

また、富士山が噴火していなくとも「近いうちに噴火するのではないかと世間が騒ぎだした」と いうような状況になった想定(問 15-1)では、 「注文数量の変動」「委託生産工場のため、他の協力 工場へ委託シフトされる」「客先の発注が同業他社へ移る」「出荷先がリスク対策に入ると、生産量 が減少する」などの懸念が示されていた。

また、住宅関連商品を製造している企業が、災害の長期化により、そもそも受注されない可能性

があるということを指摘している。地域を限定した場合、噴火時には住宅需要は当然低下するから

である。生活必需品以外は、災害の長期化した場合、このような需要の冷え込みも影響すると思わ

れる。

4  まとめ

降灰の結果として、各企業に共通する影響をまとめてみると表 4.1 のようになる。

表 4.1  各製造業において共通する影響

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(1)短期的な影響  

・従業員が出勤できないことにより生産活動の停滞。 

・原材料の入荷先企業の休業、交通マヒによる入荷不能、入荷遅延、在庫不足。 

・製造商品の出荷先企業の休業、交通マヒによる出荷不能、出荷遅延。 

・降灰の直接的影響として、クリーンルーム、そのほか生産ラインの機能不全。 

・品質低下や商品への灰・ちりの混入をさけるため生産・製造ラインの自主的判断による停止。 

(2)中長期的な影響 

・受注生産の場合、そもそも発注されない可能性がある。 

・発注企業側のリスク回避のため、発注数減、もしくは、発注自体がなされない可能性がある。 

・住宅関連商品、生活必需品以外の商品など災害の長期化により、需要が冷え込み、そもそも受 注されない可能性がある。 

(3)長期的な影響 

・発注企業の海外や他地域のメーカーへの受注シフト。 

・カンバン方式、長期的取引慣行の崩壊による企業活動の停滞、停止(中小企業の場合)。 

・製造拠点の変更(大企業の場合) 。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

また、富士周辺の製造業の業態的な特徴の結果として、富士山噴火によって周辺への降灰が長期 に渡った場合、人々の生活に影響があると考えられる特段重要なものとしては、 (1)医薬品・医療 用品の不足(特にソフトカプセル、医療用減菌紙)、 (2)包装紙・減菌紙の不足による医療用器具・

医療用品の不足、(3)レントゲン用のフィルムの不足、(4)白板紙、包装紙、トイレットペーパ ーなどの不足が考えられる。また、(5)コピーのトナーなど交換部品の不足、(6)カメラ用フィ ルムの不足が考えられる。

また報道のされ方によっては、オイルショックの時のような「トイレットペーパーパニック」と いう買いだめ行動が全国に波及することも可能性としてはありえよう。

【参考文献】

関谷直也・廣井脩  2003  「富士山噴火の社会的影響:火山灰被害の影響についての企業・行政調 査―富士山噴火対策研究:噴火による社会経済的影響に関する調査研究  その1―」 『東京大学 社会情報研究所調査研究紀要』2003,20 号, pp.1-151.

森康俊・廣井脩・中森広道・関谷直也・馬越直子・金児茂「企業の地震防災対策の現状と帰宅困難

者問題」『東京大学社会情報研究所調査研究紀要』2000,14 号, pp.283-354.

附属資料  アンケート調査票(調査地域別単純集計結果) 

 

富士山周辺企業調査 

 

調査主体  東京大学社会情報研究所  廣井  脩  N=786   

   

貴社名        (省略)  ご回答者名      (省略) 

ご住所  〒    (省略) 

資本金   (  (省略)         円 )   従業員数  (  (省略)         人 )    

業種(○は1つだけ) 

 

全  体 神奈川 山  梨 静  岡

(N=786) (N=168) (N=174) (N=437)

飲食料品・飼料製造 12.3% 8.9 % 13.2 % 13.3 % 繊維工業・繊維製品 0.8% 1.2 % 2.3 % 0.0 % 木材・木製品・家具 1.8% 0.6 % 0.6 % 2.5 % パルプ・紙製造 6.0% 1.2 % 0.6 % 10.1 % 出版・印刷業 3.8% 3.6 % 2.3 % 4.6 % 化学工業 6.1% 14.3 % 1.1 % 5.0 % 窯業・土石製品製造 2.2% 0.6 % 4.6 % 1.8 % 鉄・非鉄金属製造 2.3% 1.8 % 2.3 % 2.5 % 金属製品製造 9.1% 13.1 % 9.2 % 7.6 % 一般機械製造 7.1 % 5.4 % 5.2 % 8.5 % 電気機械製造 14.9 % 15.5 % 24.1 % 11.0 % 輸送機械製造 7.8 % 9.5 % 3.4 % 8.9 % 精密・医療機械製造 2.4 % 3.0 % 4.0 % 1.6 % その他製造 14.2% 12.5 % 19.0 % 13.3 % その他 7.4% 7.1 % 8.0 % 7.3 % 無回答 1.9% 1.8 % 0.0 % 2.1 %

※1  回答数の少なかった「繊維工業」 「繊維製品製造」「木材・木製品製造」 「家具・装備品製 造」は、 「繊維工業」と「繊維製品製造」は「繊維工業・繊維製品」に「木材・木製品製造」

と「家具・装備品製造」は「木材・木製品・家具」にまとめた。 

※2  本調査は、帝国データバンクにおける「製造業」の分類から抽出したが、回答企業自身が、

自社を製造業と認識していない場合がある。このため、 「その他製造業」の他に、 「その他」と いう選択肢を用意した。 

事業所の概要についてお聞きします。 

     

問1  あなたは、現在、「富士山噴火」に関してどの程度の関心を持っていますか。(○は 1つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

非常に関心がある  28.0 % 26.8 %  24.1 %  30.0 %  多少関心がある  55.5 % 55.4 %  64.4 %  52.4 %  あまり関心はない  14.6 % 15.5 %  9.8 %  16.0 %  まったく関心はない  0.8 % 1.2 %  1.1 %  0.2 % 

無回答  1.1 % 1.2 %  0.6 %  1.4 % 

 

問2  あなたは、現在、「東海地震」に関してどの程度の関心を持っていますか。(○は1 つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

非常に関心がある  55.3 % 53.0 %  40.2 %  62.2 %  多少関心がある  38.7 % 39.9 %  54.6 %  32.3 %  あまり関心はない  4.6 % 4.8 %  4.6 %  4.1 %  まったく関心はない  0.3 % 1.2 %  - %  - % 

無回答  1.1 % 1.2 %  0.6 %  1.4 % 

 

問3  あなたは、 「富士山周辺で起こった低周波地震が富士山の火山活動に関連がある」と 言われていることについてお聞きになったことはありますか。(○は1つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

聞いたことがある  78.9 % 77.4 %  78.2 %  79.9 %  聞いたことがない  19.6 % 20.8 %  20.7 %  18.5 % 

無回答  1.5 % 1.8 %  1.1 %  1.6 % 

 

問4  あなたは、「富士山噴火を想定した危険区域地図(ハザードマップ)を政府の委員会 が作成しようとしている」ことについてお聞きになったことはありますか。(○は1 つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

聞いたことがある  65.3 % 61.3 %  68.4 %  65.9 %  聞いたことがない  33.3 % 37.5 %  31.0 %  32.3 % 

無回答  1.4 % 1.2 %  0.6 %  1.8 % 

災害への関心等についてお聞きいたします。 

問5  あなたは、「富士山周辺自治体で富士山噴火を想定した避難訓練が行われた」ことを ご存知ですか。(○は1つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

聞いたことがある  56.6 % 51.2 %  68.4 %  54.2 %  聞いたことがない  42.2 % 47.6 %  31.0 %  44.4 % 

無回答  1.1 % 1.2 %  0.6 %  1.4 % 

   

問6  御社では、もし今後このような訓練への参加要請があったら参加しますか。(○は1 つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

参加すると思う  44.0 % 39.3 %  50.0 %  43.7 %  参加しないと思う  53.6 % 58.3 %  46.0 %  54.5 % 

無回答  2.4 % 2.4 %  4.0 %  1.8 % 

       

問7  御社では、「東海地震」を含めた地震防災対策を何か行っていますか。 

 

【A防災マニュアルについて(○は1つだけ) 】   

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

地震防災応急計画など、地震対策の防災マ

ニュアルがある  17.6 % 18.5 %  4.0 %  22.9 %  一般的な地震対策の防災マニュアルがある 31.0 % 37.5 %  30.5 %  28.8 %  地震防災マニュアルはない  49.9 % 42.9 %  64.9 %  46.2 % 

無回答  1.5 % 1.2 %  0.6 %  2.1 % 

 

【B防災訓練について(○は1つだけ)】 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

東海地震を想定した防災訓練をしたことがある 17.6 % 13.7 %  6.3 %  23.8 %  想定はしていないが地震対策の防災訓練をしたことがある 29.6 % 31.5 %  27.0 %  30.2 %  まだしたことはないが、近いうち、する予定である 17.0 % 13.1 %  21.8 %  16.7 %  まだしていないし、する予定もない  34.1 % 39.9 %  44.3 %  27.2 % 

無回答  1.7 % 1.8 %  0.6 %  2.1 % 

 

災害への対策についてお聞きいたします。 

問8  御社には、「富士山噴火対策」を想定した防災マニュアルがありますか。(○は1つ だけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=786) (N=168)  (N=174)  (N=437) 

富士山噴火対策を想定した防災マニュアルがある 1.5 % - %  1.7 %  2.1 %  今はないが、近いうち、作成する予定がある 19.6 % 17.9 %  17.2 %  21.5 %  今はないし、作成する予定もない  76.0 % 78.6 %  78.2 %  73.7 % 

無回答  2.9 % 3.6 %  2.9 %  2.7 % 

 

付問8−1  (問8で2または3と回答した方にお尋ねします。) 

「富士山防災マニュアル」を作成していないのはなぜですか。 (○は1つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=751) (N=162)  (N=166)  (N=416) 

富士山が噴火するという実感がわかない  35.7 % 35.2 %  42.8 %  32.9 %  日常業務が忙しくて余裕がない  25.6 % 26.5 %  33.1 %  22.4 %  富士山噴火より東海地震の対策を優先させ

た方がいいと思うから  30.4 % 32.1 %  13.9 %  36.1 %  観光客が減ったり自社製品の供給に不安を

持たれたりするのが怖い  0.1 % - %  0.6 %  - % 

無回答  8.3 % 6.2 %  9.6 %  8.7 % 

 

付問8−2  (問8で2または3と回答した方にお尋ねします。) 

どのような段階になったら「富士山防災マニュアル」を作成しますか。 (○は1つだけ) 

 

  全  体  神奈川  山  梨  静  岡 

  (N=751) (N=162)  (N=166)  (N=416) 

火山学者が近いうちに噴火が起こる可能性

を指摘したら  4.4 % 6.2 %  4.2 %  3.8 %  国・政府が近いうちに噴火が起こる可能性を

指摘したら  12.1 % 13.0 %  13.3 %  11.5 %  国・政府が富士山の防災対策に本格的に乗

り出したら  15.8 % 14.8 %  13.3 %  17.5 %  県市町村など自治体が富士山の防災対策

に本格的に乗り出したら  38.2 % 38.9 %  44.6 %  35.1 %  周りの企業が対策を行いはじめたら  6.9 % 5.6 %  6.0 %  7.9 %  余程のことがなければ富士山の防災対策を

するつもりはない  11.3 % 13.0 %  7.8 %  11.8 % 

その他  3.3 % 1.9 %  2.4 %  4.1 % 

無回答  7.9 % 6.8 %  8.4 %  8.2 % 

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